さだまさしのレビュー一覧
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ネタバレ【2023年118冊目】
表題作、解夏の他4つの短編集で構成された一作。単刀直入に言うと、「解夏」以外全部泣きました笑
「解夏」
徐々に視力が失われていく主人公と、それを支える周りの人たちの話。いつ見えなくなるか分からない恐怖を戦いながらも、見える景色全てを記憶に刻みこもうとする、懸命さが光るお話でした。
「秋桜」
異国の地、日本にやってきたフィリピン人のアレーナのお話。日本人男性と結婚し、姑に敵意を向けられつつ、舅の温かさに助けられていた彼女。ところが、舅の死後、姑の当たりはますます強くなっていきます。例え人種が同じだとしても嫁姑問題はよくある話ですが、それを単純に描いたものではなかったです。いや、ツンデレか!泣いちゃったじゃん!
「水底の村」
け、結局誰の子どもだったんですか?!例え血が繋がってなかったとしてもそれでいいって、主人公は割り切ってたけど、一方で酷いことをしてしまったって悔やんでいたのが、ええい、はっきりさせんかい!となりました!話そ!とりあえず!対話から始めよ!まあ、泣いたんですけどね。駒田さんがいい人でした。
「サクラサク」
痴呆はつらいですよね、本人も辛いし、周りも辛い。緩やかに壊れていく父親とその息子家族の話。歯車のかけ違いで、すれ違っていた彼らですが、果たして修復できたんでしょうか。あとね、会社が気になって仕方ありませんでした。中川さんが可哀想過ぎませんか?恩を仇で返してません?旅の後がどうなったのか気になり過ぎますが、「帰ってきたところ」は泣きました。 -
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加藤タキさんという女性を通して、加藤シヅエさんのプライドを見た気がした。
「母から教わったことだけど」と前置きしてタキさんが語る言葉が、胸に染み入る。背筋がピンとなって、「しっかりしよう」と気合いが入る。
特に「毎朝、心の洗濯をする」のは、習慣として取り入れたいと思った。
タキさんは、ご両親の遺影に向かって、「おはよう。今日も1日ありがとう。見守っててね。…実はこういうことがあってね…」というように対話をしているそう。そうすると、もう一人の自分が、お母様の言葉で返事をしてくれる。
日々のモヤモヤをそこで客観的に見て、スッキリしてから1日を始める。
最近読んだ『人生をゆるめたら自分のことが好きになった』で学んだ、「客観的に考える」ことを習慣づけるにはピッタリな方法だと思った。
さだまさしさんのゆるーい感じのトークで、とても読みやすい。そして、そのゆるい空気の中で語られる言葉には、先人の知恵がたくさん詰まっている。今は亡き偉大な人たちの言葉を語り継いでくれる人がいることが、いかに貴重で有難いことかをひしひしと感じた一冊。 -
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ネタバレ【2023年88冊目】
絶対タイトルで損してる〜!高校でのいろいろな出来事をきっかけに心を病んでしまった主人公が遺品整理業にかかわるうちに徐々に自分を取り戻していく話。映画化もされたようです。
いや、タイトル……文中にもタイトルそのままを意味する流れは何回か出てくるし、確実にキーフレーズなんですけど、どうにもちょっと違和感が拭えない。素晴らしいですよ?素晴らしいですけどね、アントニオ猪木さんの生き様とか!でもこのタイトルじゃなかったらもっと早く読んでた気がする。
しかし、松井……お前……松井ほんと、お前だけはちょっと……ひねくれてるとかいうレベルじゃないだろ……何かしらの天罰が下って欲しいと思うのは私の心が狭いのでしょうかね。
生きることや死をテーマに、そこへ様々な事情や心の葛藤が絡んでくるのですが、重すぎて息ができないというほどの内容ではないのは登場人物たちの在り方のおかげなのでしょうか。
映画も見てみようかな。 -
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『 勝手に「ラジオ」特集 #8(最終)』
