三秋縋のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ澄香が何を考えていたのか掴めずに物語が進行するが、最後に鯨井の手記から"尾上を自分のサクラにすることで、自分がサクラだという疑いを晴らして尾上にまた会いたい"という一心で突き進んできたことがわかるのが面白かった。
腕輪型デバイスで自殺リスクを計測される近未来的で無機質な世界で、孤独だった尾上に澄香が突然好意的に近づいた理由はプロンプターに選ばれたからという推察は合理的で自然に思えるが、本当はただ何かが琴線に触れ、恋に落ちただけという人間的で温かい情動によるものだったのが異質で美しく感じた。
英語タイトルのA Town of Fake Cherry Blossomsもサクラの -
Posted by ブクログ
自分の身に起きたことを(自身の死さえも)一時的に「なかったこと」にできる少女と、成り行きから彼女の復讐に手を貸すことになった主人公が織りなす、哀しく儚い物語。三秋ワールドの雰囲気や淡々としながら心に刺さるセリフ回しは期待を裏切らないが、同氏の小説の中でも特に悲惨でグロテスクな描写が多く、このあたりに少し入り込みにくさを感じる人もいるかもしれない(自分がそうだった)。主人公とヒロインの抱える闇ゆえに、とことん「救いのない死」の中にいるように感じられ、結末を経ても、重く悲しい気持ちが残った(二人にとっては、改めて素で互いに向き合えて、安らかなものであったとしても)。なお、タイトルの「いたいのいたい
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Posted by ブクログ
【さくらのまち】
なんて残酷な世界だろうと思った
虚しくて切ない…
人間の弱さ悲しさが胸に突き刺さる衝撃的な小説だった
この物語の世界では、国民健康管理システムによって健康状態が管理されている。
そのデバイスは腕輪型で、着用は全国民に義務づけられており〈手錠〉とも呼ばれている。
自殺リスクが高いと診断された人間には〈プロンプター〉と呼ばれる政府公認のサクラが友人として寄り添い、自殺を阻止する役目を担う。
欺く側も欺かれる側も、悲しすぎる…
こんな世界なので「さくら妄想」という病を発症してしまう人も多い。
〝私を取り囲む人々は、ひょっとしたら〈システム〉によって宛てがわれたプロ -
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Posted by ブクログ
途中まで全然乗り切れないまま読んで、どこに着地するんだ…と思ったら取り返しがつかない話すぎて読み終わってしんなりしてしまった。
青春時代にありがちな人を信じられない話から異質な「手錠」の登場、人間関係など後半の展開はかなり面白くてすらすら読み進められるものの、疑心暗鬼を煮詰めた話の行き着く先がこの結末はあまりにも…みたいになってしまった。
みんな言葉が足りなすぎて、それゆえに取り返しがつかなくなっていくし、少しでも自分をさらけ出せたならこうはなってないんだけど、そもそも心のうちをきちんと話し合えるような人間関係ならこう言った物語は展開しないから、このなんとも言えなさがすごい味がする。
「3日間