千葉雅也のレビュー一覧
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良い小説だなと思った。場面転換が頻繁にあるのだけれど、話をぶったぎるなんてものは全く感じなくて、まるで映像(映画のような)の視覚効果のような気がした。
その色々な場面のなかに「僕」と「先生」の会話があるのだけれどそれが重要な気がする。でもちょっと難しくもあり完全に捉えることができなかった。
そして何より誰にでももある(あった)であろう、あの年齢の時のあの空気感がすごく出てる。友達と夜中ドライブにいったり、ご飯を食べたり、引越作業だったり、家庭のあれこれ...。青春小説かな?不思議だ。
後半に知子と電話する場面で知子の視点が出てくるのだけれども、それがどういう意味だったんだろうって今考えている。 -
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「哲学の名著50冊が1冊で学べる」という本を読んだのだが、どうもマスターした気になれないので本屋で平積みされていた本書を読むことにした。古代ギリシャ哲学についてはとてもわかりやすく面白かったが、中世からルネサンスに進むにつれけっこうキツくなってきました。
この第1巻はとても良い本だと思います。現在第2巻を読んでいるのですが、カントがキツイです。共著本を読んでいつも思うのですが、やはりわかり辛い点が出てくるので、一人の著者が書いた本の方がいい。カント哲学をわかりやすく書いた本はないのかい、超越論的とか定言命法とかもっとやさしく書けないのかねぇ。 -
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「デッドライン」「オーバーヒート」と進み、今回は主人公が高校生。「デッドライン」で孵化しかけて、「オーバーヒート」で蝶々になって、この「エレクトリック」はさなぎという感じ。高校生なので家族と住んでいて、そのかかわりを丁寧に描く。最後には自らを目覚めつつある性への扉に近づく。
舞台は宇都宮。雷都に雷様、なじみのある土地なので、主人公の鉄道沿線の家とか、最後の繁華街の描写は、あそこらへんなのか?などと想像してしまった。また主人公の家は街の中心部からは少し離れていて、中心部に行くことを「街へ行く」といっているのは、同じだなあ、などと思った。
2023.5.31発売
「新潮」2023.2月号掲載 -
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まずはじめに否定しておきたいのだが、この作品の紹介で、男性同性愛者と知り合う(かもしれない)男子高校生、という記述があり、この作品はその様な事象を主な題材とした作品なのか?、と捉えてしまいそうになるが、それは作中の主人公の好奇心の一端であり、決してそれが主題では無い。
主題、と言うか時代背景、は1995年という極めてピンポイントな「年」である。この「年」を通過した者なら誰もが実感するように、年初から立て続けに大地震、テロ事件、が起き、そして何よりWindows95が世界中で発売されて一部の者はその「世界中」と繋がりうる「インターネット」の可能性に大いに心震わせた「年」である。
主人公の多感 -
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ネタバレ哲学がエンタメとなって、元々哲学に関心のなかった層にも手の届くところまで降りてきた、というイメージを持った。國分功一郎さんの本が話題になったりと、最近フランスの現代思想の流行を感じるが、少しでも齧ったことのある人は楽しめる作品になっていると思う。
主人公は同性愛者の院生で、ドゥルーズの生成変化について修論で書くことになる。ドゥルーズ+ガタリの『千のプラトー』には、人間、男性、支配者→動物、女性、支配からの逃走という生成変化について語られている(らしい。未読で、本書に出てきた内容をうろ覚えのまま書いているのでご参考までに)
「ドゥルーズは、生成変化を言祝いだわけです」という先生の言葉が印象的。 -
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正直な感想は序盤は退屈かつ、時系列が複雑な場面転換についていけず読みづらかった。
しかし、最後まで読むと、序盤〜中盤までのつかみどころのない話が意味を持つ。
繰り返して読みたい作品のひとつになった。
はっきりとした起承転結があるわけではないので、他の感想でもあるように退屈と感じるかもしれない。王道の小説(事件があってそれを解決するような)が好きな人には向かない作品だなとは思う。
裕福な家庭の〇〇(主人公)が大学院で修論を書きながら、大学院の友人たちとの交流やハッテン場で相手を探し行為をいたすのはとても詳細だが淡々としていて、失礼ながら「THE自堕落な生活」。
その中で、フランス思想や荘子など