あらすじ
※この作品は固定レイアウト版です。
紙の本のレイアウトを忠実に再現しています。
詩の世界に新風を吹き込んだ詩人の最新詩集。
現代を生きる若者たちを魅了した詩集三部作(『死んでしまう系のぼくらに』『夜空はいつでも最高密度の青色だ』『愛の縫い目はここ』)を経て、今、未知の世界がこの詩集から始まる。若き言葉の魔術師が贈る最新詩集、待望の刊行。
《私には本当は私しかいないというそのことを、/季節の境目でだけ、思い出します。/生きていれば幸福より優しさがほしくなる、/この指で与えられるものがひとつずつ、ふえていく、/散りゆく世界、積もる白、私の人生、私の、/私への、果てのない、果てのない優しさ》――(「自分にご褒美」最後の6行)
《きみはかくじつに誰かに愛されるし、かくじつに一人ではないし/それでも孤独があるという花畑なんだ、ここは。/燃やそう、だから一緒にすべてを燃やそう、次の太陽にみんなでなろう》――(「冬の濃霧」最後の3行)
《軋むようだ、/骨が軋んだ、その時の音のように、/小さく、みじかく、私にやってくる、感情。/名前をつけて、いつまでも飾ることは、できない、/腐っていくから。/それでも、その瞬間の、小さな音、/それが、私の声をつくる、/身体から旅立つ、声を。/おやすみ。/私は、あなたが懐かしい。》(「声」最終連)
漢字、ひらがな、そして、句読点までもがポエジーを奏でる。
その上、タテ組、ヨコ組、行替え、行間の空白――斬新な詩行の列がポエジーを支える。(2018年10月発行作品)
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感情タグBEST3
Posted by ブクログ
最果さんの詩を読むと、〝自分まだ息できてるな〟
と感じます。
『私はただ、私一人が私のことを覚えつづけることだけが怖い。』
書き綴った言葉と共に息をしている最果さん、
これからも書き続けてください!いつも救われてます。ありがとう、
Posted by ブクログ
詩集って普段あまり読まないけど、ときどき読むと勝手に救われる。こんなふうに世界を掴もうとしてもいいんだな、とか、こんなふうに言葉を楽しんでもいいんだな、とか。視界がやわらかくなる感じ。
最果タヒさんのことはずっと気になっていて、ようやく読むことができた。少し悲しかったり、寂しかったりするなかで、愛とか、人やものや季節から与えられるものを信じている感じが心地いいな。
【読んだ目的・理由】最果タヒさんの詩集を読んでみたかったから
【入手経路】買った
【詳細評価】☆4.2
Posted by ブクログ
直後に読んだ本
死を考えることは日常の中で大月はないけど、死にたいって当たり前に思うよねって思えた!
私だけじゃないよー!って思うと少しは楽になる
感情とかもやもやを言語化するのめちゃ下手だけど、この言葉すごい代弁してくれてるっていつワードに出会えてのがよかった!
Posted by ブクログ
今じゃない、読むのは今じゃないって思い続けてずっと積んでたけど、その今がきました
今、って時に読むと、響く言葉がたくさんある
凍っていくように目が覚めたい
とか、真逆のことを書いてるのになぜか心に落ちるんですよね
だから、最果タヒさんが好きです
Posted by ブクログ
意外にも初読みのタヒさん。
以前、現代詩手帖を読んでいたときに作者を知らないまま目に止まったのがタヒさんの詩だった。
僭越ながら私にも同じものが奥底にひたひたと流れているのだと感じた。
タヒさんはそれを言葉にできて、私はまだそれができない。
いつかこんな風に言葉を使いこなせたらと思う。
Posted by ブクログ
頭がぐるぐるしたり疲れたりした時に最果タヒさんの詩を読むと、よくわからないけれど落ち着く。思考が分断されて、自分が目の前の文字列を追うだけの装置になるのを感じる。意味がわからなくても、想像が追いつかなくても、きらきらとした綺麗なことばを拾い上げられると嬉しいな、と思える。そうやって自分は練り上げられた言葉に助けられていると感じられるから、最果タヒさんの詩は好き。
Posted by ブクログ
詩を読んでも結局なんなのかはっきりわからないけど、それがいいんだよね。
独特な感性を持っていて、この不思議な文章の羅列に魅了された。
なんか円城塔を彷彿とさせるような感じだった。私だけかな?
