・「ハイパー・ノマド(遊牧民)」の時代
ハイパー・ノマドとは国籍、人種、言語、仕事とった壁を軽々と飛び越える自由な人々。21世紀は間違いなくハイパー・ノマドが活躍する時代。
「水・食料」「資源・エネルギー」「外交」「娯楽」の4つを最低限、個人で確保すべきだ。
補足すると、「外交」は異なる地域間での対話や都市ではなくコミュニティ間での交流を意味する。
この先どうなるかを知るためにハイパー・ノマドになる。
・ポスト・デジタルとしての「オーガニック」
現在の価値観は、所有ではなく、共有でもいいのではないか、ということ。モノを持たないのが21世紀の発想。
オーガニックとは、一般...続きを読む 的には無農薬有機栽培のこと指す。しかし
高城的には、もっと人間の本質や考え方、生き方全般に深く関わる、
ライフスタイルそのものなのだ。これからの人生をより良くするための哲学であり、自分自身の精神と肉体をヴァージョンアップさせる処世術。
エコやグリーンは地球環境を中心とした考え方であり、
オーガニックは人間という一個人を中心とした考え方である。
・イギリスでの熱狂的なオーガニック・ムーブメント
背景としては行き過ぎた資本主義に対するアンチテーゼ。
大きく2つ
①
イギリスの物価はこの10年ほど上がり続けていて(毎年の平均物価上昇率は2%3%ほどで推移)、しかも食品、電気、ガスとった日常生活に直接関わる分野での上昇が目立つ。さらに賃金の上昇率が物価の上昇率に追い付いていない。そのため家計は確実に苦しくなっているのが実情。
②
病原菌の発生に対する食への考え。
90年代以降にBSEや口蹄疫などの大発生がイギリスで起きた。
それ以来オーガニックに関心を向けるきっかけのひとつとなる。
・有名シェフ ジェイミー・オリバーが目覚めたオーガニックフード
世界で最も人気のあるトレンド・シェフの一人、ジェイミー・オリバー。
現在はイギリスの料理番組シリーズ「The Naked Chef」iに出演中。
彼がテレビ番組で積極的にオーガニック製品やハーブを使ったことが
イギリスでのオーガニックムーブメントを盛り上げるきっかけになったとも
言われている。
ジェイミー・オリバーは食に関するさまざまな革命に挑んでいる。
中でも「学校給食の改善運動」が有名。
ちなみにイギリスの給食はほんとうにまずい。。。メニューの中心はフライドポテトやハンバーガー、ナゲットなどのジャンクフード。なんだかよく分らない肉で作られたミートローフや、脂まみれの冷凍ピザ。さらにデザートは糖質たっぷりのチョコレート。野菜の出番はほとんど無し。。
そもそもなぜそのような事態に陥ったかというと、、、
サッチャー時代の福祉削減政策で給食予算が大幅に削減されてしまったからである。1食当たり56円~75円では栄養バランスの良い給食は食べられない。
そこでジェイミーが立ち上がった!
①
バランスの良いおいしい食事を子供たちに食べさせるが「まずい!!」と
言われ吐き出させれることも多々あり。そんな奮闘記が大反響を呼び
ウェブサイト上で集めた給食改善を求める署名は27万1677件に到達。
②
養鶏場や養豚場で劣悪な環境下で肥育される動物たちの現状を訴えるなどさまざまな啓蒙活動を続けている。
・フリーレンジ 野菜だけじゃないオーガニック思考
ロンドンのレストランで鶏料理が食べたくなったら以下のことを試してみよう!
メニューに「Free Range(フリーレンジ)」と書いてあるかどうか!
フリーレンジとは鶏を屋外の自由に動き回れる環境で飼育する養鶏方法のことだ。要するに放し飼いである。21世紀のロンドナーにとってはフリーレンジの表記がないということは、その鶏は食べてはいけないとほぼ同義。
フリーレンジではない鶏はどうやって育てられているかと言うと、暗くて狭い鶏舎の中にぎゅうぎゅうに押し込められて急激に肥らされた挙げ句満足に2本の脚で立つこともできずに殺される またはひたすら卵を生むマシーン。このようなやり方インテンシブと呼ばれる手法である。
フリーレンジを推進する背景
①快適な環境でナチュラルに育った動物たちは安全でおいしいはず。
②命ある動物を工業製品のように扱うのではなく、「命あるもの 自然のものを尊び、敬う謙虚な姿勢」を持つことが重要。
ちなみに日本では鶏の産地は書いてあっても、育ち方を表記する習慣はない。でも本当に重要なのはその鶏が皿にのってでてくるまでどんな風に扱われたかではないだろうか?
