最果タヒのレビュー一覧
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主人公は地球で女子高生をやっている宇宙人。でも普通に地球人と同じ生活をし、普通の高校生となんら変わらず友人との関係や進路について悩んだりしている。奇抜な世界設定や特殊能力が幅を効かせるのでもなく、いわゆるキャラクター小説でもない。誰もが思春期に持つ現状や将来に対する漠然とした不安を描きだすことに主眼を置いた青春小説である。ただ、会話文がコミカルで量も多く、地の文も大方が主人公の心の中のツッコミといった具合。なので、ライトノベルと普通の小説の中間くらいの位置付けか。
私はとても面白く読めた。「覚悟」についての主人公の気づきは私にとっても有益な学びであった。登場人物たちの希望進路はバラバラだが、 -
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言葉にしてしまうと零れ落ちてしまうもの、物語が、関係性がある。しかし、人間が人間であるには言葉が必要だ。言葉にする以前の想いと言葉にしてしまった気持ちの差異というかうっすらした膜のようなものを僕らは伝えたいし聞きたいし見たいと思う。
物語という装置はそれを孕んでいる、孕める可能性がきっとあるんじゃないかって思う。きっと最果さんはそう思って詩だけじゃなくて小説も書いているんじゃないかって読みながら思った。だけどこうやって言葉にするとなにかが零れ落ちていく。それは個人個人の物語の中でふわふわと浮かんでいて形にしようとするときにほんのわずかな部分だけは表出できる質のものなのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
縦書きではなく横書きなのに意味があると思う。文字が横に並ぶときに見える形(キャラクター的な)をかなり意識して書かれていると思う。同じ言葉でも縦書きより横書きだからこそわかる感覚、ひらがなが特に視覚的に。読むという行為は文字を見ることだから。最初の一篇『星か獣になる季節』は岩井俊二監督『リリイ・シュシュのすべて』を思い出してしまった。蓮見と星野の関係性のように。『星か獣に~』はコミュニケーションと関係性についてふたりの地下アイドルファンの少年について書かれている。その後が書かれたもう一篇『正しさの季節』はふたりの少年と関係があったものたちの話。どこかに行ってしまった者と置いていかれた者の物語とし
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◼️ 最果タヒ「グッドモーニング」
最先端?の現代詩集は慣れないな・・女性最年少にして中原中也賞受賞の1st詩集。
最果タヒは小説「星か獣になる季節」を読んだ。表層に現象を潜ませる感じで、フィクション、悲惨な事件を周囲から想像させるという、正攻法ではないもの、しかし小説の体は成していた。だから今作の崩し方にはけっこうびっくり。現代詩はこんな感じなんだろうか。
まだの
その
遠い空の
」
上に舞い上がり子供のふりをしている小さなその
黒い/影!」から
雨が降り出すのだ、(「空想距離」より一部抜粋)
行や上下のずらし、/や+、「」の多用など使えるもの -
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最果タヒさんの詩が好きで、今回初めて小説の形で最果タヒさんの作品に触れました。なかなかむずかしい。1時間半ぐらいで読みました。
詩として読むにはボリューミーだし、小説として読むには飲み込みづらい。詩っぽい部分は完全に頭を切り替えて読んでく感じでした。慣れるまでは何度も脱落しようか悩みましたが、全部読んでよかった。
恋愛小説の分類と思いますが、私は読み終わったあと、恋とか愛とはなんだか違うものが頭に残っていた気がします。
近未来要素もいいなあって思いました。最近、身体改造系(?)の作品をたまたま手に取る事が多くて、なるほどこういう攻めもあるのかという気持ちです。後半の展開好きです。
あとがきもす -
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