山口二郎のレビュー一覧

  • 戦後政治史 第四版

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    戦後政治史を概観するコンパクトな通史。日本政治の歩みを辿る読書は大変楽しかった。索引や選挙データも充実しており、辞書としても活用出来そうだ。

    特に、第二次安倍政権の記述が素晴らしかった。8年にも渡る長期政権の複雑な軌跡が経済・安全保障・外交を主に分かりやすく纏められており、毀誉褒貶激しい安倍政権をフラットな視点で捉え直す良い機会となった。

    著者の山口二郎氏はリベラル派の闘士であるが、中立な立場から本書を記しており、氏の学者としての力量が窺い知れた。

    第5版の出版は6年後だろうか。楽しみにしたい。

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    2025年07月02日
  • 政治のしくみがわかる本

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    めちゃめちゃ面白かった。抽象的な政治論だからその分汎用性高い内容だった。普段から考えてる内容の本は面白く感じるな。知識を入れるには普段から疑問を持ったり自分なりに考えたり感じたり現実を観察したりする必要があるんだなと思った。普通に生きててスルーしてるものの知識は入りづらい。これからも政治について考え続けていきたい。

    山口 二郎
    法政大学法学部教授。1958年生まれ。専門は行政学、現代政治。東京大学法学部卒業後、東京大学助手、北海道大学助教授を経てフルブライト奨学生としてコーネル大学へ留学。オックスフォード大学セントアントニーズ・カレッジ客員研究員、ウォーリック大学客員研究員などを歴任し、1993年より2013年まで北海道大学教授。2014年より現職。

    「 民主主義は、人間が長い歴史のなかで、さまざまな経験を重ねながら、獲得した政治のしくみです。人間は不完全な存在であるからこそ、より大勢の人が集まって議論をして、よりよいルールを作り出す努力を重ねなければならない。これが民主主義を支える基本的な考え方なのです。」

    —『政治のしくみがわかる本 (岩波ジュニア新書)』山口 二郎著

    「完璧な人間などはこの世に存在しません。一人や少数の為政者やエリートが決めても、多数の市民が決めても、間違うこともあれば、正しいこともあります。人間はすべて間違うことがあるという前提で考えれば、一人で決めるのと、大勢の議論を通して決めるのと、どちらがうまくいくでしょうか。一人や少数の人に権力を集中し、そこで物事を決めるならば、間違ったときのブレーキがなくなります。大勢で議論して決めれば、決めるまでに手間がかかりますが、間違ったときにもブレーキがかけやすくなります。違った考えをもった人がいることが、ブレーキの役割を果たすのです。また、別の正しいやり方を探すことも、大勢で議論したほうが容易にできます。」

    —『政治のしくみがわかる本 (岩波ジュニア新書)』山口 二郎著

    「 政治についての名言は古くから数多くありますが、私がもっとも好きなのは、「政治とは可能性の芸術である」という言葉です。一九世紀ドイツの政治家、ビスマルクが残したとされています。一見不可能に見えることやだれもが不可能だと考えていることを実現する営みこそ、政治だという意味です。」

    —『政治のしくみがわかる本 (岩波ジュニア新書)』山口 二郎著

    「異文化や異なる時代にどんな「当たり前」があったかを見ることは興味深いことです。また、私たちを縛るという意味では、当たり前は恐ろしいものでもあります。ある時代に当たり前であったことを後の時代から見ると、途方もなくバカバカしく見えるという例はいくらでも思いつきます。私たちは、日々の生活のなかで、さまざまな当たり前に縛られていますが、その当たり前は何の根拠もないものかもしれません。私たちが偽りの当たり前に縛られているとするなら、それは愚かしいことであり、また恐ろしいことでもあります。」

    —『政治のしくみがわかる本 (岩波ジュニア新書)』山口 二郎著

    「二〇〇八年一一月のアメリカ大統領選挙で、バラク・オバマ上院議員が当選し、アメリカ史上初のアフリカ系アメリカ人大統領が誕生しました。この出来事の意味については後でまた触れますが、民主政治はまだ捨てたものではないという希望を、アメリカだけではなく世界中の人に与えた大きな事件でした。しかし、四〇年ほど前までは、黒人は政治に参加できないのが当たり前、差別されて当たり前というのが、アメリカ社会の姿でした。黒人が大統領になることなど、「夢のまた夢」とだれもが信じて疑っていませんでした。」

