土屋晃のレビュー一覧
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大学生時代の遊園地バイトでの甘酸っぱい青春、そこで起きた恐ろしい事件を回想形式で振り返るという、フォーマットこそスタンドバイミーと似通ってはいるが、焼き直し感は感じずウェルメイドな一級品の青春ミステリに仕上がっている。恋愛要素が特に最初の不安感を孕んだ失恋のくだりから、沢山の大人に囲まれて働いて、周囲の信頼を勝ち取っていくさまは、自身のバイト経験を振り返って共感することが多く、恋愛だけではなく仕事の青春という側面もある。主人公が絶妙にモテない等身大の男子大学生というのもあって、語り口はロマンチックに過ぎるが、友達の彼女との間に一瞬芽生えた、タイミングの違いによる恋愛の萌芽などは、青春期の恋心の切なさを非常に的確に捉えている。シングルマザーとも恋仲になるが、そこに未来がないのは互いに分かっており、年上の女性に対する思慕や恋慕で留める筆致がまた小憎らしくて素晴らしいのだ。アニーの言う「住む世界が違う」はまさにその通りで、世界の違いを認識したその瞬間に、青春は終わる。ただ、一瞬でも重なり合った世界と生まれた感情は紛れもない本物であり、人生にはそういった運命的な出会いが訪れる瞬間が何度かある。そしてそれは、振り返ったときにしか分からないものなのだろう。話の核となる遊園地の殺人鬼の話も面白く、荒唐無稽な怪談に過ぎない話が、徐々に輪郭ができて実体化する恐怖はまさしくモダンホラーの帝王ならではの筆運びで、犯人こそ分かったものの、後半の怒涛の展開は流石の一言である。主人公は幽霊が見えない、というのがまさか最後の最後まで貫くとは思わなかった。また、善意が裏切られることなく、最後の最後でその善意が主人公の身を助けたというのが、個人的には一番の感動ポイントだった。こういう無駄に思えた善意がちゃんと報われる話は大好きである。クライマックスの映画的なスペクタクル、一抹の悲しみ、そしてエンディングの凧のシーンは感涙必死である。潰れた遊園地、アニーの言葉、それらが青春の終わりを実感させるのだ。キング作品は久しぶりに読んだが、一番キング作品を読んでいた高校〜大学時代にタイムスリップしてしまったかのような、そんな思い出深い一冊だった。これからもキングを読むと固く決意すると同時に、やはりキングは稀代のストーリーテラーであると認識した一冊である。
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ディーヴァーのノンシリーズ。
殺しのプロと擁護のプロの戦い。
珍しく一人称です。
これがすごい閉塞感を生む。
狙っている殺し屋が誰か、わかっているけれど、それだけ。守る方も守られる方も、一体なぜ狙われるのかわからない。で、一人称だから、主人公が知り得ないことは絶対わからない。
なんか、夜中にやたらカーブの多い山道を走ってる感じだった。しかも、注意してゆっくり行くのではなくて、高速で走っている。
その中で、主人公の人となり、そしてそのチームのつながりが、エンボスのように浮かんでくる。
また、殺し屋の姿もそれなりに明確になってくるのだけど、そっちは逆光の中の像のように感じた。
この感触の違いをかき分けられるのがディーヴァーのすごいところだとしみじみ思った。
も、何書いてもネタバレになりそうなので…。
ともあれ、何一つ確実なものはない、信頼や信用も暴力の前では頼りないし、愛情ゆえに家族は揺らぐ、そんな不安定な世界の中で、己だけを核として立ち続けることはたやすくない。
きっと、なにもかもが不安定であると感じない、イメージできない人は、それは問題ではない。
が、殺し屋にしろ主人公にしろ、それとは真逆の繊細さを持っている。というか、感覚に愚鈍では仕事にならないだろう。
そして、そのことそのものが最大の矛盾なのだ。
…矛盾と向き合う、対峙する、そういう物語だったのかもしれない。 -
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ディーヴァーのノンシリーズ。
殺しのプロと擁護のプロの戦い。
珍しく一人称です。
これがすごい閉塞感を生む。
狙っている殺し屋が誰か、わかっているけれど、それだけ。守る方も守られる方も、一体なぜ狙われるのかわからない。で、一人称だから、主人公が知り得ないことは絶対わからない。
なんか、夜中にやたらカーブの多い山道を走ってる感じだった。しかも、注意してゆっくり行くのではなくて、高速で走っている。
その中で、主人公の人となり、そしてそのチームのつながりが、エンボスのように浮かんでくる。
また、殺し屋の姿もそれなりに明確になってくるのだけど、そっちは逆光の中の像のように感じた。
この感触の違いをかき分けられるのがディーヴァーのすごいところだとしみじみ思った。
も、何書いてもネタバレになりそうなので…。
ともあれ、何一つ確実なものはない、信頼や信用も暴力の前では頼りないし、愛情ゆえに家族は揺らぐ、そんな不安定な世界の中で、己だけを核として立ち続けることはたやすくない。
きっと、なにもかもが不安定であると感じない、イメージできない人は、それは問題ではない。
が、殺し屋にしろ主人公にしろ、それとは真逆の繊細さを持っている。というか、感覚に愚鈍では仕事にならないだろう。
そして、そのことそのものが最大の矛盾なのだ。
…矛盾と向き合う、対峙する、そういう物語だったのかもしれない。 -
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傑作!キングの本なので反射的に購入してしまったけれど、正直なんの期待もなかった。
いや、面白いではないか、泣けるではないか!