・イギリスに伝わる優れた技術 ホメオパシー
ホメオパシーは同種療法と呼ばれる代替医療や自然療法の一つ。本来は人間用。
ホメオパシーでは抗生物質や科学的に調合された薬ではなく、レメディと呼ばれる無毒・無成分の砂糖玉のようなものを服用することで、肉体や精神を治癒すると言われている。このレメディを患者の病状などに合わせて選択する人をホメオパスと呼ぶ。
イギリスでは健康保険が適用される立派な医療。ホメオパスになるには国家資格の取得が必要だ。エリザベス女王お抱えのドクターはホメオパス。
・金融帝国イギリスの近代歴史
概要としては
80年代半ば 景気低迷と高い失業率に苦しめられ、金融をはじめとするジャンルのオープン化を進める。
そして90年代後半、たった10年で20世紀を駆け抜けてしまった
伝統的なイギリスの金融機関のほとんどはアメリカなどの金融機関に買収された。有名なサッカーチームのオーナーはほとんどがイギリス人ではなくなった。ロンドン市内にはヨーロッパ中の有名レストランの支店が軒を連ね、数ブロックごとにスターバックスがある。「世界一食事がまずい国」
「紅茶の国」という面影はもはや無し。
さらに詳細を記載。
1997年 2つの大きな出来事
①トニーブレア率いる労働党政権(ニューレイバー)の誕生
②ダイアナ元皇太子妃の死
この年を境にイギリスは大きくグローバル化へと舵切りをする。
イギリスの20世紀は1997年にはじまり2008年に終わりを告げた。
言い換えるとイギリスにおいては1997年まで19世紀が続いていた。
第二次大戦後、日本の高度経済成長、アメリカ、ヨーロッパなどの成長に恩恵を受けることがなかったから。
19世紀初頭
産業革命を起こし、他国に軍艦で乗り付けて植民地化しあらゆる富を吸い上げるというやり口で世界に君臨。世界中から入ってくる豊富な原料を元に大量の製品を世界市場に送り込み、やがてポンドは世界の基軸通貨になる。イギリスは「世界の工場」「世界の銀行」として覇権国家の絶頂を極める。
以外にそのイギリスの貿易収支はずっと赤字だった。実際、製造業は後発のアメリカやドイツに追い上げられた。
しかし
イギリスは蓄積した豊富な資金でアメリカなどの外国政府や鉄道、鉱山はどへ投資することで得た膨大な利子収入で超儲けた。
20世紀に入ると、世界恐慌や世界大戦に巨額を投じ、疲弊していく。
また景気がイイころに作られた社会保障のツケが回った。人々は手厚い福祉に甘えてすっかり勤労努力を怠り、イギリスはますます非効率な国家へと没落。やがてイギリスとポンドは信頼を失い、ドルに地位を奪われる。
さらにEUの前進ECへの加盟が遅れたことも痛手。フランスやドイツが主導で進めたので覇権国家のプライドが許さず結局加盟は見送り。
さらにオイルショックがイギリスをおそう!年平均10%を超えるインフレに失業者の増加、そしてストライキ。病院や学校すら麻痺。英国病と皮肉を
こめられて言われた。
・サッチャー政権の構造改革
そんなイギリス経済に強烈なカンフル剤を打ちこんだのがかの
「鉄の女」こと マーガレット・サッチャー。
1979年 新自由主義を標榜する保守党のサッチャー政権が発足。
彼女は英国病を治療するため改革を進める。
努力することを忘れたイギリスのケツをたたいた。
施策としては
「国有企業の民営化」
「労働組合の弱体化」
「大規模な規制緩和」
「都市再開発」
①
1986年 金融ビッグバンと呼ばれる大規模規制緩和 実施
株式売買手数料の完全自由化、取引参加資格の開放によって
アメリカをはじめとする外資がロンドンの金融街シティへ大挙して押し寄せた。失業者は金融サービス業へ次々と転職。
これはイギリスが経済の主軸を製造業から金融業へとシフトしていくことを表す。
② 都市再開発
金融街へ変貌を遂げさせた。ドッグランズには本当に何もなかった。。。
やがてドッグランズはイギリスの三大高層ビル(ワン・カナダ・スクウェア、HSBCタワー、シティグループ・センター)が立ち並び世界から名だたる
金融会社や法律事務所などが入居。
・サッチャー政権のツケ そして 崩壊
強固な改革により活気を取り戻したイギリス。だが代償も大きかった。
所得格差が拡大して貧困層は増加。失業率は改善しなかったし、犯罪率もアップ。
1990年にサッチャーが退任するとメージャーが引き継ぎ、保守党政権は18年間も続いた。
・1997年 労働党 ブレア政権発足
ブレアが行ったのは、弱肉強食でもなく、従来型の福祉国家とも違う、
効率的で公平なあたらしい路線。それを「第三の道」と呼んだ。
要約すると
「きちんと義務を果してくれれば国はちゃんと権利を機会を与える」。
・ブレアの国家ブランド戦略 「クール・ブリタニア!」
企業のブランディングは当たり前だが、ブレアは国家レベルでブランディングを行い成功に導いた!
