最果タヒのレビュー一覧
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久しぶりに最果タヒさんの詩集を読みました。
この詩集は、今までのようなポップな感覚は少し薄まり、ひどくうら悲しいような淋しい気持ちになる詩が多いと感じました。
淋しいと言ってもそこはやっぱり最果タヒさんなので、2020年的淋しさですが。
あとがきで、最果さんは「自分が生きている日々すべてを、自分がちゃんと選んだとは思えない。むしろ、流されてしまうこと、自分じゃ止められなかったこと、”そうせざるを得なかったこと”がいくつも自分の中にうずまいていて、それでもその日々が自分の人生として、自分の人格として、刻まれていってしまう。そのことにひどく疲れることもあるけれど、それでもその先にある明日や明後日が真新しいものであることを信じずにはいられない」と述べられていますが、そういわれてみると、この詩集はそういう趣旨のもとにかかれたものであるような気もしました。
「流れ星」
本当にぼくは孤独だ、と言ったときの、
本当に、は、だれに証明するための、もので、
だれがぼくの孤独を疑ったのか。(だれも疑っていない
だれもが聞き流している、川が流れている、
ぼくを聞き流している、
春の水が夏の水になった瞬間をぼくも知らない、
水はみんなぼくを聞き流して簡単に海に行ってしまう。)
さみしいって言えよ、とだれかが言った。
腹が立って、ぼくはさみしいと叫んだ、
だれももうさみしいという言葉を使えないぐらいに
うつくしく叫んだ。そうやって人類は、歌を発明しました。
ぼくは、心がなくて、
きみにはあるから、きみはぼくにそれをちょうだい。
人類はそうやって、愛を発明しました。
「傷跡」「天国手前」「5月」「氷の詩」「海の詩」もよかったです。 -
Posted by ブクログ
最果タヒという名前がちょっと抵抗感あるじゃないですか、なんかね、手首切っちゃう系かなというかね。だから自分が読む感じの作家とも思ってなかったんだけど古本屋さんで見かけて、これが参考にしてるブックリストに載ってる作家の作品だったので買いました。タイトルがライトノベル風なんで抵抗もありつつ。最果タヒってこないだ町田康と対談してたな、というのも少し信頼に繋がる部分もあったしね。深くはないけどストレートにライトノベル風青春小説という感じで瑞々しくて面白かったと思います。いい時間を過ごさせてもらいました。いい読書体験になりました。本業の詩集とか他の小説なんかを読むこともやぶさかではないかなと思っています。
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アイドルを好きな高校生の話。
帯に『未熟で身勝手でひたむきで切実で痛々しくて恐ろしくて…青春以外の何物でもない』『共感できるワケないのに「なんかわかる」ってなって怖い!!』と書かれてますが、その通りだなぁと感じる小説。
主人公の山城の視点で語られる、これは青春なのかと苦しくなる異常さと、続編と、あとがきと、読み終わったあとのタイトルがとても好きです。綺麗なものを全部混ぜたら濁ってしまったみたいなそんな文体とお話。
「俺は、まみちゃんのがんばってる姿を見るのが好きだったんだ。ステージの上で楽しそうに踊って、歌ってら俺だってがんばってるし、がんばって生きているつもりだったけれど、でも、ここに俺よりもずっとがんばって、それでいて楽しそうにしている女の子がいるんだと思ったら、好きになるしかもうなかった。俺は彼女ぐらい、がんばって、がんばって、せいいっぱい応援したいと思ったんだよ。彼女は、特別なんだ」 -
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最果さんがあとがきで、「大森さんの人生に奇跡は一つもない」と書いていた。大森さんの人生に奇跡はない。どんな時も目の前のことを全部自分ごとにして、痛みを伴いながら進んできたのが少しずつ拡がっていって今に繋がっている。
読んでいて、文章が書きたくなった。音楽が聴きたくなった。音楽をしたくなった。色んなものに触れたくなった。色んな人に触れたくなった。全部を肯定したくなった。
「何にも阻害されず、発信された感情を誰かが享受して、それがまた感情を生んで。新たな価値観を生み続ける世界」そう大森さんが望んだ世界観たいと思った。そんな世界の一員になりたいと思った。 -
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ジャケ買いした。越谷オサム『いとみち』『陽だまりの彼女』北野勇作『きつねのつき』などで表紙を手掛ける西島大介氏の表紙。イラストが好きで買ってるんだけど、本人の著作は『世界の終わりの魔法使い』くらいしか読んだことないのでなんとなく後ろめたい。
著者は詩人さんということだけど、詩って買ったことないからその辺はよく分からない。内容をちゃんと絡めた感想は気が向いたら改めて書く。
