猪瀬直樹のレビュー一覧
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ネタバレ『ミカドの肖像』は、猪瀬直樹によるノンフィクション。1987年度大宅壮一ノンフィクション賞受賞作品。古い本だが、こと細かく事実が書かれているので、読めば新しい発見がある。
西武グループは戦後、皇族の領地を安く買い取って、プリンスホテルを建てていったという。西武グループの創始者、堤康次郎は、戦後土地を買い漁った。終戦時は今と違って、土地なんて買っても儲からないと思われていた。何故堤は、資産価値なんてないと思われていた土地を買い漁ったのか。堤の評伝では、理由が曖昧にぼかされているけど、著者は、本当の理由を探った。
堤は、企業家や政治家などの有志が集まるグループにコネで所属し、グループが発行して -
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著者は今どんな想いで高層ビルの一室からTokyoを眺めているのだろう。日本人はカネ儲けよりも自分自身を探すことのほうが緊急である。と僕(著者)は信じている。確かに。日本人には中心がない。西洋のような絶対的な神もいない。ドーナッツなんだ。ただ中心に成る場所だけはなんとなく感じている。その辺をだいたい知っているぐらいで穴があいていなければドーナッツじゃないとだけは思える。暗黙の了解って好きでしょ。空気を察してどこかで中心を決めようとしている。KYなんて言葉はまさに中心を失っている空虚を物語っている。プリンスホテル。東京海上火災保険ビル。軽井沢と八瀬童子。どれもトリックだらけ。なかなか触れられない対
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昭和16年、政府は総力戦研究所を立ち上げ、各省庁や軍から30代前半の精鋭を集めた。課題として模擬内閣を作り、日米開戦をシミュレーションした結果、「緒戦は優勢ながら、徐々に米国との産業力、物流力の差が顕在化し、やがてソ連が参戦して、開戦から3〜4年で日本が敗れる」という結論に至る。インドネシアの油田を手に入れても、輸送船が米国に撃沈され石油が手に入らなくなる、というシミュレーションは軍の側でも予測されており、この研究所のメンバーで出した結論が殊更優れていたとは思えない。当時機密とされていた各種数字を見れば、優秀な官僚なら辿り着ける結論である。それでも開戦を回避できなかったという時代が恐ろしい。開
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ネタバレ「評論する側と行動する側」その両方を体験した筆者ならではの文章の力強さ。単なる暴露ものではなく、政策的・実務的観点から得られるものはあります。都庁内での政治的な行動原理を見ると「ああ、自分の働いている会社でも似たようなことあるなぁ」と感じ入ってしまった。
p58
そのため重要案件は都議団幹事長よりも都連幹事長に話をすれば早いということになり、それが慣習として続くことで、権力はより強まっていくわけです。
p110
僕は、JOCの武田恒和会長とともに「民間人の会長がふさわしい。コスト意識の強いトヨタの会長を務めた張富士夫さんが適任ではないか」という案をつくりました(中略)そうした僕の動きが、森