あらすじ
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星が見えない都会。夜景なんて誰も見ていない。でも。本当に新しいことはいつだって「夜」から始まる。中原中也賞、現代詩花椿賞の受賞を経て、詩の映画化、詩の個展、詩と建築のコラボレーションなど、詩人という枠を超え、存在が加速し続ける最果タヒ。現代のその先を切り開く、運命の第8詩集。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
風景を見たとき、内側の内容を景色に映すような、風景画の描き方のような、そんな感じの詩集。
常に死にそうで生きている人の心を聴いているような文章で、意味は分からなくても気分は分かる、というような文章群で面白かった。
スケッチ、自分のためだけの風景画がこのように描けるのだという発見があり、胸が苦しくなった。
これからもこの作者の詩集は読みたい。
Posted by ブクログ
久しぶりに最果タヒさんの詩集を読みました。
この詩集は、今までのようなポップな感覚は少し薄まり、ひどくうら悲しいような淋しい気持ちになる詩が多いと感じました。
淋しいと言ってもそこはやっぱり最果タヒさんなので、2020年的淋しさですが。
あとがきで、最果さんは「自分が生きている日々すべてを、自分がちゃんと選んだとは思えない。むしろ、流されてしまうこと、自分じゃ止められなかったこと、”そうせざるを得なかったこと”がいくつも自分の中にうずまいていて、それでもその日々が自分の人生として、自分の人格として、刻まれていってしまう。そのことにひどく疲れることもあるけれど、それでもその先にある明日や明後日が真新しいものであることを信じずにはいられない」と述べられていますが、そういわれてみると、この詩集はそういう趣旨のもとにかかれたものであるような気もしました。
「流れ星」
本当にぼくは孤独だ、と言ったときの、
本当に、は、だれに証明するための、もので、
だれがぼくの孤独を疑ったのか。(だれも疑っていない
だれもが聞き流している、川が流れている、
ぼくを聞き流している、
春の水が夏の水になった瞬間をぼくも知らない、
水はみんなぼくを聞き流して簡単に海に行ってしまう。)
さみしいって言えよ、とだれかが言った。
腹が立って、ぼくはさみしいと叫んだ、
だれももうさみしいという言葉を使えないぐらいに
うつくしく叫んだ。そうやって人類は、歌を発明しました。
ぼくは、心がなくて、
きみにはあるから、きみはぼくにそれをちょうだい。
人類はそうやって、愛を発明しました。
「傷跡」「天国手前」「5月」「氷の詩」「海の詩」もよかったです。
Posted by ブクログ
著者の思いがおそらくそのまんまの言葉で書かれていて、理解できるものもあれば、自分では届かないものもあった。人間の生と死を俯瞰しているような感覚になる。
また、あとがきを読んだあとの方が、詩の意味をさらに理解できるようになった気がする。
Posted by ブクログ
まず、『夜景座生まれ』というタイトル自体がとても好き。最初は音の響きが好きだと思っていたけれど、あとがきを読んでそのネーミングの経緯を知るとまた一段と、別のベクトルで好きが増幅する。
『夜景座生まれ』に収録されている詩は全体的にどこか仄暗く、物悲しさが漂っているような気がした。でも最後にはその物悲しさを包み込んでくれる優しさがあるような気がして、それが救いになっている。特に私は最後の「海の詩」が好きで、これがこの詩集の〆でよかったと思った。
Posted by ブクログ
(ぼくの恋人は水色や白色の景色をみつめて、孤独で仕方が無いのに生きるのは誰かと恋をしているからだろうかと思った、でも恋人はこれからもずっと、ぼくに出会うことがない)
Posted by ブクログ
最果タヒさんの詩は、わかるようでわからない
わかるなぁ、と思って読んでいた詩が突然自分のよくわからないところまで飛ぶ
逆に、よくわからないなぁと思って読んでいた詩が、全部読むとものすごく意味がわかったり
この詩集もそう。
でもなにより、最果タヒさんの詩には切実さがある。
それに惹きつけられて
わからないということの意味を考えながら
少しずつ読む。
とても大切な時間
Posted by ブクログ
言っていることというか、題材が一度他者へ向かって開いていったかと思えば、どんどん孤独へ向かって閉じてきている。その一方で、著者の言語へのアプローチは一貫してポップなので、逆に何か新しい感覚でもって世界の窓を開かれていくような快感を覚える。これは著者の初期の作品『グッドモーニング』からずっとそうで、ポップではないにせよ『何故か明るい気分になる』『今まで誰も言葉にしてくれなかった思想を言葉にしてくれたと思ってしまう』という持ち味があると思う。それが最新作でも味わえたので驚き。常に新しくてすごいなあおもしろいなあと思う。どんどん平易で恣意性の高い言葉選びに傾き、かたや読者は誰も言ったことのないことを言っているように感じるというのは、どういう仕組みなのかほんとうに不思議。なんでこんな詩が書けるんだろう。
あと個人的に、佐々木さんがデザインを担当した著者の本の中では、今回のエディトリアルデザインがいちばん1ページごとにハマっていて目を惹かれた。本を読むことに疲れているときも、次のページを開くと読んでしまった。
言葉って、文字って綺麗だなあ。
Posted by ブクログ
3.8/5.0
著者の頭の中の世界、みたいなものを翻訳せずそのまま言葉に書き換えたような感じがした。
どの言葉にも意味があるのか、それともニュアンスや感覚的なものなのか、著者の創作過程が気になった。
Posted by ブクログ
加藤シゲアキ先生が前におすすめしていたずっと積本になっていた詩集を久しぶりに手に取ってみた。少しだけ読むつもりがすっと心に沁みてあっという間に終わってしまった…!
以前銀色夏生先生はよく読んでいたけどまた違って新鮮だった!
生、命、血が印象に残った…-。
Posted by ブクログ
最果タヒさんの書く詩がとても好き
独特な言葉選びは最果タヒさんにしか生み出せないと思う
いつもの詩集とはまた違った雰囲気
驟雨のように言葉が降ってくる
「ヨーグルトの詩」と「静寂の詩」が好き
Posted by ブクログ
久しぶりに読みたくなって、いつかぶりの再読。
今回はとくに「土の匂い」が面白く感じて、スッと心に染み込んだ感じがした。
全ての詩を読み終わったあとに待っている「あとがき」が良い味を出しているなぁと毎回思う。