あとがきまで詩になっているのが好き。
Posted by ブクログ
最果タヒの一見難解な、独特な言葉遣い。だけど自然にすーっと染み渡るように深くわたしの中に入ってくるような感覚。そしていつだったか覚えていないけれど、たしかに昔感じた気持ち。それらが詩中の言葉によって掘り起こされるようだった。
七夕の詩が好きです。
Posted by ブクログ
前回の三部作以来の詩集。どれも静謐という言葉が似合う。静かに終わりが近づいている、そんな優しい詩が多かった気がする。個人的には「おやすみ」の最後の部分がとても好きだった。そして巻末の初出を確認せずに「生存戦略!」を読んだときはびっくりしたが、ピンドラを知っているからこそこの詩を読んだときに湧く喜びがある。
Posted by ブクログ
三部作後の新作、ということで、いささか明るい。いや充分暗いけど。
なんかもう最果さんの詩集への感動は、「この人が同じ時代にいることがうれしい」という域になっているからうまく評価できない。この人が同じ時代にいてうれしい。だってさあ、「生存戦略!」とか「宇多田ヒカル」とか「SNS」とか、今この時代に生きている詩人が、詩に取り入れて私達に投げかけてくれるんだよ。それでいてちゃんと言葉が生きていて。うーん。
もう一度ちゃんと読もう。
Posted by ブクログ
最果タヒさんの作品に触れたのはこれが初。「愛情を躊躇なく与えること、正面から受け止めること」に対する問いを投げかけるような、独特の視点から書かれた詩が多いと感じました。
特に印象的な詩は「♯もしもSNSがなかったら」「かるたの詩」の2作品。「墓石には誰でも気楽に声をかけられるから、墓石を持っていたい。そうしたら自分の孤独が特別になるから」「すべての感情を見られないように振る舞うことが、愛し合うっていうことだ」といった内容は、メッセージ性があるだけでなく視点も斬新で心に残りました。
Posted by ブクログ
正直、初めての感覚、読後感。
普段、ビジネス文書の作成ばっかりやってるからか、世界観が違いすぎて戸惑った。深すぎて、理解しようと潜ろうとするのだけれど、浮力が強すぎて全く沈まない感覚。潜れればきっと素敵な世界が待ってるのだろうけど、結局浅瀬にしかいられない。そんな感じだった。
著者の他の作品にも触れて、もう少し浅瀬でジタバタしてみたいと思う。
Posted by ブクログ
詩はやっぱりよくわからないのだけれど、よくわからないまま強く惹かれる、きれい。
「かるたの詩」「神隠し」「二十歳」「夏の深呼吸」がすき。
「夏の深呼吸」は特に好き。
Posted by ブクログ
白く染まる冬の時間は、すこしだけ赤らんだ頬すら、
星のように眩しくて、ヒイラギの実のあいだをすりぬける。
優しくなりたいも、強くなりたいも、
弱くなりたいも、嘘つきでありたいも、
このまっしろな今年に預けて、
来年へ、とびこんでもいいのかもしれない。
愛していると言うことを、お休みして、おめでとうと言いたい。
クリスマスが私の体に、一つの区切りをつけて、やっと、
よく眠ればいいよと教えてくれる。
あなただけが好きだった、それは、孤独の形をしていた。
なにもかもを好きだった頃を思い出す、12月。25日。
〈クリスマスの詩〉
知らない人が知らない人を愛するたび、
私の中からも愛が減っていく気がしていた。
世界中が私を愛さない限り、ぜんいんを許さない。
ぜんいんを嫌いになる。
さみしはそんなかたちをしているのに、
私は何よりも美しい風景にそのきもちを喩えている。
ねえ。「甘い」と「眠い」は感覚として、よく似てるね。
好きという言葉で、人間の理性は眠っていくよ。
〈おやすみ〉
自分よりも誰かを信じたくなる瞬間。言葉。