都甲幸治のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
すべてを読んだわけじゃないけど、こういうガイドがないと、外国の文学は理解することが難しいと思う。まして、この本は「短編」だけを取り扱っているから、初心者には尚更とっつきやすくていい。
p103 第一次世界大戦の戦闘は、ヨーロッパ全土に広がりました。先ほども述べたように近代兵器を使いまくった総力戦だったので、工場のような生産設備もまるごとなくなってしまうくらい、本当に焼野原になります。一方、アメリカは戦場にならなかったので、工場や生産設備が残った。単純化していうと、この時期、アメリカがどんどんものをつくってどんどんヨーロッパに売るという流れができます。アメリカが世界経済の中心になるわけです。
米ドルがどんどん強くなって、相対的にヨーロッパの貨幣価値が下がる、すると、アメリカ合衆国ではそれほど豊かでなくても、ヨーロッパに渡ればお金持ちのような暮らしができるということになります。そこで、若くて貧しい芸術家がフランスに渡っていくことになる。
p105 男らしさという価値と軍隊との関係については「手」の回で言及しましたが、「軍隊」と「男らしさ」と「アルコール」という要素はアメリカ合衆国の文化の中でつながっていくという部分があります。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ最近、ブコウスキーの長編が河出文庫で一気に復刊して入手しやすくなり、ひととおり備蓄できたが、本作は少し前に光文社で新訳となったもの。最初のブコウスキーとするのに程よい分量と内容。読むまではアウトロー的なイメージを持っていたが、勤務状況は真面目な反面、当時の〇ハラ行為が当然な中への怒りや反攻が多く、現状、ブコウスキーの分身たるチナスキーを応援したくなってしまう。ハラスメントが当たり前の時代の読者と現代のそれとでは、明らかに読み方も違うのだろうが、彼の無頼な生き方にはどこか憧れるし目を離せないし、求心力のある物語だった。チナスキーの物語はたくさんあり、今度は「くそったれ少年時代」を読むつもり(しかし原題に比べタイトルひどいね)。
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Posted by ブクログ
都甲先生が訳していたので。
ブロティーガンやブコウスキーを読んだ時からの何となくの直感だけど、アメリカ人の抱える悲しみは絶対日本人のそれに通底するところがある。
被差別階級を非人間的な存在として苦しみから逃れるとか、いやもっと言語的なレベルで…
本編もよかったけど、先生の解説だけでもかなり読む価値がある。今まで白人が差別してきた人々が自由を獲得し、境界線を侵犯してくるのではないかという不安を描く上でゴシックロマンスという形式が最適であったとか、「中立的」「科学的」言説と人種主義の強い力だとか。
ヘミングウェイと看護師もフェミニズム的に読むと面白そう。白人が白人ぽさを出すために髪を染めるとか、すごくかなしいなとも思った。 -
Posted by ブクログ
勉強と思いながら、ずっと積んでいた本なのだけど、第一講のポー「黒猫」から、もう面白い。
ガシガシ読み進めて、メルヴィルとサリンジャー、カーヴァーについては、カートの中に入れてしまった(笑)
筆者の作品の要約がまず上手いんだと思う。
短編だからかもしれないが、ストーリーが分かりやすく流れていって、原本に当たりたくなるような、いいバランスで語られている。
それだけでなく、作家の経歴と、当時のアメリカの社会的な状況、当時の人々にとって身につけねばならなかった「らしさ」などにも触れている。
アメリカ文学って名前くらいしか知らない、な人が読むと良いのではないかと思う。
エドガー・アラン・ポー「黒猫」
ハーマン・メルヴィル「書記バートルビー」
マーク・トウェイン「失敗に終わった行軍の個人史」
シャーウッド・アンダソン「手」
F・スコット・フィッツジェラルド「バビロン再訪」
ウィリアム・フォークナー「孫むすめ」
アーネスト・ヘミングウェイ「白い象のような山並み」
J.D.サリンジャー「エズメにーー愛と悲惨をこめて」
トルーマン・カポーティー「クリスマスの思い出」
フラナリー・オコナー「善人はなかなかいない」
レイモンド・カーヴァー「足もとに流れる深い川」
ティム・オブライエン「レイニー河で」
イーユン・リー「優しさ」 -
Posted by ブクログ
村上春樹/ルイス・キャロル/大島弓子/谷崎潤一郎/コナン・ドイル/J・R・R・トールキン/伊坂幸太郎/太宰治
どれかの名前にピンときたら読んでみてもいいかもしれない。
書評家、作家、翻訳家が10人。
ブコウスキーの訳者として知られる都甲幸治さんをホスト役にして1作家3人ずつの鼎談方式のブックガイド。
ブックガイド好きな上に本について語り合ってる人たちも好きな自分には楽しかった。
各テーマも興味深く、例えばキャロルは「あえて男三人で『不思議の国のアリス』を語る」とか太宰は「ダメ人間を描く小説の作者はダメ人間か」とか。
なるほど~と膝を打ちたくなるような考察もあって面白かった。いやあ、自分頭固いわ。
ただ他の方も書かれているようにネタバレも激しく、映画『ファイト・クラブ』のどんでん返しもしゃべってしまっているので、伏せ字にするとかネタバレ注意をいれるとかしてほしかった。
あと話題に上がった作品のリストもつけてほしかったな。
大島さんファンなのでミランダ・ジュライとケリー・リンクはひとまず読んでみようと思った。