千葉雅也のレビュー一覧

  • センスの哲学

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    人生は、何かを反復し、変奏していく。身体に起因しながらも、問題というものはそこから離陸し、抽象的な渦巻きとなっていく。一生涯を通して反復されるのかどうかわからない。ともかく問題と付き合いながら、人間は変身していく。あるどうしようもなさの反復には、その根底に、たまたまこの存在として生まれたという偶然性が響いている。偶然性、ランダムであることが重なっている。執拗なるものとしての必然性を持ちつつも、たまたまそうなってしまっているという偶然性が引き裂く。その時人は、そこに重要なものがある。そこには真面目にむきあわなければいけないものがある。

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    2025年12月12日
  • 勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版

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    『勉強の哲学』は、勉強とは自己破壊である、それは、周りの環境から強いられた価値観によって固まってしまった自分を破壊して新たな自分になろうという自分の作り直しです。ものの見方が狭かった、好き嫌いも硬直的で融通が利かない自分を壊して、もっといろいろなものを肯定的に面白がれるようになる、世界をより面白がれるよう言語それ自体として操作する意識を高める。言語の「道具的使用」から「玩具的使用」へ。言葉をおもちゃのように操作し、自分のあり方の多様な可能性を、環境の求めから離れて自由に考えられることが勉強の方向である。

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    2025年12月12日
  • 現代思想入門

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    思考の論理は「二項対立」で組み立てられ、その一方をプラス、他方をマイナスとする価値観があり、通常はプラス側を支持するように何かが主張される。その時に、二項対立のむしろマイナスの側、劣位の側に味方出来るようなロジックを考え、主張されている価値観に対抗する。そして対立の両側が、互いに依存し合う、言わば「宙づり」の状態に持ち込む。そういう論法がデリダの「二項対立の脱構築」である。

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    2025年12月12日
  • 哲学史入門Ⅰ  古代ギリシアからルネサンスまで

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     大学生の時、留学も視野に入れて、というより日本語の哲学研究書があまりにも難しくて、よくPodcastを聞いていた。それはナイジェル・ウォーバートンのPhilosophy Bites(哲学の齧り)であった。ひとつ15分ほどの番組で、ある主題についてウォーバートンのインタビューで第一人者が最前線の研究を語りながら聞き手を案内する充実した内容で、いまも続いている。本書は編者あとがきで言及されているように、その日本語版といった趣のある哲学史入門である。
     本書のインタビュー形式であるからこその臨場感は、全ての読者を哲学史のいわば「急所」へと招くものである。従来の哲学入門や哲学史入門で、わかるようなわ

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    2025年12月08日
  • 現代思想入門

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    思想について何の予備知識もない自分には「入門のための入門」としてとても分かりやすく、けど新鮮なことが多くて良い。読み返したい。

    構造主義(二項対立/物事には構造=パタン) → ポスト構造主義(デリダ/ドゥルーズ/フーコー) = フランス現代思想 → ポスト・ポスト構造主義(マラブー/メイヤスー)。ちょと遡って現代思想の源流(ニーチェ/フロイト/フーコー)の紹介。からの横道で精神分析のラカンとルシャンドル。最後は行き詰まってる(?)思想の作り方まで。

    メインはポスト構造主義の話だが、横道の精神分析(世間ではちょっとオカルト扱い)の章が興味深かった。人間は過剰な生物で自由度がとても高い。一方で

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    2025年12月07日
  • 現代思想入門

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     とてつもなく読み手(学び手)に配慮された書きぶり。文体は誠実そのもの。
     筆者は今まで知性を壁として提示してきた「哲学者」とは異なる。近年、永井玲衣など、哲学を開く人々が活動しているが、そういう使うための哲学を伝わることを大前提として綴っておられる。パリで実際に学ばれたことも書かれている。あたまがスッキリします。

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    2025年12月03日
  • センスの哲学

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    “センスとは才能ではなく技術である”という大胆な視点から、創造性や美意識を論理的に解明していく一冊です。
    哲学書でありながら、アート・ファッション・日常判断にまで応用できる内容で、「センスはどう磨かれるのか?」を言葉で掴みたい人に強く響きます。

    本書のおもしろいポイントは、抽象的と思われがちな“センス”を、千葉雅也さんが独自の概念や比喩によって見える化しているところ。
    たとえば、「決めすぎず、ゆらぎを残す」「自分のコンテクスト(文脈)を編集する」といった発想が示され、センスが“偶然のひらめき”ではなく“選択と調整のプロセス”であることが分かってきます。

    また、著者が哲学・現代思想・文化論を

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    2025年11月28日
  • 現代思想入門

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    先月の「勉強の哲学」に続き、千葉雅也さんの本を読む。日本の現代哲学の本を読んでいると何かと登場するデリダやドゥルーズ、フーコーの面々。フランス現代思想の偉人たちを丁寧に解説してくれるこのような本があることは本当にありがたい。感謝。後半は少々難解で何度か読まないとわからない気がする。逸脱や差異を大切にするポスト構造主義の考え方は、ただ人と違っていれば良いということではなく、むしろ他者は自分と違うという意味で「差異」なのだから、他者に開いていく必要があるんだという視点は納得感がある。贈与論を当てはめると、受け取った後に差し出すということにも繋がる気がする。おすすめ。