    —『政治のしくみがわかる本 (岩波ジュニア新書)』山口 二郎著

    「キング牧師が一九六三年八月、ワシントンのリンカーン記念堂に向けた人種差別廃止を訴える大行進の時におこなった有名な演説、「私には夢がある」の一部を読んでみましょう。私には夢がある。いつの日にか、ジョージアの赤土の丘のうえで、かつて奴隷であった者たちの子孫と、かつて奴隷主であった者たちの子孫が、兄弟として同じテーブルに向かい腰掛ける時がくるという夢が。私には夢がある。いつの日にか、私の四人の幼い子どもたちが肌の色によってではなく、人となりそのものによって評価される国に住む時が来るという夢が。私の父が死んだ土地で、メイフラワーの清教徒達が誇りとした土地で、すべての山々から自由の鐘を鳴らそうではないか。もしアメリカが偉大な国であるのなら、これは実現されなければならない。」

    —『政治のしくみがわかる本 (岩波ジュニア新書)』山口 二郎著

    「しかし、理想を追求する動きがあまりに加速すると、やっかいな問題が起こります。理想を純粋に追求しようとする人々が大きな力をもった時、ほどほどのところで手を打つなどと生ぬるいことを言う連中(かつての左翼用語では、日和見主義者といいました)は、理想の実現を妨害するけしからん奴らということになります。純粋な理想主義者ほど、同じ理想を共有しない者に対しては残酷になるという傾向があります。理想主義者は、理想に逆らう者を排除することをむしろ正義と考えてしまいます。そこに、理想主義の落とし穴があるのです。」

    —『政治のしくみがわかる本 (岩波ジュニア新書)』山口 二郎著

    「 二〇世紀という時代には、マルクス主義、社会主義がそのような理論として大きな力をもちました。一九世紀の経済学者で思想家だったマルクスは、階級格差をなくし、経済的不平等をなくすという理想郷(ユートピア)の実現を唱えました。彼の掲げる社会主義の思想は労働者から大きな支持を得ました。そして、かつてのソ連や東ヨーロッパ、中国などで、社会主義体制が実際に作られたのでした。  けれども、階級格差の廃絶や貧困の撲滅といった理想をこの世で実現することは、不可能でした。そうした理想のもとで実際には、共産党幹部の特権や自由の抑圧など、さまざまなひずみがたまりました。そして、一九八〇年代末から九〇年代初頭にはソ連や東ヨーロッパの社会主義体制は崩壊してしまいましたし、社会主義を掲げる中国も、市場経済を全面的に取り入れるようになりました。」

    —『政治のしくみがわかる本 (岩波ジュニア新書)』山口 二郎著

    「 しかし、社会主義であれ資本主義であれ、かつてのソ連であれアメリカであれ、行き過ぎた理想主義の発想には、共通した三つの特徴があります。それは、人間の能力に対する楽観と、設計図の通りに世の中を作りかえることができるという単純さ、そしてすべての人は自分と同じ理想をもつべきだという自己中心主義です。」

    —『政治のしくみがわかる本 (岩波ジュニア新書)』山口 二郎著

    「中央アジアにアラル海という湖があります。その周辺では、湖に流れ込む川にダムを造り、周辺の綿花畑に水を供給しましたが、それによりアラル海は干上がってしまい、周辺の住民の生活が破壊されてしまいました。人間の浅知恵で自然の生態系を壊すと、人間の生活が脅かされるのです。  同じことは、社会や経済のしくみについても起こりえます。社会や経済にも、いわば自然と同じような生態系があります。昔の社会主義の国では、それを無視して、政府がどのような製品をどれだけ生産するかを決定し、経済の動きをコントロールしていました。けれども、人々がどれだけのパンや衣服を必要としているかを政府が知ることは不可能でした。だから社会主義の国ではつねにモノ不足で人々が悩まされていたのです。」

    —『政治のしくみがわかる本 (岩波ジュニア新書)』山口 二郎著

    「理想主義的な発想をする人々は、世の中を作りかえる特効薬を振りかざす傾向があります。世の中を悪くしている元凶を突き止めて、それさえ取り除けば世の中はよくなるという議論をしがちなのです。私有財産制をなくせば格差や不平等はなくなるとか、政府の規制をなくせば豊かな社会ができるとか、サダム・フセインをやっつければイラクは平和で民主的な国になるとか、そんなたぐいの議論です。富を独り占めしている金持ちや人々を抑圧している独裁者を憎たらしいと思うのは、自然な感情です。でも、憎たらしい奴を消せば、世の中がいっぺんによくなるというわけではありません。」

