猪瀬直樹のレビュー一覧
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ネタバレ天皇の崩御という国家にとっての一大事は、どんな影響をあたえるのか。天皇崩御と、その中で生き抜く人々を、”改元””大喪””恩赦”の3つの視点から、描いている作品。
その中でも「棺をかつぐー八瀬童子の六百年」が特に興味深かった。
現代は、過去の伝統の意識が希薄になってきていて、その反論として、伝統を守れと言われている。
八瀬童子も伝統とともに生きてきた。「だが、伝統をかたくなに守りとうそうとしたのではない。p171」「八瀬の村びとは比叡山延暦寺との山林所有をめぐる事件をきっかけとして、彼ら自身の神話を持つことになる。p131」
時代は変化する。これまでは、伝統を意識することなく忘れ、どちらか -
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第一次大戦前後から、第二次大戦前にかけて、「日米未来戦記」が流行した。この時代を包んでいた雰囲気を、日本、米国、英国の名もなき作家達の生い立ちとその作品を通じて描き出している。
黒船来航から50年後、アメリカの大艦隊がまたも日本に訪れたことはあまり語られない。このときの「白船来航」に対する国内メディアの反応は、「万歳、歓迎」の大合唱であった。これは巨大な国力を持つアメリカとの戦争を恐れての、最大限の「恭順の意」だった。その裏で、日露戦争に勝ったことを遠因として、米国への対等の意識も芽生え始める。
実は、アメリカ国内でも、移民排斥運動に加えて日本脅威論がしだいに高まっていた。大艦隊の派遣には -
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作家猪瀬直樹が、東京都副知事としての立場で迎えた東日本大震災などの対応経験を踏まえて危機管理の要諦を著したもの。
実経験に拠っていることから説得性を持ってはいるが、ツイッターの効用を説いていることが目新しいくらいで、リーダー論や事前準備の重要性など、その他の部分には特に斬新な着想はない。
ところで、東京都の水道の緻密性や戦略性を自慢しているが、電力ネットワークについても同じようなトータルコントロールが重要である、ということに猪瀬は思い至らないのであろうか。電力の発送分離や自由化を唱えるのであれば、東京都の水も自由化するべきだという帰結になるのではないのか。 -
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第二次大戦で日本が敗れることを予見していた人は少なからずいたっていう本、ドラマって結構あったと思う。この本では政府が組織した研究所でもそう結論づけたところがあったとする所が目新しかったのだろう。さらに東条首相もその結論の重大性を認識していたからこそ、口外しないように研究所員に言っていたのだろう。
しかしながら、戦争は起こってしまった。
残念ながらこの本を読んでもなぜ戦争をしたのかはもやもやしたままだ。「短期なら持ちこたえられる」という楽観論や「米国の仕打ちにはもう黙っておれぬ」という義侠心がそうさせたのか?
誰かの決断によって為された訳ではなく空気によってみんなで決めたということなのだろうか?