ブレアが着目したのは
DEMOSというシンクタンクの若き研究員 マーク・レナードが記した
「登録商標ブリテン」というレポートだった。
デザインやアート、情報メディアといったクリエイティブ産業によって変えていく。
イギリスはちょうどその時、イギリスの若者達が発信するさまざまなカルチャーが世界の注目を集めていた時期でもあった。
音楽界ではオアシス、ブラー、映画界ではトレインスポッティング、ファッション界ではジョン・ガリアーノ、ポール・スミス、アレキサンダー・マックイーン、アート界ではダミアン・ハーストなどなどなど
ブレアはそれらの素材を見事にパッケージングして
「クール・ブリタニア」というスローガンを付けて各国大使館にブランディング担当を配置し国家のプロモーションを超大々的に実施。
ブレアはクリエイティブ産業を13つの産業に定義づけした。
「デザイン」「音楽」「建築」「ファッション」「映画」「演劇」「アート」「工芸」
「ソフトウェア」「コンピューターゲーム」「テレビラジオ」「広告」「出版」
・ゲイ人口 360万人 そしてピンクポンド
イギリスには多くの同性愛者達が生活している。
2005年12月に発表された公式データによればイギリスの同性愛者人口は約360万人。全人口の6%。そんな彼らの旺盛な消費活動によって生み出され市場に流通する貨幣 「ピンクポンド」である。
06年時点でピンクポンドの実質的な市場規模はおよそ700億ポンド。
1ポンド140円のため約10兆円というモンスター市場!
同性愛者達は、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの
頭文字を取り 「LGBT」 とも呼ばれている。ブレアのクール・ブリタニアにはお得意様であった。
彼らの年収は3万4000ポンドに対して、イギリス人での年収は2万5000ポンド。学歴も高学歴が多い。さらにグルメでおしゃれな彼らは外食や服装にもお金をかけ、不動産の取得にも積極的。旅行やパーティー、オペラやコンサートや美術館めぐりなどクール・ブリタニア政策が供給する優れたソフトをピンクポンドが活発に消費。
・移民政策 グローバリゼーションによる市場化への対応
「人と金は外から集めろ」
金融街シティにある3000社を超える上場企業のうち600社がイギリス以外の企業。理由は圧倒的に規制関連のコストが低かったから。誰にでも
開かれた柔軟な市場。
自分の国に足りないものは他所から調達すればいい。
そんなイギリスの柔軟な発想は人を金をスピーディーに大量に集めることに成功した。プロサッカークラブでもプレミアリーグでは全20クラブ中8クラブを外資および外国人が所有。
・ロシアとアラブの大金持ち&ビジネスマンの流入
①ロシア
資源大国のロシア。原油や天然ガスなどの高騰を背景にロシアでは株価が急騰し、不動産価格も2倍以上。06年にはモスクワが世界一消費が高い都市と言われるまでとなり、いわゆるバブルを迎えていた。
そこで生まれた多くの富豪たちは 新たなビジネスチャンスを狙って次々にイギリスへと進出していった。モスクワからイギリスまで飛行機で4時間というアクセスの良さと、新規上場に対する規制の緩さは大きな魅力。
②アラブ オイルマネーの取り込み
イギリス政府は莫大なオイルマネーを囲い込むためイスラム金融の取り込みに動いた。イスラム金融とは、経済活動においてもアッラーの教義を遵守したいと考えるイスラム教徒たちが独自に立ち上げた金融システムのこと。イスラム圏では利子の概念が教義に反するためイスラム金融ではこれを配当に置き換えるがイギリスの税制では配当は課税の対象になってしまう。そこでイギリス政府は利子と同様に配当も控除の対象となるように税制を変え、イスラム債の発行を促したのだ。こうした優遇政策は
オイルマネーのみならず多くの外国人に対してやり続けた。