    —『政治のしくみがわかる本 (岩波ジュニア新書)』山口 二郎著

    「理想主義者が唯我独尊に陥ると、世の中全体を一つの理想によって塗りつぶすことを、理想の実現だと考えるようになります。しかし、そのような社会は別の面から見れば、ファシズムにほかなりません。理想主義はファシズムと紙一重ということもできるのです。あるいは、ユートピアと全体主義社会は紙一重ということです。」

    —『政治のしくみがわかる本 (岩波ジュニア新書)』山口 二郎著

    「中東のパレスチナで、イスラエルのユダヤ人とイスラム教徒のパレスチナ人が長年、争っています。パレスチナ人過激派による「自爆テロ」の悲惨さを伝える映像だけを見れば、その人はパレスチナ人を加害者、イスラエル人を被害者という図式で事態をとらえるでしょう。しかし、逆にイスラエルによる強引な入植地拡大やガザ地区への爆撃というような、パレスチナ人に対する弾圧を伝える記事を読めば、正反対の構図で考えることになるでしょう。  もちろん、事実は一つの図式でとらえられるほど単純ではありません。どちらか一方が完全な正義派で、他方が完全な悪党という話ではないのがふつうです。パレスチナ紛争の例では、双方の憎悪や暴力が紛争をエスカレートさせて、無辜の被害者を増やしているのが現実です。また、その時々の出来事にとらわれずに、なぜ紛争が起きたのか、その発端を考える歴史的な視点がないと、事の本質は見えなくなってしまいます。」

    —『政治のしくみがわかる本 (岩波ジュニア新書)』山口 二郎著

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    2025年06月07日
  • 自民党の変質

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     知らなかった視点がたくさん出てくる。考え方の幅が拡がるいい本でした。「ダレスの恫喝」については、うろ覚えの孫崎さんの本の内容とは、すこし内容が違うように感じました。孫崎さんの本を読み直して比べてみようと思います。

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    2024年10月01日
  • 資本主義と民主主義の終焉――平成の政治と経済を読み解く

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    大量消費社会を終え、成熟した社会に生きる人々は何を目指せば良いのか。エネルギーが枯渇していく将来を見据えれば、成長が鈍化する事は避けられない。

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    2021年06月06日
  • 長期政権のあと

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    2020/12/24「安倍長期政権のあと」山口二郎・佐藤優☆☆☆
    「名著」知の巨人お二人の共著 クオリティ高い 単行本数冊分 佐藤優氏☆
    課題は整理された いかに取り組むか コロナ禍を口実に逡巡している
    先送りすると、失われた時代が続き、「資産の焼け野原」

    Ⅰ.安倍長期政権 2012.12-2020.08
    1.安倍一強 過度な権力集中 官房1200  府2400 内閣人事局'14年
    2.行政権の絶対優位 立法・司法の軽視 ファシズムの手法
      アカウンタビリティー説明責任なし 民主主義の否定
    3.支持率第一主義 短期施策に集中 長期ビジョンも戦略も無い
      もともと安倍氏には政権構想はなくレガシーと長期在任ねらい
    4.人材育てず 劣化 側近政治 トップリーダーの器では無い
      官邸官僚に依存し、党内の後継者・若手には無関心 自分だけ
      二人の長老に依存 麻生副大臣 二階幹事長 爺や体制
    5.三つの大権 ①公認権②政党交付金③解散権
      小選挙区制をフル活用 
    6.対米追随=日本の国体とした 天皇無視
    →コロナ禍まではやりたい放題だが、実績・実力が問われるガチンコ 敵前逃亡 得意の   

