土屋晃のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ディーヴァーにしては珍しい作品だと思うのが本書の初期段階。オーソドックスなスリル&サスペンスですか? 森の中の別荘を舞台に、二人の男女が惨殺されるシーンに幕を開け、そこに駆けつけた女性警察官が巻き込まれる。それだけではなく、殺人犯二人組の視点でも書き込まれる。追跡と逃走の森のなかの物語。まさにタイトル通りのオーソドックスな冒険小説『追撃の森』といったシチュエーション。これは本当にディーヴァーなのか?
ところがどっこい中盤に来て、どこかおかしいとなってゆく。意外なる展開。裏切りに満ちた展開。巻き込まれゆく、ヒロインの家族。一体、どうなってゆくのかがわからなくなる、追撃の終わり。予感は正しい。そう、ディーヴァーの小説がシンプルな対決構図だけで終わるわけがない。ここからがこのツイストが命な作家の面目躍如たるところ。
そして登場人物たちの意外な裏の顔と、さらに巻き込まれてゆくヒロイン一家。女性主人公で必然とされるのが彼女の抱えるホームであり、男性一匹狼刑事小説のように暴力こそ仕事というのではないあたりに味噌があるのだ。愛する夫との間に不信の疑惑、不良化する噂を抱えた息子の子育て問題、そうしたホームドラマの要素も含めて、すべてを逆転させてゆく作家の錯綜した物語を追うにつれ、これがあのシンプル・プランみたいに始まった小説と同じ世界かと思わせる。
そして対決構図は森から脱出後に予想した図面とは全く違ったものに変わってゆき、再逆転! ストーリーはすべてネタバレになるので書くことができないもどかしさをそのままに、といった趣きで口を閉ざすしかないのだが、リンカーン・ライム・シリーズの単純構図に飽きた御仁には、この人の短編作品と同様、本書も実にお勧めしたい一冊。ディーヴァーはひねってなんぼ、というイメージが定着しているが、オフ・シリーズ作品ならではの先の読みにくさも、読書の確たる醍醐味ではないだろうか。
森と夜に始まり、警察署を軸にした終盤部分で、いろいろなことのつじつまが合ってくる。裏切りと懐疑と誤解とのフィルターが幾重にも仕掛けられていた一方で、人間の愚かさや弱さが見えてくる気がする。人は自分の信じている真相ではないものを見たいように見て、信じたいように信じ込んでしまう。そんな弱さと、弱さから脱すべき希望とを同時に与えてくれるあたり、作者が連続ツイスト仕掛けの果てに見せてくれる、読者への優しき眼差しなのだろう。 -
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コンピューター犯罪。初めは??(゜_。)?(。_゜)? チンプンかんぷんで(。。;)
何回も用語解説を見ながら。
私なんか機械音痴ですからね、PCいじってても深~いことはさっぱり分からず。
今回も次々私の推理は外れていきました。
ミラー刑事の遺体が発見されたときだけは、自殺じゃないってわかりましたけど(*^_^*)
ショーンの正体は驚きでした!
まったく怖いことですね。
今に人間は機械によって支配されてしまうんじゃないかと、昔観た洋画を思い出してぞっとしました。
あのビショップ刑事とジレットの関係が良かったですね。
だんだん二人に信頼関係が出来ていくところはニマニマして読んでいました。
そしてジレットと別れた奥さんが幸せになるといいなと思いました。
それにしてもジェフリー・ディヴァーは凄いなぁ! -
Posted by ブクログ
ネタバレ人里離れた湖畔の別荘から警察への緊急電話。女性警官ブリンが様子を見にいくと夫婦の死体があり、犯人二人組の男達に狙われた。彼らから逃げる夫婦の友人と途中で合流し、森の中を逃げることに…。逃げるブリン達女性二人組と、追撃する男性二人組との駆け引きにハラハラさせられ通し。読みどころはいろいろあるけれど、一番の醍醐味は、タフで知恵者のブリンと、職人気質な犯人ハートとの、騙し合い。正義と悪、警察と犯人という相入れない二人が、相通ずる思考回路で分かりあってしまうところなんか、まるでリンカーンライムとウォッチメイカーみたいだ!なんて、ディーヴァーファンなら思うのでは。ラストが若干物足りない(というか、ある人の結末が呆気ない)気もするけど、このボリュームで飽きさせないのはさすが。
The Bodies Left Behind/Jeffery Deaver/2008 -
Posted by ブクログ
ハッカー vs クラッカーな物語。コンピュータの犯罪ではあるが、ウェイトを占めるのはソーシャルエンジニアリングという名の詐術。2002 年に書かれた本で、若干古い部分はあるが、骨子は古くなってない。
カタカナの人名が多くて若干、混乱するが、慣れれば問題ない。
