無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで200万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
「デッドライン」「オーバーヒート」と進み、今回は主人公が高校生。「デッドライン」で孵化しかけて、「オーバーヒート」で蝶々になって、この「エレクトリック」はさなぎという感じ。高校生なので家族と住んでいて、そのかかわりを丁寧に描く。最後には自らを目覚めつつある性への扉に近づく。
舞台は宇都宮。雷都に雷様、なじみのある土地なので、主人公の鉄道沿線の家とか、最後の繁華街の描写は、あそこらへんなのか?などと想像してしまった。また主人公の家は街の中心部からは少し離れていて、中心部に行くことを「街へ行く」といっているのは、同じだなあ、などと思った。
2023.5.31発売
「新潮」2023.2月号掲載時に読んだ。
Posted by ブクログ
まずはじめに否定しておきたいのだが、この作品の紹介で、男性同性愛者と知り合う(かもしれない)男子高校生、という記述があり、この作品はその様な事象を主な題材とした作品なのか?、と捉えてしまいそうになるが、それは作中の主人公の好奇心の一端であり、決してそれが主題では無い。
主題、と言うか時代背景、は1995年という極めてピンポイントな「年」である。この「年」を通過した者なら誰もが実感するように、年初から立て続けに大地震、テロ事件、が起き、そして何よりWindows95が世界中で発売されて一部の者はその「世界中」と繋がりうる「インターネット」の可能性に大いに心震わせた「年」である。
主人公の多感な高校生は、比較的裕福で温和な家庭の中で、父親の職業を通じて、また自分の学校生活、あるいは兄弟(妹)との関係…等と、先に書いたような社会環境、の中で、かつて多感な思春期時代を過ごした者なら誰もが感じ得たような経験、興味、を示して日々を過ごしていく。またそのツールとして今でこそ当たり前になったインターネットが存在し、一般的になろうとしていた、事が実に興味深い。当時はまだ駅に伝言板はあったはずであるし、ファックスは当たり前、カメラも一眼レフかポラロイドくらいでしかなかった。私ごとにはなるが、その様な時代背景を私はちょうど転職をして、一気にデジタル化を進めようとする地方の一企業のデジタル化推進担当社員として、過ごした。この作品の主人公と同じように、時代が、コミュニケーションの方法が、変わっていく事を仕事でも遊びでも、大いに実感していた。その様な私の個人的な思い入れがあるからこの作品を楽しめた、という部分はあるかもしれない。
作中では決してそういった時代背景の描写だけでは無く、個性的な家族、また登場人物一人一人のある種、軽薄なディテール(ポルシェに乗ってやってくる女であるとか)も、読む者が頭の中でそれを思い浮かべるときに興味を抱く事ができる材料なのでは無いかと思う。
最後まで読んで複雑などんでん返しがある様な作品でも無いと思う。ただ決して言いようのない不快感とか、逆に高揚するハッピーエンドといったものもない。では何が面白いのか?、先に書いた様に私が同じ時代を主人公の高校生の様な何か言いようのない高揚感を抱いて過ごしたから、この作品を特別面白く感じたのかも知れない…。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。