    Ⅱ.戦後の世界政治
    1.民主主義と資本主義のバランス 大きな政府と小さな政府
      ex池田勇人「所得倍増」、佐藤栄作「社会開発」
    2.新自由主義 ハイエク、フリードマン
      サーチャー政権[79-90] レーガン[81-89] 中曽根康弘[82-97]
      「小さな政府」→国民社会の統合の低下→地方独立・分権の動き
      exスコットランド 分断の勢力
      反対勢力の弱体化 組合・野党 →長期政権・新自由主義
    3.1985年プラザ合意
      中曽根行革「民営化」①効率化・生産性向上②税収増③組合解体
    4.90年代Global資本主義経済 クリントン政権'93-'01
      ①情報革命 情報スーパーハイウェー構想
      ②金融規制緩和 '95 ドル高容認 海外マネーの取り込み NAFTA
    5.小泉構造改革
      ①郵政民営化。財投縮小②医療に市場原理③非正規雇用の拡大
      ④企業内部留保463兆円

    Ⅲ.自民党の強さ 90年代 冷戦終了・バブル崩壊→日本の衰弱
      合成の誤謬 雇用の効率化・非正規雇用
            所得の減少 消費の低迷
      小泉政権「'01年04月-'06年09月」
      ①経世会潰し②市町村合併③郵政民営化④経済財政諮問会議
      →「反知性主義」 言葉の崩壊 

    Ⅳ.安倍政権後の国難
      コロナ禍→大政翼賛会=行政国家、ファシズム 同調圧力・自粛警察
      山口先生は「民主的に運営ができる」と甘い見通し 民主党政権
      野党は本気で政権を取ろうと思っていない! これが実態と思う
      自棄になり、投機的リーダーシップを求める(一か八か) ヒトラー
      SNS 権威の否定①政治②メディア cf中世「印刷」教会権威を否定
      
    Ⅴ.日本の劣化 アベノミクスの検証を 
      GDP増加 ドルベースでは 国債増加の代償
      インバウンド 航空機特需
      雇用改善
     →真の人材育成 教育 Glocal エッセンシャルワーカーを大切にする社会

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    2020年12月31日
  • 長期政権のあと

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     途中から敢えて読むのを、中断していた。本当に政権が交代したから。
     今ようやく読む。本質的な前進を全く感じられない毎日ゆえ。
     読んで良かったと、特に後半部分。

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    2020年11月09日
  • 長期政権のあと

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    ■小泉政権下で企業の収益向上が優先され、労働者の所得向上が顧みられなくなった。実際、平均年収は1997年をピークに低落・停滞傾向にある。非正規社員が急増したが彼らは企業からすれば「好都合な人」雇用の調整弁になり社会保障費の負担を減らすことができる。
    ■企業の内部留保は小泉政権の頃から増加し、現在、約463兆円(2019年3月末時点)。
    ■世帯の所得がその国の世帯の可処分所得(調整後)の中央値の半分未満を「相対的貧困」、その割合を「相対的貧困率」というが、日本の相対的貧困率は2016年時点で15.7%と、イスラエル・メキシコ・トルコ・チリ・アメリカに次ぐ世界第6位。今や日本は正真正銘の格差社会。
    ■個々の企業が合理性を追求していくことで社会全体として若者の就職難・結婚難、ひいては人口減少をもたらすという合成の誤謬(ミクロの視点では合理的な行動でも、それが合成されたマクロ世界では好ましくない結果が生じること)が起こる。具体的には企業が経営健全化を図るために人件費を削減すると、個人消費が停滞して景気の低迷を長引かせた。これを是正するために政府の介入が必要だったが政権には危機意識がなかった。
    ■最優先すべきは雇用と事業継続。人口減少が顕著な地方や資金繰りが厳しい中小企業では急務。若年層の雇用も大きな問題。1990年代の後半の就職氷河期では大量の非正規雇用者が出現し、現在の日本社会の不安定さの基となっている。「新就職氷河期」をつくらないことが重要。現在15~24歳の世代は就職氷河期世代より約500万人も少なく彼らが社会の中核を担う2040年には高齢者人口が約3900万人とピークに達し、少ない人数で高齢者を支えなければならない世代。
    ■ユニコーン企業とは企業価値10億ドル以上で未上場、創業10年以内のベンチャー企業のこと。聞いたことはあっても誰もその姿を見たことがない伝説の一角獣に例えられたようにその数はとても少ない。ユニコーン企業の数はイノベーション政策が成功しているか否かを判断する指標の一つ。
    ・日本のユニコーン企業は2018年ではメルカリとプリファード・ネットワークスの2社。2020年2月時点では7社に増えた。
    ・アメリカは216社、中国は206社、イギリスは24社、インド20社、ドイツ12社、韓国10社と日本を上回る。

