千葉雅也のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
何とも言えない含みのあるタイトル。だからこそ期待してしまうのです。この本には一体何が書いてあるんだろう?と。
ドゥルーズといえば、國分功一郎さんの『暇と退屈の倫理学』の結論でも言及されていた思想家であり、「待ち構える」という彼の人生観が私にはとても深く刺さりました。
『動きすぎてはいけない』は、千葉雅也さんの博士論文を改稿して出版されたというだけあって、求められる基礎知識のレベルの高さや、難解な表現の連続で、読みきるにはそれなりの忍耐が必要でした。。。
1回読んだだけでは断じて理解したとは言えませんが、千葉さんがドゥルーズを独自の視点で読み解き、過剰につながろうとするだけではなく、非意味的に切断する(動きすぎない)ことも必要だよと言ってくれることで、気持ちが救われる人もきっと多くいると思います。
『現代思想入門』や『勉強の哲学』では、わかりやすい表現で、私たちを楽しく哲学の世界に引きずり込んでくれた千葉雅也さん。
彼の真髄を感じるにはうってつけの一冊ではないでしょうか。ぜひ挑戦してみてください。 -
Posted by ブクログ
勉強を哲学的に捉え更に実践の仕方もあり、読み応えがあった。
アイロニー=「根拠を疑う」こと
ユーモア=「見方を変える」こと
この2つが勉強におけるキーワードとなる。
序盤の哲学的な表現の仕方が私にとっては不慣れな為、読みにくさがあったが、身近な表現での具体例により読み進めることができた。
また、実践編では以下の部分が参考になった。
・自分の実感に引きつけないで読む、というのは、あるテクストを「テクスト内在的」に読むことである。それはテクストの構造=設定における概念の機能を捉えることである。
・二頂対立を把握する。普段の生活から、何を読む時でも、反対語に気づくよう心がけるといい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ朧気な記憶だが、「文学賞メッタ斬り!」で豊崎由美が「インテリ版西村賢太」と評したので興味を持った上、年下の友人が面白いと言っていたので。
西村賢太式露悪癖もないではないが、むしろスケッチや、時代習俗を文章を用いて保存する試みだと感じた。
解説の町屋良平の文章も面白いが、ネット上で保坂和志との対談を読んで、これが断然面白かった。
(自分は保坂和志の読者ではないが、きっと好きなんだろうなと思っている。)
ハッテン場の描写から始まるが、個人的には第119回(2014年度・下)の文学界新人賞で佳作となった森井良「ミックスルーム」がずっと記憶に残っているので、連想したりした。
が、本作のゲイセックスはむしろ自身の可塑性(と言っていいのかしらん? 変容可能性?)の一部であるのかなと思った。
猫になったり、知子になったり、動物になったり、少女になったり、締め切りになったり。
「僕」の生成変化は割と忙しい。
大学生活はのんびりしているのに対して、内面の動き。
知に触れることで自身が組みあがっていく、ブッキッシュな青春ではあるけれど、頭デッカチではなく、ぬぬーっと身体性(性欲)が頭を蠢動している。
同級生との交流は正直柴崎友香っぽいと思ったが(彼女もまた佐々木敦所謂ところの保坂スクール出身)、指導教授徳永の存在感は、なかなか出色で、メンター小説という面もあると思った。
いずれにしてもスケッチの集積が小説としてのまとまりを持ち得るという観点は、いいものだ。
なんでも「オーバーヒート」、「エレクトリック」を足して三部作とするらしい。
3作目は高校時代のインターネットとの出会いが題材らしいが、並べるとどうしてもセクシュアルな単語を意識して取り上げているように、つい感じてしまい、勝手に期待してしまう。
ところで森井良、今回検索して知ったが、なんと獨協大学フランス語学科専任講師で、翻訳多数。
しかも積読にしている「特別な友情──フランスBL小説セレクション」の編訳者のひとりらしい。
「ユリイカ 詩と批評 総特集 大江健三郎 1935-2023」に、「大江の〈A〉、オントのにおい」という文章を寄せていたりして、うーん興味湧く!
と書いたあとで、自分のevernoteを検索してみたら、2年前に遠野遥「改良」の感想にて、
>なんとなーく連想したのが、第119回文學界新人賞で佳作だった森井良「ミックスルーム」(初めて知ったがフランス文学者で、「特別な友情―フランスBL小説セレクション―」を編纂しているのだとか!)、いや本作はゲイではなく異性装。
と書いていた。
……どんだけ脆弱な記憶力で、どんだけ同じ連想圏をうろうろしているんだ。 -
Posted by ブクログ
良い小説だなと思った。場面転換が頻繁にあるのだけれど、話をぶったぎるなんてものは全く感じなくて、まるで映像(映画のような)の視覚効果のような気がした。
その色々な場面のなかに「僕」と「先生」の会話があるのだけれどそれが重要な気がする。でもちょっと難しくもあり完全に捉えることができなかった。
そして何より誰にでももある(あった)であろう、あの年齢の時のあの空気感がすごく出てる。友達と夜中ドライブにいったり、ご飯を食べたり、引越作業だったり、家庭のあれこれ...。青春小説かな?不思議だ。
後半に知子と電話する場面で知子の視点が出てくるのだけれども、それがどういう意味だったんだろうって今考えている。そういう余韻というか考えさせられるものがあるというのも良い。
解説だと思って読み始めたらなんだか難しくて、よく見たら解説って書いてなかった(笑) -
Posted by ブクログ
檜垣さんの「ドゥルーズ―解けない問いを生きる 」が、面白かったので、勢いでこちらも読んでみました。
檜垣さんの本は、ベルクソンの後継者として、何か時間の中で継続しつつ、生成し、差異を生み出していくというイメージでドゥルーズを読んでいた。
このドゥルーズ像は、これまで私がわからないなりに読んできたドゥルーズとは結構違うイメージで驚いた。私は何を読んできたのかな?これまで読んだのが、どっちかというとドゥルーズ=ガタリだったからなのかな?など、考え込んでしまった。
で、こちらは、私のこれまでのドゥルーズ理解との共通性が多い気がした。つまり、ドゥルーズ=ガタリのリゾームとか、機械とか、器官なき身体とか、そういう部分がしっかりと論じられている。で、そちらだけでなく、檜垣さん的な時間の中での生成という側面とそれが対比、統合されている感じかな?
それが、ドゥルーズの多くの主著の解釈を読み解きながら、議論が進められつつ、さらにはドゥルーズから現代的な意味を生成していくような感じでスリリングであった。
とは言っても、読み進めていくと議論はだんだん難しくなって、何を言っているのかわからなくなる。
修行が足らんなと思い、自分の理解度に応じて、評価は3つにしてみた。この本自体の評価ではない。