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    2025年11月24日
  • センスの哲学

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    ネタバレ

    センスとは理想像に当てはめにいくのではなく自分の内からの衝動を大事にすること。全ての物事はリズム。絵も色の配置や種類、大きさのリズム。危険を伴う逸脱が楽しいこともある。結末が遅延されるのがサスペンス的構造。逆に純文学的に物事をあるがままに捉えて、描写して、その中にリズムを見出すことも大事。立派な意味や感想だけを大事にするのではなく、もっと細部のディテールを味わってみる。その際に物事のリズムがある。

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    2025年10月13日
  • センスの哲学

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    結局何が言いたいのかではなくて、全体像をリズムで掴むこと、そのあり方を楽しむことがセンスを感じるコツなのだなーと理解。そしてこのスピード感ある社会でいわゆるセンスのある人が余裕をもって感じられるのは、そのリズムを楽しむという余裕なんだなと腑に落ちた。

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    2025年10月12日
  • 現代思想入門

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    著者は書き出しで、大胆にも「現代思想とはポスト構造主義である」と言い切っている。まさに私が一番に知りたかったことをズバリ最初に言ってしまう。
    さらに、著者は「真面目な話の部分」と「雑談のような部分」を「飴とムチ」のように繰り返すので、難解なジャンルの本なのに不思議とページがスラスラ進んでしまう。他の哲学書のような「君たちに私の知恵を授けよう」感が無いのだ。
    さらに、おまけとして国語の読解力の強化問題集のような付録まで設けてある、自分の読解手法を一般に公開したくなるほど、著者は語学エネルギーを余していると思った。

    読み終わって、著者の言わんとする「現代思想」の全体像はわかった。しかし、これは「

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    2025年10月10日
  • 現代思想入門

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    脱構築的に物事を見ることで、偏った決断をしなくて済むようになるのではなく、我々は偏った決断をつねにせざるをえないのだけれど、そこにヴァーチャルなオーラのように他者性への未練が伴っているのだということに意識を向けよう、ということになる。(第一章デリダ、p52)

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    2025年10月04日
  • 現代思想入門

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    この本を手がかりに
    障害について思考を巡らすの楽しい

    付録の
    読書の仕方考察が一番面白かったっていう…w

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    2025年09月03日
  • センスの哲学

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    複雑なことを複雑なまま捉えることの具体的なやり方としてのリズムへの着目。時間をかけて細部に注目していくことが大切

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    2025年08月28日
  • センスの哲学

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    物をそれ自体として即物的に楽しむと言う思想は自分と合ってると感じた。まあこう言うの読んでも明日には忘れちゃうけど、ふと思い出したものが残ってればいいすわ。

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    2025年08月25日
  • 現代思想入門

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    ネタバレ

    実生活で支えになるような学びが多く、文章も読みやすかった。
    人間は過剰な動物であること。そして、ただそこに存在するだけ。何か意味があるわけではない。無限な謎に向かうのではなく、有限な行為をひとつひとつこなしていく。という点がいつも小難しく考えてしまう自分にとってハッとさせられる内容で非常に良かった。

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    2025年08月07日
  • 勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版

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    家で読書していると小さな世界で一日を終えてしまうことに忌避感を覚える。
    しかし、実際は違う。言語を通して世界を旅し、次元を飛び越え感情を上下左右に揺さぶり、現実よりも強い刺激を受ける。ある意味で第二の世界とも言える。これはつまり、小さな世界にいながらもより大きな世界を光の速度を越えて旅しているとも言える。

    この本では実際に言語の世界と現実世界を二分して捉えることが勉強のスタートであることを示唆している。そして読書がその助けになるとも。

    読書に迷っている方がいればぜひこの一冊を手にとって頂きたい。

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    2025年07月27日
  • 現代思想入門

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    この人の文はすごくわかりやすい。理解できるレベルまで書き下された内容だけでなく、何度もその話題を出して復習せよ圧をかけてくる構成に、現代思想の作り方・読み方まで書かれ、まさしく現代思想入門。内容はしっかりまとめ、何度も本を読み返し血肉にしていこうと思う。

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    2025年06月24日
  • 現代思想入門

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    これが聴き放題はすごい!自分的にはニーチェのデュオニソス的なものとフロイトのリビドーの対比で哲学と精神分析学のつながりを示したところ面白った。もちろん、デリダとかドゥルーズ+ガタリとかの言ってることの雰囲気も伝わってきた。

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    2025年04月30日
  • 現代思想入門

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    これは私みたいな哲学初心者に一気読みさせる凄さ。もちろん表面的にしか辿れていないけど表面的に辿ることができている時点で画期的だと思う。

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    2025年04月23日