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    2020年09月20日
  • 民主主義は終わるのか 瀬戸際に立つ日本

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    政治関係の著書を読む場合、著者がどの立場にいる人かをあらかじめ知った上で読む必要がある。

    この人は長年民主党のブレーンとして活動してきた人で、現自民政権に批判的な立場であることは容易に想像できる。

    それを踏まえた上で読んでも、決して盲目的な自民党批判ではなく論理的に、要所をとらえて批判している。

    安倍総理が国会答弁等において言葉を崩壊させているというのはまさにその通りで、問われていることに対しわざと論点を外した受け答えをしたり、空虚で実のない言葉を羅列したりということを繰り返している。

    著書では、行政府に権力が集中し、三権分立のバランスが崩れている状況を踏まえた上で、今後の提言もまとめている。いずれもおっしゃる通りなのだが、言うは易し行うは難しである。

    ここからは著書とは関係ない個人的な見解だが、このコロナ禍においても行政府はやりたい放題の政策で国民を愚弄し続けており、それに対して国民は「国会議員は国民のために働くべきなのに自分たちの利益ばかり考えている」とSNSあたりで言い続けている。しかし、そもそも国会議員が国民のために働くことが当たり前という幻想を抱いていること自体がナンセンスだと私は思っている。

    現代の日本人は「民主主義は生まれたときから当たり前のように存在する」ものであり、それがかつて民衆が血や汗を流して勝ち取った権利であることに無自覚である。なので、国民は当たり前に基本的人権を有し、そのために国会議員が奉仕すべきだ、などという幻想を抱いてしまう。しかし、国民が当たり前に基本的人権を有し、国民の代表である国会議員がそれを実現するために動くようにするためには、そのための仕組みを国民の努力で維持していく必要がある。今のように国民が政治に無関心で、受動的な立場を続けていれば、政治家はそれに味をしめて、自分たちの有利な方へ仕組みを変えていくに決まっているのだ。

    もし、民主主義を保ちたいのであれば、もっともっと自分たちの暮らしにおける政治との関わり方に関心を持ち、政治家の行動に目を光らせて、それを選挙や世論という形で大きく反映させる必要がある。「自分たちは政治とかは難しいからよくわからないので好きなことだけやる、でも政治家は自分たちのために行動してほしい」なんて虫のいい話はないのである。

    そういう意味で、こういう本を多くの人が関心を持って読んでほしいものだと切に願う。

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    2020年08月12日
  • 資本主義と民主主義の終焉――平成の政治と経済を読み解く

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    水野さんの分析、やはり鋭い。山口さん、相変わらず危機感と悲壮感いっぱいだけど、学者としての状況分析に深みを感じない。なぜ?

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    2019年07月01日
  • 若者のための政治マニュアル

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    1 生命を粗末にするな
    2 自分が一番
    3 人は同じようなことで苦しんでいるものだ、だから助け合える
    4 無責任でいいじゃないか
    5 頭のよい政治家を信用するな
    6 あやふやな言葉を使うな、あやふやな言葉を使うやつを信用するな
    7 権利を使わない人は政治家からも無視される
    8 本当の敵を見つけよう、仲間内のいがみ合いをすれば喜ぶやつが必ずいる
    9 今を受け容れつつ否定する
    10 当たり前のことを疑え
    巻末に連絡先一覧あり

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    2018年03月11日
  • 若者のための政治マニュアル

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    民主党が政権を取る前の2008年に出た本。
    今、著者はどんな思いだろうか?
    とは言え、この本書で示唆されていることの本質は変わらない、とても重要な指摘だと思った。
    本書を踏まえ、12/16の衆議院選挙に臨もうと思う。

    目次から
    ルール1  生命を粗末にするな
    ルール2  自分が一番ーもっとわがままになろう
    ルール3  人は同じようなことで苦しんでいるものだ、だから助け合える
    ルール4  無責任でいいじゃないか
    ルール5  頭の良い政治家を信用するな
    ルール6  あやふやな言葉を使うな、あやふやな言葉を使うやつを信用するな
    ルール7  権利を使わない人は政治家からも無視される
    ルール8  本当の敵を見つけよう、仲間内のいがみ合いをれば喜ぶやつが必ずいる
    ルール9  今を受け容れつつ否定する
    ルール10 当たり前のことを疑え

