千葉雅也のレビュー一覧

  • デッドライン(新潮文庫)
    哲学がエンタメとなって、元々哲学に関心のなかった層にも手の届くところまで降りてきた、というイメージを持った。國分功一郎さんの本が話題になったりと、最近フランスの現代思想の流行を感じるが、少しでも齧ったことのある人は楽しめる作品になっていると思う。

    主人公は同性愛者の院生で、ドゥルーズの生成変化につ...続きを読む
  • デッドライン(新潮文庫)
    正直な感想は序盤は退屈かつ、時系列が複雑な場面転換についていけず読みづらかった。
    しかし、最後まで読むと、序盤〜中盤までのつかみどころのない話が意味を持つ。
    繰り返して読みたい作品のひとつになった。
    はっきりとした起承転結があるわけではないので、他の感想でもあるように退屈と感じるかもしれない。王道の...続きを読む
  • アメリカ紀行
    例えばメンターみたいな人と話してたら、会話の端々に「なるほど」と頷くようなことあるじゃないですか

    そんな本です

    短期留学先のアメリカでのふとした日常をきっかけに哲学的思考を少し広げ、それをつらつら書いてる

    大風呂敷感がないのが良い
    所々難しいけど
  • デッドライン(新潮文庫)
    おもしろかった。何が面白かったってとてつもない衝撃があったわけでも、特段感動があったわけでもないが、この小説でしか感じられない不思議な、ある種「放り投げだされた」感覚になる。それがまた面白いのだ。だって、小説が読者を放り出すのだから。しかし、これは、少しの哲学の知識か、著者千葉雅也の他の書籍などを読...続きを読む
  • 勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版
    本作の勉強-受験脳とは違うもの-はかなり創作論に近い気がする。日常に違和感をもつ、興味を持つ。そこから探求する、発想を広げる。そしてある段階までで諦めをつけ一度探索を止め、作品にして、再び探索に戻る。
  • 勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版
    うう、そんなに分かりにくくはなかったと思うのに、言葉のリアリティをとらえるとはどういうことなのかよくわからない。これができれば、仕事に対する態度も変化するのだと解説の佐藤優さんは言う。究極のビジネス書だとも言えるらしい。結局のところそこまで深く、いやそれはアイロニーなんで深く行きすぎてはいけないのだ...続きを読む
  • デッドライン(新潮文庫)
    長らく積読の状態で読めていなかった、千葉雅也さんの小説デビュー作『デッドライン』を読んだ。ページをめくり始めてから、最後まで止まらなくなる。こうした小説に出会える機会は年々減っているから、初めて読書の悦びに目覚めた中学生の頃を思い出して嬉しくなる。ありていに言ってしまえば、全ての私小説は当人にしか書...続きを読む
  • 勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版
    自分が生活している環境のノリから、あえていったん浮いてみる。日々の自分の行動はどういう枠の中で強制されているのか、学問の世界の言葉で考えてみる。仮の結論を出しておいて、その後も多くの情報を比較検討し続ける。そうし続けることで自らの生活を客観視しながら環境のなかで暮らせるようになる。勉強と、仕事や部屋...続きを読む
  • デッドライン(新潮文庫)
    TwitterのTLで気になって手に取りました。不思議な読み心地の作品でした。ドゥルーズの修士論文を書く「僕」の大学生活と哲学的論理思考が展開されてゆく。ゲイであることの視点=身体論なども新鮮な思考に触れたように感じました。一人称で書かれた小説であるのに、唐突に三人称視点が挿入される点も巻末の町屋良...続きを読む
  • デッドライン(新潮文庫)
    千葉さん、小説書いたんだね。

    対象として好き(=欲求?)なことと、
    なりたいと思う(=憧れ?)こと、
    似てるようで違うことだよなあと。

    あと、誰からも連絡のない一日というものを
    もう経験することがないのではと愕然としたり。

    ドゥルーズを修士論文のテーマとする
    哲学科の大学院生が主人公。

    ドゥ...続きを読む
  • 言語が消滅する前に
    脳みその中がいい具合にシャッフルされる感覚の対談。中動態の話はいつ読んでもおもしろい。
    2人の本の第二弾が読みたい。
  • 勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版
    勉強するとノリが悪くなる。
    最後まで読み通して改めてこの言葉を見ると、初めに読んだ時とは全く違う重みで読める。

    当たり前じゃないかと(笑)ちゃんと著者の意図するところが身体化してた。

    最後に要点をまとめてくれるのは、先に読んだ「現代思想入門」と同じ。几帳面な性格なだけのかもしれないが、私はこの人...続きを読む
  • 言語が消滅する前に
    対談形式は諸刃の剣みたいなもので、両者の対話がマッチしているとすごく良いが、そうでない場合はあっさりと読む気を失ってしまう。中間はあまりなくて、良いか悪いかどちらかに偏る傾向がある。
    本書はお二人の相性がよく、それぞれが良い味を出している前者の好例だと感じた。
  • 言語が消滅する前に
    他者の時間と自分の時間の二局に縛られずに生きていくことを心に留めて、訳のわからない時間を許容できればいいのか。
  • 言語が消滅する前に
    20世紀の哲学は、言語論的転回ということだったんだけど、その「言語」が消滅しているという。ならば、21世紀の哲学はどうなのか?

    みたいな問いがあるのだが、直接的にそれを考えるというより、SNS、ポピュリズム、コロナなどなど、今起きていることを例にしながら、ぐるぐると周りながら、その問題に近づいてい...続きを読む
  • 勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版
    どのように今までの自分を破壊し、新たな自分の地平を開拓するか、フランス現代思想を元に理論的な枠組みと、実践的な方法を指南した書物。
    他人からの影響を受けた既存のコード(社会通念、先入観といってもいいだろう)を破壊する方法として2つのあり方があるというのは非常に示唆的。
    おそらく私見では
    ・アイロニー...続きを読む
  • 言語が消滅する前に
    「責任回避論」のところが面白かった。ケーキ屋さんでの例え。相手に(お客)に改めて確認することによって「私は、ちゃんと確認しましたよね」というような自分が責任を負わなくても良くするというくだり。なんでも「責任」を追求してしまうあまり、社会や人間関係が窮屈になっているような印象を抱いていたので。どこかで...続きを読む
  • 言語が消滅する前に
    今をときめく國分さんと千葉さんの過去からの対談をまとめた本。ご本人たちも述べられていたが、別々に企画されたとは思えないほどに一貫性のある対話になっている。後から編集したこともあるだろうけど、筋は通っている。
    そこで語られているのは、エビデンス主義というか、責任と主体の問題というか、言語なき透明なコミ...続きを読む
  • 動きすぎてはいけない ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学
    アラン・バディウはドゥルーズの思想に潜在的な全体性の肯定を見いだし、そこにファシズムの危険性が伏在していると批判しました。著者はこうしたドゥルーズ像に抗して、「接続する」ドゥルーズと対置される「切断する」ドゥルーズ像をえがき出し、とくにそれが存在論においてドゥルーズ以後のメイヤスーやマラブーといった...続きを読む
  • 動きすぎてはいけない ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学
    千葉雅也(1978年~)氏は、フランス現代哲学及び表象文化論を専門とする、立命館大学大学院教授で、2013年に発表したデビュー作の本書で表象文化論学会賞を受賞した、現在注目される現代思想家のひとり。
    本書は、難解な哲学書ながらベストセラーとなったことは有名。単行本の帯には、1980年代のニューアカ・...続きを読む