すごいことに、、
イギリスの税制では居住者・非居住者という区別以外に
イギリス国内に「本拠がある」「本拠がない」という区別がある。
簡単にいえば非居住者とはイギリス在住ながら永住する意思はない外国人のことだ。
イギリスではこの非居住者に非常に有利な税制が取られていた。
所得税で言うと非居住者はイギリス国内の所得に対してのみ税金を
支払えばよかった。
つまり海外に不動産をたくさん持っていて、それらを売り飛ばして多額の売却益を得ても課税されなかった。これは世界でも類を見ないユニークな
制度である。まさにタックスヘイブン。そうした理由で世界中から
スーパーリッチが集まってきた。(2008年の税法改正によってこの優遇はなくなった)
・ブレア政権の没落
圧倒的な人気を誇るブレアだったが9・11 テロ以降 急激に失速。
理由はアメリカとの外交政策のためのイラク派兵であった。
・新たな政権 ゴードン・ブラウン
2007年6月 発足。
・アメリカとイギリスの関係
アメリカ1781年にヨークタウンの戦いでイギリス軍に勝利するまで
イギリスの数ある植民地の一つだった。
イギリスが北アメリカに最初の植民地を作ったのは、17世紀初頭のことだ。同時期に入植していたオランダやフランスを蹴散らし東海岸を中心に13の植民地を建設した。ワシントンDCも含まれる。イギリスが覇権を握ったおかげで17~18世紀にはたくさんのイギリス人がアメリカに移り住んでいった。
・イギリスの選択肢
①アイスランドみたいに自滅する
②ポンドに代わるニューポンド
③ユーロに加盟
この3つ以外に考えられない。
・ハイパーモビリティ
航空運賃が安くなると爆発的に流動人口が増え、遊びや仕事の場所や機会が大きく変貌を遂げる というもの。
オックスフォード大学のスティーブン・ヴォートヴェック教授が提唱。
ポンド暴落でロンドンは2008年は世界一お買い得な街になっていた。
ロンドンで買い物をする多くの人が外国人である。
ヨーロッパ各地から格安の航空券が充実。そこで
飛行機に乗って買い物に行くといライフスタイルが確立されている。
・思想にこだわるイギリス人 行為にこだわる日本人
レジ袋が現在悪者にされているが、、、実はこれ石油のムダな部分
廃棄しないとどうにもならなかった部分を有効利用して製造される
エコロジー技術の賜物。レジ袋の生産を止めると石油のムダな部分が
残ってしまう。さらにエコバッグを作るのに膨大な石油が使われる。
なんのこっちゃ???という感じである。
割りばしも「端材(はざい)」を利用して作られた賜物。
・自給率40%のトリック
日本が戦争に負けて食生活が完全にアメリカ化。パン食や肉食が定着しもともと自給率が低かった小麦や大豆、とうもろこしを大量に輸入。結果的に自給率低下。
また日本のような高温多湿で雨が多いと、小麦や大豆、とうもろこしの生産には不向きだ。
・セレブも注目する 日本発の食事法 「マクロビオティック」
玄米食を中心としたマクロビオティック。
桜沢如一(さくらざわゆきかず)。
マクロビオティックの基本は精白されていない米(玄米)や古代米(黒米、赤米など)麦や雑穀を主食とし、副菜として野菜や海藻、豆類を頂く。
また「食材の旬」という概念が重要視されている。それは「身土不二(しんどふじ)」という考え方でその土地でとれた旬なものをその土地の方法で食べましょうということ。
・高城的 名言
①
変革はいつだって政府主導ではなく、ストリートからはじまる。
②
僕には未来を予見する力があるわけではない。ただ強いて言うなら
数年間世界を飛び回って現実を見る努力を続けてきた。世界のあちこで
生まれるさまざまな構造を正しく理解できる者がおいしいトコ取りできる時代だ。よくわからないと人任せにした瞬間にババをつかませられる。
ウェブだけに頼らず自分の目で見てみること。これが超大事な事。