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    2012年11月18日
  • ポピュリズムへの反撃 現代民主主義復活の条件

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     ポピュリズム全肯定するわけでも全否定するわけでもなく、いかに向かい合うべきかを説いた本。

     「大衆主義」と訳されることもあるポピュリズムですが、その定義はイギリスの政治学者・クリックによると「政治指導者が多数派(政治統合体の外側に追いやられていると感じる人々)と信じる集団を決起させることを目的とする、ある種の政治のレトリックのスタイル」となる。

     ポピュリズムには単純な敵を設定してそれを攻撃するという形で民衆の不満に付け込んで支持を得るという側面もある。反官僚、猟官制を掲げて「普通の人」を積極的に政府の役職に登用しようとしたアメリカのジャクソン大統領のジャクソニアン・デモクラシーや「構造改革」に異を唱える者を「抵抗勢力」と見なして攻撃した日本の小泉政権はその例である。

     この他ポピュリズムに特徴的なのはステレオタイプである。これは「自分の周囲の秩序(平穏な日常)を犯罪などで乱されたくない」という秩序感覚、「人はステレオタイプを通してしか物事を見ることしかできない」(リップマン)という論に由来する。

     悪化すると、マンハイムの言う「虚偽意識」=ステレオタイプのイデオロギー、という形で体制批判を悪と見なすポピュリズムに発展する可能性もある。「自由な社会に異を唱える奴は自由の敵」と。あらゆる問題を市場や自己責任の問題に帰してしまう「社会的偏見」(バクラック&バラッツ)を正当化することにもつながる。

     著者はポピュリズムに対してはポピュリズムで反撃することを主張します。例えばプレカリアート(貧困)問題に取り組む雨宮処凛氏の活動はポピュリズム的な側面があるが、こうした活動を通じて若者が今置かれている不利益な状況を知らしめるという意味では当然であると言う。

     下手に「ポピュリズムなんて迎合はできるか」とお高くとまるより効果的でしょう。そうやっていい子ちゃんのように振る舞う人に限って体制批判をする人に攻撃的な気がする。

     昨年、政権交代が起きましたが、政治の迷走はまだ続く。民主党の体制や政策の問題点の指摘は他の本に譲るとして、この本では丸山眞男が言うところの「政治はベストの選択である、という考え方は『お上にお任せ』の権威主義から出る過度の期待に結びつきやすい」ということを主張する。

     今の日本はまさに政権交代への過度の期待が薄れ、「今気付いた。民主党は嘘吐きだ。騙しやがって」というような風潮がある。こういう前から予想されたであろうことを今更初めて知ったかのようにイノセントに驚いてみせることは罪深い。マスコミが作り出した虚像だろうが、これも権威主義がそもそもの源流か…

     同じ「よろん」でもその場の感情に流されやすい「世論」(popular sentiment)よりも熟議を経た「輿論」(public opinion)を語り、政党間対立の論点を明確化した上での政策協議をする必要がある。

     同じ著者の『若者のための政治マニュアル』のレビューでも書いたが、民主主義政治においては声を挙げなければ意見は反映されない。そもそも政治とは社会的資源、サービスの分配であり、その恩恵に与れない者が異議を唱えるのは当然である。

     その異議の内容の問題点を指摘するならともかく、「主張すること自体間違っている」というのは紛れもない権威主義である。異議を唱える過程がポピュリズム性を孕んでいたとしても、それ自体は責められるべきではないだろう。

     ポピュリズムを含めた政治を学ぶ上で大いに勉強になる一冊である。

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    2011年06月05日
  • 政治のしくみがわかる本

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    政経を勉強する前にこれを読んでおけばよかった…後悔。行政、官僚、構造改革など、いまいちイメージのしにくいワードもやさしく解説してくれている。

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    2011年03月05日
  • 若者のための政治マニュアル

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    なんとなく不満を抱きながらも、実際どのようなことになってるのか分からない「政治」。

    その政治について考えるスタートラインを提供してくれる一冊です。

    本書では、二郎さんが政治を考えるうえでの10のルールを提唱しています。


    ルール1:生命を粗末にするな
    ルール2:自分が一番〜もっとわがままになろう
    ルール3:人は同じようなことで苦しいんでいるものだ、だから助け合える
    ルール4:無責任でいいじゃないか
    ルール5:頭のよい政治家を信用するな
    ルール6:あやふやな言葉を使うな、あやふやな言葉を使うやつを信用するな
    ルール7:権利を使わない人は政治家からも無視される
    ルール8:本当の敵を見つけよう、仲間内のいがみ合いをすれば喜ぶやつが必ずいる
    ルール9:今を受け容れつつ否定する
    ルール10:当たり前のことを疑え


