最果タヒのレビュー一覧
-
-
Posted by ブクログ
詩は、わたしのなかにあった記憶や感情に、名前をつけてくれる。それで、これもあれもあってよかったんだと思える。「打楽器」という詩がすき。むかし、好きだった男の子が、わたしのためにピアノを弾いてくれたことを思い出した。すき、とつぶやいて部屋を出たら、そのあともその人は耳を赤くしてピアノを弾き続けてたこととか。もっといろいろ思い出はあったはず、感情もあったはず、でも思い出せなくて、また新しい人を好きになる。でも、ピアノだけはおぼえてて、すごくきれいで、2人になにがあったかさっぱりわからないけれど全部なかったことにはならない、美しいという余韻だけ胸に残る。この詩は、あの頃の説明しがたい想いや関係に名前
-
Posted by ブクログ
最近、突如現れた自分の「好き」の気持ちに戸惑っていて、そんなときにこの本に出会えたのは、何かの縁だったと思う。
何も「好き」が無いときに読むと、ちょっと濃い口と思ったかもしれない、だけど、今の自分には全てのページに必要としていた言葉が書かれていたような感覚。うんうんうんって100回くらい頷いた。
好きなのに、キラキラだけしていられない。ふと、こんなに「好き」を中心にして大丈夫かな?とか思う。何してるんだろう…という気分にのまれる。そういう戸惑いがある。
だから、気持ちがすごく支えられた。
誰かを好きな「自分」について考え続ける。結局、好きを自覚することって、自分の内面に深く潜っていくこと -
Posted by ブクログ
ネタバレ短かったり、長かったり、1話の中で場面が変わったり、色々な長さの話が入っている短編集。全てSFで、3作目以外どこか百合風味な雰囲気。大森靖子とコラボしてるのを見て納得。
以下、自分なりに纏めたあらすじ。主観ですので少々違うところもあります。
「きみは透明性」
リップマークをSNSのように気軽に相手の顔に飛ばせる時代。それを貰った人は付けてたままでも自分で取ってもいいのだが、主人公の姉は自分の顔より人から貰ったリップマークの方が価値があると言って取らず、顔をリップマークだらけにしている。主人公が好きなさらさらの髪も綺麗な顔も見れない。それに苛立ってクラスで器械ばかりいじっている陰キャの男の子