女の子としたい盛りの大学生の主人公は冒頭で振られてしまう。夏のバイト先として選んだ遊園地で不気味な体験と素敵な経験をする。筋ジストロフィーにかかった男の子とのふれあいは泣かせる要素満載。ホラー要素をちょっぴり効かせたミステリーで痛いところをえぐるのだけれど、最近のキング、人間に対して優しくなってない?厳しい状況を描くなかにも優しさが溢れている感じ。出張帰りの新幹線の中で泣いてしまった。ささくれ立った心にしみる、穴場的傑作。 -
Posted by ブクログ
夏休みに<ジョイランド>でバイトする大学生の話。
大学にはいって彼女ができて、でもなんかうまくいってなくて…。という悶々が続くのでなんか切なくなる。
うんうん、10代の終わりから20代の前半って、四六時中こんな感じだったよなって思う。自分が好きな人が、自分が好きなほど好きでいてはくれない、っていうのは本当に切ない。
それでも人生は続いていくわけで、遊園地というちょっと特殊なバイトを選んだことが、彼をいい方向に導く。
このあたりって上手いなって思う。人間、ちゃんと働けばお腹がすくし、お腹がすいてご飯食べれは、満たされた気持ちになる。そして、創造的な仕事はやりがいに直結している。
多分こういうことが人生において一番大事なのだろう。
大事なところを見せておいて、ふいに物語は幽霊譚になる。
そして、職場への行き帰りに会う、難病の少年とその母親。少年への哀惜が物語を動かす。
少年がちょっと霊感があるみたいな感じに描かれていたけれど、結局はすべての<愛情>が重なってのことだったように感じた。重なり合ったからこその奇跡で、結末なのだと思う。
も、涙が…。
最後の1行がしびれるほど、よかった。 -
購入済み
難解だけどおもしろかった!
天才ハッカーの話なんですけど、PCに詳しくない僕にとって凄く難しくて泣きたくなりました。しかし!難しいところを飛ばし飛ばし読んでも十分面白かったです。こんな難解な話をこんなにおもしろく書けるなんて、やっぱりこの著者は凄いなと思いました。
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購入済み
やられた!
最初、そういう設定でドキドキさせるのか、うまいなぁと感心して読んでいたら、それはドキドキさせるためではなく・・・と、良い意味で裏切られ、2転3転と楽しませてくれる傑作です。
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Posted by ブクログ
文書検査士って初めて知りました。
犯罪捜査って本当にいろいろ細かい操作を地道にやっていくんですね。
海外ドラマでも「CSI」とか観てましたけど。
今回もやられました~(笑)
私がわかるわけないけど、それにしてもあのシーンで事件は解決かと思ったら、残りページがかなりあることに気がついて、これはまだなにかあるんだ~と期待しましたけど、まさかねぇ・・・
びっくりでした。
まったく考えても見なかったです、あの人がねぇ・・・
そして「えぇ!!」でした。
本当に次から次への大どんでん返しで、夜も眠れず、朝も早くから気になって目が覚めて(笑)
チラッとリンカーン・ライムが登場したのは嬉しかったです(^^♪
しかし、本当にすごい作家さんだなぁとひたすら感心してしまいました。
面白かった~~~
でも、姿を想像しただけで怖かったぁ~殺人鬼・ディガー
少し哀れでもありましけど。 -
Posted by ブクログ
女性警官が深夜の森林をひた走るスリリングな作品。
ジェフリー・ディーヴァーの久々のノン・シリーズです。
ブリン・マッケンジーは、ウィスコンシン州の女性保安官補。
家庭でくつろいでいた夜、通報で一人、別荘地に向かうと、夫婦の遺体が!
殺し屋二人に追われ、夫婦の友人の女性ミシェルと共に、広大な森林公園を逃げ回ることになる。
これといった装備も、携帯もないまま、いかにして闘うか。
殺し屋の正体は?
警察や夫は、いつ事態に気づくのか‥?
8割が一晩の出来事で、すぐ緊迫した状況になり、引き込まれます。
ブリンは優秀で隙がないタイプだが、仕事中毒気味。バレリーナのような体型だそう。
造園師のスティーヴンと再婚していて、最初の結婚で出来た息子ジョーイには、問題行動が起きています。
それを知り始めた夫との間にも、亀裂が‥
おしゃれで若いミシェルは何かと足手まといになるのですが、一緒に逃げ回るうちにふと、心を打ち明けたりします。
殺し屋ハートは職人気質で、相棒のルイスと組むのは今回が初めて。
ハートに比べれば素人同然のルイスのいい加減さに苛立ちを抑えつつ、追いつ追われつのブリンの賢さに自分に似たものを感じ始めます。
このへんも読みどころ。
どんでん返しは、ディーヴァーなら期待しますよね。
そのへんも抜かりなく。
ただ、最後までスリル満点かと思うと~そうじゃない!というどんでん返しになっていたりする。
ブリンの家庭の問題は、じわじわと。
ブリンの物語という意味では、全体を通してじっくりしたペースになっているようです。
結末もあまり親切な書き方ではないので、ぱーっと夢中で読み進んじゃうと、何が起きているのか、わからないままになる読者もいるかも?
誰が嘘をついているのか、どこは嘘ではありえないのか?だまされないで!
最初の印象ほど悪くない人もいるけど。
正体を上手くごまかした悪人もいる。
ネタばれになっちゃうんで~書くのが難しいけど‥
けっこうハッピーエンド‥☆
翻訳もスピード感が出ているのは良いと思います。
ただ訳語が硬めで、とくに叫喚とか蛙鳴はないんじゃない‥?
2008年の作品。
2012年翻訳発行。
ディーヴァーの傑作を★5つとするなら★4かなという気もするんだけど‥
全体の水準で4.5以上はいってるよね~ということで、5つに。