    「若者のための」という言葉が頭についているように、とても分かりやすく記述されているのでオススメです。

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    2009年10月04日
  • 日本政治、再建の条件 ――失われた30年を超えて

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    平成の政治改革以降、2025年の参議院選挙までを振り返り、日本政治を多角的に検証。
    日本でも台頭しつつある右派ポピュリズム政党の問題点の指摘など、今後の日本政治を展望するのに有益な内容だった。
    一方、自民党に対抗する進歩的な勢力の結集を目指してきた「闘う政治学者」の山口二郎氏の論考にはやはり負け犬の遠吠え感が強く感じられた。令和8年2月の衆院選での高市自民圧勝・中道改革連合惨敗の結果を知った上で読むと、山口氏が提示した穏健派大連合の結成という今後のシナリオも大甘な見通しだったなと言わざるを得ない。では、破局シナリオ以外に、日本政治にどういう道があり得るのかという答えは見出だせないのだが。

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    2026年09月12日
  • 現代ファシズム論 何が民主主義を壊すのか

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    ヒトラーを党首とするナチ党も、実は民主的な方法で国民の支持を得て政権を取ったわけで、民主主義が分断と対立を生む事はある.
    ブレグジットやトランプ政権誕生もそう。
    右傾化する自民党や参政党の躍進など、日本も世界の流れの中にいる。
    逆にそこまでいかないと、世界で国を守っていけないのかと、暗い予感をはらんだ見通ししか出来なくなってくる。

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    2026年04月18日
  • 戦後政治史 第四版

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    時期によって解説の濃淡はあるが、自分のように最近政治に関心が強くなった人が一通りさらっておきたいという場合には有力だと思う。歴史は繰り返してるんだなと思ったり、知らないことがたくさんあったりしてよかった。また、戦後政治史はほぼほぼ自民党政治史だと実感できた。

    次は菅義偉首相以降の政治史を学んでみたいと思う。

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    2026年03月16日
  • 日本政治、再建の条件 ――失われた30年を超えて

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    ネタバレ

    野党について視点を得られる本でした。特に1章、2章は、政権交代可能な政治システムを作ることにどのように失敗してきたかという議論が細かくなされていました。強固な自民党に反して、名前も方針も代表も、目まぐるしく変わりすぎて何なのか分からない、というのは割と有権者が信頼を持って票を投じることを妨げてしまっているのではと思いました。選びにくい政党、選ばれにくい政党、という印象がさらに強まってしまいますが、
    イギリスの政党政治をモデルにしてきたということも知り、選挙制度が政党を選ぶ、という側面もあることも学びました。
    衆議院の比例代表議席を削減する、という話は、よりイギリスの政治システムに近づける、という意味でもあるのかな。

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    2025年12月27日
  • 資本主義と民主主義の終焉――平成の政治と経済を読み解く

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    平成の歴史が分かりやすくまとめられていた。
    現在の停滞、社会の混迷には様々な要因があるけど一番はバブル崩壊後の90年代後半から取り入れられた「ROE(自己資本利益率)」を重視したことな気がする、このせいで従業員よりも資本家を大切にする世界になってその結果資本家の顔を伺い立てることしか出来なくなって格差が開いた。グローバル化の経済成長っていうけどそれで得するのはほんの上位数%。

    令和7年11月18日現在、自民党の高市早苗首相が経済成長を目指してるけど最低賃金上げるのやめたり労働基準法を緩くしようとしてるのは更に労働者を下げて資本家の儲けを上げようとしてるからなのかなと思った。
    一体全体この先の世界はどうなるのかしら。

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    2025年11月18日
  • 民主主義へのオデッセイ 私の同時代政治史

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    政党は、政権を取るために活動する。という当たり前のことを目指さないというのは、結局ずっと同じだった。そのことを確認するための1冊か。この本の前史としては、江田三郎さんとかの挑戦はあったけども、これくらいか。
     理念や志は大事だが、それを具体化することの大切さも。
     

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    2025年07月12日