最果タヒのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
白く染まる冬の時間は、すこしだけ赤らんだ頬すら、
星のように眩しくて、ヒイラギの実のあいだをすりぬける。
優しくなりたいも、強くなりたいも、
弱くなりたいも、嘘つきでありたいも、
このまっしろな今年に預けて、
来年へ、とびこんでもいいのかもしれない。
愛していると言うことを、お休みして、おめでとうと言いたい。
クリスマスが私の体に、一つの区切りをつけて、やっと、
よく眠ればいいよと教えてくれる。
あなただけが好きだった、それは、孤独の形をしていた。
なにもかもを好きだった頃を思い出す、12月。25日。
〈クリスマスの詩〉
知らない人が知らない人を愛するたび、
私の中からも愛が減っていく気がし -
Posted by ブクログ
ネタバレ彼女たちは地球人だけど女子高生だから理屈が欠損していて、そうしてそれがかわいらしさになるギリギリの年齢だった。ああ、このまま大人になるとかわいいどころか痛々しいばばあになるだなんて、こうあうのって現代社会の闇よね。どうしてそんなにかわいさの定義が主語によって変わっていくの。罠っぽい。
今の自分にできること、叶えられるレベルの夢だけ見て、そうして目標をどんどん小さくしていく。身分相応なんて言葉で言ってしまえば利口に思えるけど、結局、夢を見ていないのは柚子ちゃんのほうだ。東京に出てどうするの。なんでもあるけど、でも、夢は売ってない。できる範囲で、可能なレベルで、努力が必要にならないように夢を見る -
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Posted by ブクログ
ネタバレとある地下アイドルが殺人を犯してしまい、それを知った主人公とクラスメイトがアイドルをかばおうとする。でもその方法が「犯人が他にいると思わせて、彼女を無罪にする」というなかなかぶっ飛んだもの。
小説という媒体は便利なもので、そうしたヤバイ主人公たちを徒に拒絶する必要もなく、しっかりと受け止めることができる。
自意識過剰な主人公が、まぁ最後まで独りよがりではあるのだけど、クラスメイトとのかかわりを通じて、最後には素敵な告白をする。手放しで好きなものを好きと言えるなら、死のうがバラバラにされようがハッピーエンドでいいのかなと思った。