山口二郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
かつて民主党政権への期待を表明していた著者が、鳩山由紀夫、菅直人、野田佳彦の失敗を検証し、この国において成熟した民主主義が根付くために何が必要かを論じた本です。
政治的には中道左派の立場を取ることを明確に表明している著者だけに、政治の理念と政策に関する議論は視点がブレることなく、問題点が非常にクリアにされています。
その一方で、政権運営に関する議論では、著者自身の立ち位置があまりはっきりと見通せないように感じました。少なくとも「政権交代とは何だったのか」というタイトルを持つ以上、民主党の失敗だけでなく、政権交代論そのものに対してどのような問題が投げかけられているのかということも、併せて議論 -
Posted by ブクログ
若者のための政治マニュアル
(講談社現代新書)2008/11/19
著:山口 二郎
著者は、東京大学法学部卒、同学部助手を経て、北海道大学教授。論壇の第一線で政治評論を多く執筆している。
生きづらい社会を変える最強の武器は、民主主義である。日本では、一応市民的自由が保障され、一人に一票が平等に与えられている。この権利を使えば、世の中を変えることができるはずである。
しかし、普通の市民、特に若者にとって、学校で習った政治の知識と、市民としての実践の間にはとても大きな落差がある。
そんな落差を埋めるため、特に社会の荒廃で様々な被害を受けている若人々に対して、政治のスキルを提示することを目 -
Posted by ブクログ
権利の主張か?単なるエゴか?自分がされて許せるかどうか?が基準となるというが、それこそ良心を持った人だけを基準にしている考えだとと思う。ただ、民主主義とは自身が抱える問題を表に出す事からはじまるとの主張は当然の事でありながら出来ていない。政治に問題として取り上げられるた最初の関門は政策課題の認知である。そこには当たり前とされているものが、実は社会的偏見でないか?という視点が必要となる。良心を感じるマスコミには称賛すること。政治にへの参画意識を持つことから始めよう。という姿勢は、既得権益の再分配が新陳代謝と考えると、健全だと感じる。だが一方で物足りない感じが否めない。国益を守っていく上においては
-
Posted by ブクログ
①生命を粗末にするな
②自分が一番ーもっとわがままになろう
③人は同じようなことで苦しんでいるものだ、だから助け合える
④無責任でいいじゃないか
⑤頭のよい政治家を信用するな
⑥あやふやな言葉を使うな、あやふやな言葉を使うやつを信用するな
⑦権利を使わない人は政治家からも無視される
⑧本当の敵を見つけよう、仲間内のいがみ合いをすれば喜ぶやつが必ずいる
⑨今を受け容れつつ否定する
⑩当たり前のことを疑え
10個のルールで、民主主義とはなにか、民主主義はこうやって使うものですよっていう、理想も含みながらわかりやすく書いてくれてる。
言うこと言おう、やることやろうってこと。
「人生というのは単純 -
Posted by ブクログ
基本的に著者は小泉政権の新自由主義に完全な反対方針を示している。新自由主義には現在も批判が集まっている中で様々な反省がなされているが、教育政策については、経済よりも痛烈な痛手を負わなかったためか現在も新自由主義的思想で改革が展開されている。
大学人としてはこの現状にいち早く気づくとともに、単純な新自由主義への批判にとどまらず、各人の持つ改革へのビジョンを同士を集めて一歩一歩進むこと重要である思う。
タイトルと内容の乖離があることを念頭において、読書対象として選ばれることをお勧めする。また、政治学者であるはずなのに、内田樹氏のブログ内容に寄りかかってしまっていることについては多少の疑問を覚え -
Posted by ブクログ
言っていることは当然だが忘れがちなこと。
小さな声だとしても集団で動こうとか、権利を主張しないと存在すら認知してもらえないとか、ブームに流されず冷静に現状分析して策を練ろう、など。
単著の新書なので、筆者の考えが全面に出ており好ましく感じる。が、各章のタイトルと内容が噛み合ってないことが多いため、途中からだれる。
身勝手な要求をサービスを提供する側に叩きつけるのは「権利」でなく「特権」だと説明しているのはなるほど納得。
しかし、郵政民営化に失敗した小泉政権を非難し、人情に厚い鈴木宗男や亀井静香は立派な政治家と言っているなど、理由付けが薄いと感じる部分も多々あった。
政策がしっかりしていたら秋葉 -
Posted by ブクログ
学生時代にオルテガの「大衆の反逆」をむさぼり読んだ。大衆の動きや考えが社会に反映し、自分のことは棚において「われわれとあいつら」の構図で-指導層の意図に反して-褒め称えたり時には抹殺する。「大衆」という概念を初めて提起した本だとゼミで教わった。
本書はオルテガから大衆とそれをとりまく社会政治状況がどう変容したかをわかりやすく説明。数ヶ月前に著者の講演を聞く機会があり、進歩左翼的机上の論理に首を傾げて聞いていたが、ポピュリズムの明快な説明には大いに合意したのでこの書を購入した。
小泉時代から日本政治は物事を「単純化」し「二項対立」を描くことで大衆を扇動していると説く。それは政権交代を仕掛けた民 -
Posted by ブクログ
前半がわりと面白かった。
文章はやさしめで、新書苦手な私でも楽に読めた。
・当たり前の制度を疑うこと
・社会におけるリスクと自己責任のあたりは、サンデル先生読んでもやもやしてた所がすっきりした。
日本人的だ。
・内田樹の文章がちょくちょく引用される。凄く単純なのになかなか口に出せないようなことをズバッと言ってのける。すっきり痛快。
リスクの共通性、オーバーアチーブ人間とアンダーアチーブする人間、とか。
・ルール7、権利を使わない人は政治家からも無視される
忘れがち。自分からのアクションは不可欠。
当たり前を疑う、最近の私の中でのホットワード。
当たり前なんかないんだ、ってな