千葉雅也のレビュー一覧
-
購入済み
面白い!
とても面白かった。対談本なのですらすら読めてしまうのだが、内容は決して軽いものではなくて、いくつも考えさせられる事柄があった。「ちょっとここのところを考えてから次を読もう」と思い、本を閉じて、考えるのだが、「もうちょっと読みたいなあ」と思ってしまい、考え切らずにまた読んでしまう、という本だった。多分、何回も読んでちょっとずつ考えることになると思う。個人的には、千葉雅也さんの、「僕はマイノリティとして、差別されても別のクラスタでありたいと思っています。それに、こっちはこっちで逆に異性愛文化を小バカにしたりするわけだから、それはもうお互い様です。」という発言がリアリティがあっていいなと思った。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ意味が収束しない=無限に多義的であることを意味がある無意味とし、我々は、意味が収束しないものを有限数の意味で解釈しているにすぎない。トマトの見方は、「赤いもの」「野菜」「球に近い」などなど受け取れる意味は無限に存在しているが、一旦トマトとして理解をしている。いわば、赤い野菜をトマトとして認識させるもの、多義的な意味を無意味に切断するもの、それこそを意味がない無意味としよう。千葉はその意味がない無意味が身体であるとする。
この意味が収束しないことはラカン、フロイトの哲学でも語られ、我々人間は物自体、現実界と彼らが呼ぶ認識できない領域があって、それに対する解釈をしているに過ぎない、その解釈が千葉 -
Posted by ブクログ
この本を読んで思い出した事があります。
もしかしたら何かの偶然で千葉さんや柴田さんの目に止まる事もあるかもしれないとも思い書いておきたいと思いました。またどうか一人でも多くの方の目に止まればなと思っています。
ジェンダーやトランスジェンダーという言葉を聞くようになったのは、2000年の初めの頃でした。
当時、自分はファッション業界で仕事をしていて、ゲイの多いファッション業界とその周辺ではとても身近な話題となっていました。当時のマルタン・マルジェラやジャン・ポール・ゴルチェなど多くのメゾンがコレクションのテーマにしていたシーズンがあった事も記憶にあります。ゴルチエ本人の口から聞いた事も覚 -
Posted by ブクログ
タイトルに惹かれ、昨今の言葉の誤用を嘆いた内容なのかなと軽い気持ちで手に取ったらもっと深く切り込んだ内容でした。
著者の方々やきちんと内容を知らずに購入したので、こちらが不勉強なため中々理解が難しかったです。
漠然と今まで自分の中で考えていたこと、気になっていたことが次のステップに進むようなヒントを貰えた気がします。
昨今蔓延る自己責任論。どうしてこうなってしまったのかピンとくるものがなかったのですが言語が思考に影響しているのではというのは自分の中では今までになかった視点だったのでとても興味深く面白かったです。
お二方の著作を読んだ方がこの対談をより理解できると思うので読む順番大事かもしれ -
Posted by ブクログ
中動態、勉強、コミュニケーション、エビデンス主義などなど、様々なトピックが、「言語」の横軸で横断的に議論されている1冊でした。とくに第3章「「権威主義なき権威」の可能性」が、示唆に富む内容が個人的に多かったです。
現代的なコミュニケーションは、何でも明確に表出することを求める、明るみの規範化が問題となっている。そうではなく、人には「心の闇」が必要である。言語化できないような不合理性があることで、曖昧なかたちのままで自己を認識できたり、どこか他者を信じれたりする。
それに関連して、エビデンス至上主義は、ある種の民主主義の徹底でもあるけれど、全てを明るみにしなければいけないとか、エビデンスだけ -
Posted by ブクログ
ネタバレセンスとは上手よりヘタウマ。モデルの再現から降りる。強度=リズム=デコボコ。意味から離れてモノをリズムとして見る。ビートとうねり。生物は安定を求めるが、わざと不安定、緊張の状態を作り出して、それを反復するのを楽しむ。目的達成を遅延し、余計なサスペンスを楽しむこと=丁寧に生活を楽しむこと。意味や目的からリズムへ、リズム=うねりとビートに乗る。意味のリズム=距離のデコボコ。予測誤差の最小化。リズム=「反復の予測と予測誤差という差異」のパターン認識。フレームの拡大→外れの経験をリズムにして平気になる。他方、平穏以上の刺激を求める。抽象化。客観性はなく、繋がるかどうかは設定次第。偶然への向き合い方の多
-
Posted by ブクログ
無駄なことを書いていない、読み応えのある本。二項対立を考える上で、具体と抽象の横断力が求められると感じる。以前から気になっていた「具体⇄抽象トレーニング(細谷功)」を読みたくなった。
ゼミでのディベートの総決算をしてる気持ちになる内容だった。本書は明確に哲学に寄せて考えるものだが、思考鍛錬として発想を広げられるよい機会になった。
ーーーーーーーーーーー
哲学用語は、日本語訳の仕方に問題があるように思う。脱構築論とかではなく、対立論や二分論などと表した方が幾分か理解されやすいように思う。現代はともかく、当時は排他的だなあと感じる。
同時に、筆者は哲学者は格調が求められた、としており、そもそも