あらすじ
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斬新な日本語が心に沁みる感動的な最新詩集。
それぞれの詩のタイトルが、すでに「詩」になっているようだ。――「冬の薔薇」「指」「惑星」「生理詩」「猫戦争」「才能」「飛ぶ教室」「ぼくたちの屍」「無人駅」「春の薔薇」など全43篇収録。
以下、少しだけご紹介――
《恋が恋だという確証はどこにもないまま/死体になっても手を繋いでいたらその愛は本当って信じている人のため/死体の手を結びつける仕事をしている 本当の死神の仕事》――(「恋は無駄死に」から一部引用)
《「春の、川の上に、光を凍らせて、削ってできた粒を撒いていく仕事をしています、/あなたたちがきれいだと言うのは私が嘘をついているから。》――(「me & you」から一部引用)
最後に、「激流」という短い詩を全篇。
《死を逃れ逃れ、命を、泳ぎ切って残るは/無数の誰かの手の跡ではなく無数の桜のはなびらで//一度も好きでなかった花に囲まれて死ぬ/一度も好きでなかった花に囲まれて死ぬ//「故人は優しい人でした」/私の好きな色は白でも黒でもない/でも冬は好きでした/誰も話を聞いていない/私だけが知っている桜の木々よ さようなら》――(「激流」)
詩という言葉の連なりが、言葉にできない部分まで伝わる、いや、確かに私たちに届く。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
詩は、わたしのなかにあった記憶や感情に、名前をつけてくれる。それで、これもあれもあってよかったんだと思える。「打楽器」という詩がすき。むかし、好きだった男の子が、わたしのためにピアノを弾いてくれたことを思い出した。すき、とつぶやいて部屋を出たら、そのあともその人は耳を赤くしてピアノを弾き続けてたこととか。もっといろいろ思い出はあったはず、感情もあったはず、でも思い出せなくて、また新しい人を好きになる。でも、ピアノだけはおぼえてて、すごくきれいで、2人になにがあったかさっぱりわからないけれど全部なかったことにはならない、美しいという余韻だけ胸に残る。この詩は、あの頃の説明しがたい想いや関係に名前をつけてくれて、すこし、受け入れられた。そう、あってよかったんだって。
Posted by ブクログ
好きな詩
恋は無駄死に 08
惑星 12
氷の子 16
me and you 20
repeat 28
猫戦争 40
まばたき 56
天国 60
カーキ・カーキ・カーキ 70
雨になる 82
特に、60、70が好きだった。
でも、僕にはまだ詩は早かった、
Posted by ブクログ
好きだった詩
8 恋は無駄死に
14 午前
24 満開
28 repeat
38 裸足
40 猫戦争
68 雨だれの詩
80 短命花
88 人で無し
あとがき
8.24.88が特に好きだった。
Posted by ブクログ
谷川さんの詩は平易な言葉で行間を味わうようだなと感じることが多いけど、最果さんの詩は静かなんだけど乾いてたり傷ついてたり、あるいはぐじゅぐじゅして萎んでる心の隙間を埋める、というよりはぱてぱてと詰めるという感じが自分はする。
そうやって沁みる人も多いことはわかるし、多分自分が10代20代なら共感しかなかったと思う。けど、ミドルというかもはやシニア寄りの自分からするともう痛々しくて仕方ない感じがすごくて、時たま息が詰まりそうです。でも読んじゃうんですけどね。通ってきた道を懐かしむように。必要な人にはとても必要な言葉の集まりだと思います。
「商業主義」「部屋は氷」が自分は好きです。
Posted by ブクログ
キスってつまんないな。
っていう一文がおもしろかった。ボキャブラリー展覧会みたいな詩をつくることもできるはずなのに、語彙がかなり絞られている。それはずっと感じてきたことだけど、今回特に感じた。それでいてこんなにたくさんの新しい詩が読めるって不思議だ。なんでこんなにおもしろいんだろう。
Posted by ブクログ
p21
me and you
愛しているぜって言ってる人の、視界に入りたい。
p39
裸足
優しそうな人はみんな瀕死なんですよ 最後の力を振り絞り 家に帰るとみんな死んでしまうんです
p44
才能
才能がある、という言葉を一度でも聴いたら、簡単には死ねない体になり、ぼくはいつまでも街に試され続ける体になる。
簡単に、それも軽々しく好き、といえない複雑さを抱いている。どうしてかはわからない。句読点のリズムやシグネーチャーと言っても良いくらいの文体。は割とどうでもよくて、不意にぶっ刺さるものがあって、痛快だし、不思議。
Posted by ブクログ
一年ぶりのタヒさんの詩集。
正直今回はあまり響かなかった詩のほうが多いという印象だったな…
それぞれの詩におけるワードチョイスが過激というか、直接的な表現が多くて読んでいて少し疲れてしまう気がした。まさに表題の薔薇のように棘が多かった、というのがしっくりくる。
ただ、その中でも「ときめく」「人で無し」と「春の薔薇」が好きだった。
Posted by ブクログ
流れるような言葉から美しい棘が無数に突き出ているようで、怒りや悲しみ、憤りなどが色濃く表現された詩が多いように感じました。
「氷の子」「満開」「裸足」「才能」あたりにとくに胸がざわつきました。
自分的には、この世界的なあれこれがなんとかもう少しおさまってくれた時に改めて読み直したい作品です。
Posted by ブクログ
今回の最果タヒさんの作品は、へそ曲がりの作品ばっかりだと思ってしまいました。
絶望の詩と思われる詩もありました。
どこか、褒められるところを見つけようとして読んでいたのですが、何でこんなに冷たい詩ばかりなんだろう。
何でこんなに淋しい詩ばかりなんだろう。
今までも、甘く優しい詩はなかったけれど、今回のはひねくれすぎていると思いました。
私はレビューにあまり悪辣なことは書かないようにしていますが、少し怒っています。
こういうものを読みたい訳では全然ないんです。
例として、「春の薔薇」は詩としての完成度はとても高くて美しいと思いますが、とても淋しい詩だと思います。
「春の薔薇」はストーリー性があってカタルシスのようなものも感じられ救いがあり、これだけ読むと「素敵!」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、全然、救われない絶望しかない詩も他にたくさんあります。あえて、この詩を取り上げたのは、私からの恩赦のようなものと思ってください。
「春の薔薇」
ぼくの体をあげるよ、と冬の中で呟いたら春になっていた、
ぼくの命の代わりに春が芽吹いて、
まるで今から死ななくちゃいけないみたいないい天気。
あなたが、あなたとして、
誰かと恋をしているのを、絵にして部屋に飾りたい。
それ以上何もいらないと本気で思っている、
悲しみや寂しさがある人間を綺麗だという人たちが滅んだ後で、
ぼくは唯一咲いた薔薇の花になる。
誰にも、捧げない。誰も、ぼくを捧げない。
ぼくはあなたが好きだった。
あとがきで、御自分のお気持ちを最果タヒさんは述べられていらっしゃいますが、あとがきではなく作品だけでわかるように書いて欲しいと思えました。
私はもっとあたたかみのある詩のほうが好きです。
このような作品では、人は救われないと思います。