ーさだまさし さん『ラストレター』ー
言わずと知れたシンガーソングライターのさださんですが、多くの著作、TV、伝説の深夜ラジオ「セイヤング」のパーソナリティ、コンサート等で軽妙なトークをされている印象です。
本書も、まるで噺家がラジオ局を舞台にした、長い落語を聴いているかのような印象をもちました。飽きさせない会話の愉しさ、展開の面白さ、登場人物の血の通った人間ぽさや人情‥、後味すっきりでカラリとした〝粋〟を感じるのです。その辺が大きな魅力だと思えます。
単なる昭和懐古主義のラジオ番組作りでなく、娯楽の趣向の幅が広がった反面、笑いや楽しさの質も軽薄になった現代に、人の心の温もりを感じさせる番組を届けようと、仲間が一致団結して奮闘する姿に、心躍らせました。
さて、勝手に始めて勝手に終わる(ちょっと短かったかな?)本特集ですが、ラジオのよさは決して廃れず、その役割があるのだと感じさせられました。
また、少し調べただけでも、ラジオを題材にした映画も多いことに気付かされます。まあ、沼にハマらない程度に鑑賞できたら、と思います。本も映画も奥が深いですね。 -
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ネタバレ道ならぬ恋で産んだ子を、見知らぬ土地で一人育てていくと決意した「神田のお龍」
一本気で気が強い、その気っ風の良さは男女問わず惹きつける魅力がある。そんな「神田のお龍」が臆面もなく、大好きであったと言い切る姿に、彼女は死ぬまで「女性」であったのだろう。
どうして彼の郷里に移り住んだのか、何故父親の人柄をを娘・咲子に話さなかったのか、何故献体という選択をしたのか。
添い遂げることは叶わなかった。けれど、この想いは一生自分の胸の内に秘め、その想いと一緒に生きていく。たとえ、死ぬまで彼と生きる道が交わることはなくても。この「想い」だけが、彼からもらった唯一自分だけのものだから。そんな覚悟を「神田のお龍」の生き様から感じた。
彼の郷里に移り住んだことも、献体に願い出たことも、何もできない自分からの健気なまでの愛情。
本当に死ぬ迄恋心と添い遂げるつもりだった。
それに対して、最期の邂逅では一度たりとも目を合わせない。命をかけて恋と覚悟を貫いていて、なんて美しい人生の幕引きだろう。
それ程までに愛した人に、目を合わせることもせずに、なんて苦しい恋だったのか。けれどそれが「神田のお龍」の幸せだったのだろう。
最後の「二本のパイプ」も、とても感動する。
献体として協力してくれた方々にも、人生があったのだ。人の命なくして、医学の発展はないのだな。 -
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葛飾にある小さな居酒屋、銀河食堂は本物のチェロが飾られ、謎めいたマスターが経営する。そこに集う常連たちが、順番にそれぞれの身近で起こったストーリーを語る形で、6つの話が共有される。
個人的には、まじめに一生懸命生きているにも関わらず、不運続きの男がついに母親と心中しようとして、母を殺してしまう"不器用な男"は泣けた。
そして、最後の"セロ弾きの豪酒"では、マスターの過去が明かされる。
それぞれの話で描かれるのは、ままならない運命に翻弄されながらも懸命に生きる人たち。切ないながらも、人間って棄てたもんじゃないな、と思わせてくれるのは、さだまさしさんならではという感じ。 -
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さだまさしさんの自伝的小説で、主人公、雅彦の子供時代から、アーティストになった後までの家族や友人とのいろんなエピソードが描かれている。
時代があちこち飛ぶので、初めはちょっとわかりにくかったが、ほとんどは別れに関するもので、人の縁のようなものを感じさせる話も多く、かなり泣けた。
個人的には、雅彦が子供の頃、誕生日に祖母が自分の好きなおにぎりをたくさん作ってくれたのに、プレゼントとしては不満で、それを態度に出してしまい、後でそれがお金がないせいだと思い当たり、後悔して謝ったときの祖母の対応や、長崎のお盆の行事、精霊流しに込める人々の思いが描かれたシーンなどが響いた。