まはら三桃のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
レビューを拝見して知った本です。ありがとうございます。
五人の児童文学作家の届ける、競作リレー小説です。
この本屋さんにやってくる人たちには共通点があります。
「ぎりぎり」
どの人もみんな「ぎりぎり」状態のせっぱつまった人ばかり。
店員は小学五年生くらいにみえるけど「300年くらいやってます」と笑って答える男の子。
ごく普通の子どもの世界だけど、ちょっと異世界ファンタジー的な要素があります。
そして、各お話の作家さんは違いますが、全部ひとつづきのお話です。
小学五年生だけど、初恋あり、友情あり、いじめあり、別れあり。
最後の『桜の守の狐』に出てくるこりんに、健介くんは、もう一度会えたのかが気になりました。
以下プロローグより抜粋
この本屋のことなら町のほとんどの人は知っていることでしょう。ずっとずっと前からここにあるお店ですから。でも実際に中に入ったことのある人は少ないはず。みんな通りすがりにちらっと見るのがせいぜいです。
それなのになぜかつぶれない。崖っぷちまで追いつめられながらも、ぎりぎりのところで、踏ん張りつづけている。そんな本屋です。
だからでしょうか。ここに来るお客さんはいろいろとわけありの人ばかり。だからぼくもね、一人一人にあわせて、きちんと対応しなくてはならないわけです。
お葬式に行く人には減災の本をすすめたり、無理をして自分を見失いかけている人には、ちょっと危険だけどためになる本を渡したり。せっぱつまっている人にはもちろんおトイレだって貸してあげます。
え?ぼくは誰かって?
それはまあ、今はどうでもいいことです。
とにかく、入っていらっしゃい。
本屋は今日も開店中です。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ数学を美しいと唱える人はたくさんいるようで、博士の愛した数式とか…、私はもっぱらトワちゃんの感覚と1ミリとも違わないんだけど、そんな取り憑かれる程の世界を知っているのは正直羨ましい。トワの幼い頃からのカンちゃんに対しての妬みや罪悪感はとても正直でリアルで、自分の身を守るためにやってしまう行動にも、本能的なあまり妙に納得してしまった。トワの母親の態度も、なんだか自分を見ているようで反省させられる。
Q大の関口博士の言葉、人知を超えたものに脅かされるとき、あらゆる才能が力を合わせないと、人間の営みが保てない…。文化や文学、芸術が切り捨てられようとしている現代、若い世代の芽が脅かされないように、大人は守ってあげなきゃいけない。
それにしても、カンちゃんはおじいちゃんからの問題を解き続けていたとは。身内のトワちゃんが一番の理解者になれたのは嬉しい。2人とも未来へ向かって新しいドアを開けられそうだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレじんわり良かったです。いろいろな運命のターニングポイントがあるんだけど、物語の都合ではなく、本当に生きている感じがして、だからこその先が見えない謎があるようで。
一方で、イカロスの墜落やバベルの塔の神罰のように、真実をつかもうとしたら、神に突き落とされるという神話のようで、運命に抗う人々の強さと、それを突き抜けた先に見えるものの妖しい魔力のようなものを感じました。ただそれでも地に足がついている感じが現代風?
小説としては、短い断片が、時系列をばらばらにして並べられていて、読む側のテンポとしては、良くいうと軽やか、悪く言うと、その世界に引きずり込まれて沈殿していくような凝集感に欠けるように感じられました。 -
Posted by ブクログ
運命は遺伝子レベルで決められたものなのか、後天的な努力で変えていけるのか、偶然の出会いで想像だにしていなかった方向に飛び出していくのか。三人の主人公はそれぞれの経験を通じて、それまでは見えなかった景色を見つけ出していく。
ちゃんと読み進めないと話の筋が分からないようになっているという心地よいもどかしさや、若い身体が瑞々しく活動する数々の描写、沼田さんをはじめとする魅力的なキャラクターに支えられた、とても気持ちいい作品だった。
一つ分からなかったのが、山谷くんが絵怜奈を突き放し、最後には居なくなってしまった理由。絵怜奈自身わからないままトラウマになってしまっているが、これはこれで良かったのだろうか。あえてこの立ち位置にした意味が分かる人がいれば教えてほしい… -
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ネタバレ小学5年生の佑(たすく)のおじいちゃんは、佑の家の近所で一人暮らしをしている。
元刑事だったおじいちゃんはしっかり者だったはずなのに、最近は何か様子がおかしい。
どうも認知症になったようだ。
それを認めようとしないおじいちゃんを何とかなだめて、デイサービスの施設で入用介助を受けるために通うことにするのだが、それをレポートにまとめて夏休みの自由研究の課題にするよう担任の先生に言われる佑。
おじいちゃんも佑も気が進まないまま「ケアハウスこもれび」に通うことになる。
児童書ですが、介護される人と介護する人の気持ち、介護の工夫、様々な個性のお年寄りなど、わかりやすく誠実に書かれています。
佑にとっては世間一般のお年寄りと自分のおじいちゃんとは当然別物で、まさかおじいちゃんがぼけてしまうなんてとショックを受けるのですが、おじいちゃんも苦しんでいることを知り、そのまなざしは優しくなります。
自分の考えていることをあまり口にすることのないおじいちゃんの行動を見守ることによって、おじいちゃんがどれほどおばあちゃんのことを大切に思っているかを知る佑。
お年寄りたちもそれぞれに見せ場が与えられ、読後感はとでもいい。
ただ一つ違和感を覚えるのが担任の早田先生。
クラスの子に、おじいちゃんのデイサービスをレポートして夏休みの自由研究にしろと勝手に決めるのは現実的ではない。
まず両親に話をしないと。
嫌がる家庭は絶対にあるだろう。
ましてや、さっさと施設と話をつけて子どもたちに手伝いをさせたり、自分までボランティアとして通うだなんてちょっと強引すぎて鼻白む。
とはいえ、子どもだけではなく大人も、この本を読んで感じるものは、立場に応じてきっとあると思う。
良書。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ気になった言葉
●「心に的が浮かんだときに、矢は勝手に離れていきます。」(坂口先生)
●「ちがうのはあたりまえなんよ。だけ、それぞれに持てる能力で最善をつくすしかないんよ。早弥も自分なりにがんばれ。がんばって、試合で負けてもだれも責めん。少なくともおれは。」(春)
●「昨日できたことが、今日はできない。あるいは、昨日できなかったことが、急にできる。心のあり方が、大きく影響するのだ。」(早弥)
●「いくら思っとっても、実行せんやったら、思ってないことといっしょなんよ。あとから、やっとけばよかったって思ったって、間に合わんのよ。」(実良)
●「道具は人を選ぶけね。ふさわしい人にしか、使いこなせんのよ。道具に嫌がられてけがしたらいけん。」(前田弓道具店のおじさん)
●「真なるものは善であり、美に通じる」(早弥)
●「志を強く持つのはいいですけど、心がそれに支配されてしまっては、振り回されます。」(坂口先生)
●「自分たちは自分たちが選んだ練習を十分にやってきた。それを信じてさえいればいいのだ。」(早弥)
●「一歩一歩しか歩けないのなら、長い間歩いていればいいのだ。人が歩みをやめてしまっても歩いていればいいし、やめてしまっても、ひたすら続ければいい。」(早弥)
●「喜びって、人と人がふれ合ったところから生まれるのかもしれない。」(早弥)