青春小説と分類されるものを読む度に、過去の自分が抱いていた様々な思いが蘇ってくる。力加減を知らずにとにかくがむしゃらだったこと。将来を憂いて布団の中で涙を流したこと。自分にシーリングを設けることを知らずに、いくらでも夢を見たこと。過度な自己嫌悪でどこまでも自分を追い詰めたこと。
そんな様々な想いが飛び交うなかで、この小説を読んで蘇るのは、「焦り」の感情。夏休みの宿題が終わらない、卒論が間に合わないかもしれない、という焦りではなく(それはそれで恐ろしい思い出だし、今でも嫌な夢シリーズの一翼を担っているけれど・・・)、その年齢で得るべき様々なものを取りこぼしているのではないかという不安や、そんな自分への不甲斐なさ、劣等感だ。
私が青春小説を読むのも、自身の青春時代にたくさんのものを取りこぼしたと考えてきたからだ。夕日が差し込んだオレンジ色の教室に大切な忘れ物を取りにいくような感覚。それはそれで大切なことだと思う。今なお抱える幼少の頃の傷を、いくつも治してきた。解決していなかった悩みに、いくつも決着をつけて、思い出として昇華してきた。
だが、そうした悩みや傷の周りには、常に焦燥感に押しつぶされそうになっている自分がいた。「私はどうなってしまうんだろう」という恐怖。それに突き動かされて前に進むこともあれば、蹲ってしまうこともあった。どちらにせよ、一所懸命考えていた。
結果として、何らかの答えに行き着く人もいるかもしれない。だけど、私の場合、途中で心が折れてしまい、そうして焦燥感の中に身を浸すことを止めてしまった。確かに、かなり危ない状態だったから、しかたなかった。ずっと全力で走り続けられるはずがなかった。知恵をつけるうちに、自分に諦めさせるだけの理屈をこしらえることができるようになった。大人になるってことはそういうことだっていう考えを、何かの主人公みたいに否定する度胸もなくなった。そうした自己防衛は結局のところ自己嫌悪を生み出すだけで、そんな自分を捨て去ることもできずに、死にかけの体に意味のない延命措置を施してきた。
そんな中、不安の中を必死でもがいていた自分に、否定しなくてよい過去の自分にようやく出会えたことが嬉しかった。大した成功体験もない中で、それでも自分を奮い立たせてくれるものがあることに気が付けた気がする。忘れていた昔の自分に申し訳ないと同時に、今ならしてやれることがあるのではないか、と思える。
自分を変えなければいけない境遇にある私にとって、一つの画期となる読書体験だったのかも知れないな、と感じた。 -
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目の前の女の子が大切で一緒にいられることをうれしく思う、自分なんて必要ないと言い出したら「そんなことない」って怒る、それは当り前のことで、魔法少女だろうがアンドロイドだろうが天才ハッカーだろうがまったく関係がない.制服を着てしまえば『女子高生』という大枠で括られてしまう16歳から18歳の女の子たち、その中でちょっと『特別』になれた(なってしまった、そう見られてしまった)女の子たちが育む『普通』の友情の物語.
もしも誰かが今までと180度変わってしまったとして、別人だなんて思わないでその人として接することをやめないのが友達、という主人公のセリフにはっとした.「友達」と言ってしまうと安易過ぎて、何だか軽く感じられるような言葉の中に、隠された大事な部分ってきっとそこなんだろう. -
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ネタバレショート・ショートなので、一編が8ページくらい。その短い中で背景をぼかしつつも確信に迫る書き方してたりするものもあり、うまく咀嚼できないまま終わったものもあり、でも面白い短編集だった。
始まりが不穏なので、大体不穏な話が多い中、最初から最後までハッピーに終わる「切れたミサンガ」が好き。
人でも殺したんかと思いつつ、同じ格好ときたのでSFかと思ったら 笑
安定のホラーの「こわくてキモくてかわいい、それ」も好き。
それが不気味だけど、主人公が見下されてることに気付きながらも知らないふりして難を逃れてて、性格悪い私はざまみろと思ってしまった。
「久闊を叙す」も良い。
こんな形で、我が友李徴子を読むとは。新鮮な感覚だった。 -
Posted by ブクログ
260430-0518
色んなキャラクターへの「好き」の気持ちが言語化されている。
初めて見た時にこういう本があるんだ!?と凄く嬉しくなったのを覚えてます。表紙の可愛いイラストのインパクトもそうだし、タイトルもどういう日本語?と興味が湧きました。
読む前も読んだ後にも私は誰かが「自分の好き」を語る文章が好きなんだと改めて思いました。
最果さんの自分の気持ちを文章に出来る言語化力がすごい。
知っているキャラクターだと読みやすいし、こういう所が好きなんだと私とは違う角度から見ているのが興味深かった。
物語だから仕方ないとか現実ではないけど等の文章がなくてちゃんとキャラクターの生きている世界を肯定している文章なのが本当に良かった。
私は言っちゃう側なんだと気付かされて苦しくなった。
キャラクターは存在してる(涙)