本書では実在の会社名がいくつか登場するが、そのうち Sun microsystems は Oracle に買収されてしまいました T_T
でもでも Oracle は助けただけで、Sun は自滅したんです。それでも、本が書かれた時は輝いている企業だったんです。きっと。このころに apple 株を購入していれば... -
Posted by ブクログ
ネタバレ見えざる敵。見えているはずなのに「見えざる敵」。
何でもありじゃん!と思ってしまう「ソーシャル・エンジニアリング」は活字で表現されてこそ恐ろしさが増す。かつてマヌエル・プイグ『蜘蛛女のキス』を読んで、最後の電話のシーンでぞっとしたが、見えないものを想像させることや空白を埋めさせるような想像力のかき立て方は上手い。「青い虚空」という邦題も良い。
息もつかせないほどのスピード感や、構成の緻密さは言うまでもない。作者の作品がいつも分厚いのはあまり読書をしない人にとっては困りものだろうが、「序盤のゲームオーバー感」などのどんでん返しの連鎖は多くの人に味わってもらいたい。
この作品で最も良かったのは、悪者の勝ち逃げがなかったこと。
連載中の長編マンガなどでは伏線の回収が話題となるが、回収が不十分だったり、忘れ去られることもある。たったの1冊で、どんな些細な事柄でもきっちりと決着をつけるのは、読後の後味が良い。
10年ひと昔などとはよく言ったものだが、この作品が執筆された頃と比べて、私たちの社会では常にネットに接続し、自分の情報を意識的に、あるいは無意識的に「青い虚空」に書き込んでいる。そんな社会では、「ソーシャル・エンジニアリング」はより現実味を増していると言っても過言ではないかもしれない。改めて「情報」のあり方について考えさせられた1冊。 -
Posted by ブクログ
殆んど病気の域に達している犯罪者が病気であるが故に罠に掛けられても懲りずに再犯するのだが、物語としては車と蒸気機関車の競争という結末で証拠も無くつかまえてしまってから、法廷闘争かと思いきや、まさかの地震。ここで又、今度は蒸気機関車同士の競争となるので、確かにタイトルの大追跡に偽りなし。追跡するというのがテーマであるのであれば、これはこれで在り。前巻でも臭わせていたが、主人公側に心ならずもひかれる女という、良くある勧善懲悪もののお約束通りという展開で、妹の造反と葛藤で幕を引くという話は読め過ぎた感があるが、この時代の話であれば在りでしょう。
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Posted by ブクログ
シリコンヴェレーの有名女性の惨殺事件。犯人はハッカーと断定。
コンピュータ犯罪課の刑事は、服役中の天才ハッカーに協力を要請。
ゲームで高得点を狙うように難攻不落の対象のみを狙う連続殺人犯。
天才ハッカー同士の息詰まる一騎打ち。。。
題名「青い虚空」blue nowhereとは
blue→コンピュータを動かす電気
nowhere→実在のない世界
でコンピュータの世界。サイバースペース。
この世界を自在に駆け巡る天才達の攻防戦は、ディーヴェーの本領発揮。
犯人の共犯者が誰か登場人物を疑いすぎて誰も信用できない。ぐったりです(笑)
ブルー・ノーウエアにいればなんでも望むものになれるし
真実を話さなくても誰にもわからない。
すべてが嘘でも誰にも見抜けない。
20世紀には人はお金を盗んだけど、今盗まれるのは情報が一番恐いのかもしれない。
10年以上前の作品だから今はもっともっとすごいことになってるんだろうな。
この分野の人が読んだら?なとこはあるかもしれないけど
用語の説明含めておもしろかったです。新しい世界が広がりました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ小説としての完成度は高い(ストーリーが練られていて無理がなく、伏線のはり方もソツがない)と思います……が、最後まで「世界に入れない」感覚が残りました。
最初の方で、アンディ・アンダーソンがいかにも主人公(読者の視点を共有する人物)といった風格で登場したため、彼とジレット以外の印象が薄くなってしまったのがその原因かも。そのため、一章だけでアンダーソンが退場したら、後はキャラの区別がつかなくなってしまったのですよ(涙)
犯人の「共犯者」の正体は? という所で、彼らの結びつきの強さから、共犯者は女性なのか、それとも彼はゲイでアッーなのか、と思っていたら……なるほど、そう来ましたかって感じでした。
10年以上前に書かれた作品ですが、それほど古さは感じませんでした。テクノロジーより「ソーシャル・エンジニアリング」に重点が置かれたせいかもしれませんね。また、「ちょっとありえない」という所もなくはないですが、描写に説得力があったせいか、それほど気になりませんでした。