土屋晃のレビュー一覧
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ワシントンDCを舞台に起こる連続大量殺人。手がかりは手書きの脅迫状のみ。FBIは 文書鑑定の第一人者であるパーカー・キンケイドに協力を依頼するが、パーカーには捜査に参加できない事情があった。
おもしろかったー!法科学・推理・アクション、家族の危機にほのかなロマンス。いろいろな要素が高密度につまっていて読み応え十分。どんでん返しに次ぐどんでん返しで、最後までみっちり楽しめる。
読んでいて場面がはっきりと浮かぶのも特徴的。作者は絵が描ける人なのではないかという気がする。ストーリーとあいまって、まるで映画を見ているようだった。
ただひとつだけ気になったところが。パーカーのせりふに、文法上のミスがあるのだ(地の文にも同じミスがある)。言語学者という設定で、言語・文書にまつわるうんちくが本書の大きな魅力のひとつなので、そこは気をつけてほしかった(もちろん、著者に責任はない)。
とはいえ満足。他の本も読んでみよう。 -
Posted by ブクログ
第2次世界大戦前のアメリカ、ニューヨークで殺し屋をしていたポール・シューマンは罠にはめられ拘束されるが、米国海軍情報部から意外な二者択一を迫られる。刑務所に送られるか、それとも国家的任務を果たし罪を帳消しにするか。やむなく引き受けた任務は、ドイツへ赴き、ヒトラーの元で再軍備を指導するラインハルト・エルンスト大佐の暗殺だった。ベルリンで行わるオリンピックに参加する選手団とともにドイツへ渡り潜入するのだが…。どの作品に対しても事前のリサーチが入念なディーヴァーのこと、当時の米国側、ドイツ内に関わる官庁、警察の様子から住民の暮らしぶりに至るまで実に丹念で細かに描写されている。膨大な資料による調査に基づいた史実と、絶妙な話運びで読者を導く虚構の世界とが上手く組み合わされた上質な歴史小説に仕上がっている。【以下ネタバレ含むため未読の方はご注意】登場人物の位置づけやキャラも秀逸。まず主人公のポール・シューマン。ドイツ系アメリカ人で、ロシア人のようながっしりした風貌、戦歴、ボクシング経験もある一見無慈悲なだけの殺し屋と思えるが、頭の切れが良くドイツ語を話し読書を嗜むという知的な一面も持つ、タフで骨太な男だ。そして読み進めて行くうちに彼独自の倫理観、正義感(人殺しに正義もなにもないのだが)に共感を抱くようになってくる。密命を帯びたシューマンの痕跡を追って執拗に食らいついてくるのがドイツ刑事警察(クリポ)のヴィリ・コール警視。なかなかの切れ者で大きな体の割にはフットワークが軽く、直感的な洞察力で手がかりを見逃さず速やかに動く。しかも家族を愛し、人種差別的な不正義は許せない人情派。そして暗殺のターゲット、エルンスト大佐は人物像が掴みにくく初めは良悪区別がつかない。エルンストを狙うシューマンを軸に、シューマンを追うコール警視、エルンスト大佐の視点が加わり、バラバラに思えた事柄が終盤で繋がってくるあたりはさすがに上手い。しかもこれらが全てわずか4日の間の出来事だとは!潜入を手伝った人物の思わぬ裏切り、異国で出会った本物の恋愛、思いがけず熱い友情を交わすことになった友人の協力を経て、紡ぎ出される物語にいつしか夢中になってしまう。警視に追いつかれそうになるスリルにハラハラし、直面した危機への機転の利いた対処には感心した。そして、ヴァルタム大学での究極の選択、米国への帰国のチャンス、友人への義理…シューマンの下した決断はラストを締めくくるにふさわしく、ここまでこじれた事態に陥った割には読後感のよい納得のいくものだった。文句なし!(2010.1.23再読&感想更新)
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キングの子供が主人公の作品は割とハズレなしな気がする。
死者が見える少年が主人公で、死者たちは本当のことしか話さないという設定で、少年が死者たちを通して様々な経験をして成長していくお話
死者と話せると言う設定を使って、ヒューマンドラマっぽかったり、ミステリーだったり、色々なパターンのエピソードが描かれるのが面白かった。
そして、一番ラストにとんでもないホラー展開が待ち受けていて、少年が否応なしに大人の対応を身につけることになるのが切なかった。何よりも怖いのは「真実」そのもので、一度知ってしまうともう元の日常には戻れない。
映像化したら面白そうだなと思って読んでたけど、このラストだと難しそうだな。 -
Posted by ブクログ
ノースカロライナにある遊園地「ジョイランド」を舞台に、
21歳のぼく(デヴィン)が経験する青春の日々と、ミステリー。
スタンド・バイ・ミーのような青春パートと、シャイニングの「輝き」を
彷彿させるような力を借り、とある殺人事件の謎解きをするミステリパートが、
舞台は同じとはいえ分離されているのでどちらも中途半端っちゃー中途半端
なんだけど、それでもやはりキングの描く青春の煌めきやせつなさは圧倒的で、
胸がぎゅっとなる。
個人的にはタイトルがいまいちかも...
と考えてみたけど、
「観覧車の天辺」
「着ぐるみを脱いだら」
うん、センス無かった。 -
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“逆行”するミステリー。
映画の「メメント」が好きな自分にはかなり刺さる設定だった。 いままで知らなかったのが悔しくなったほど。
本作は、通常なら最終章にあたる結末部分から始まり、そこから過去へと遡っていく構成になっている。冒頭を読んだ時点では、ここで終わるの? この先どうなるの?という不安とわくわくが同時にあった。しかもここから“過去”へ遡っていくため、未来側の情報はもう増えない。本当に全部繋がるのか半信半疑だった。
その不安は杞憂だった。必要な情報が絶妙なタイミングで配置されていて、逆行する構成そのものがどんどん気持ちよくなってくる。
ふだんは細かい伏線確認のために読み返したりは面倒臭がってあまりしない。けれど流石に、この本の“最終章”、事の始まりの第1章まで読み終えた後には、あの時何て言ってたっけ?と慌てて読み返した。
最後まで読むと、冒頭の章で何が起きたのかがわかる。真相も含め、“逆行”だからこそ成立する面白さがある作品だと感じた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白かったです!ちょいと短い長編。或いはちょいと長めの中編。という感じのページ数なのですが、絶妙にキッチリとまとめられていていた感じ。スティーブンキング、お見事なり!と思いましたね。
少年には、死者を見る事ができる、、、という、まあ、、、ホラー小説的には、超定番の設定、と言っていいのではないでしょうか。バリ面白かったのが、主人公のジェイミー少年が小説内で自ら「死者が見えるっていっても、ブルースウィリスのあの映画じゃないよ」って、誰もが知っているであろう同じテーマの超有名映画、M・ナイト・シャマラン監督&ハーレイ・ジョエル・オスメント君主演の「シックス・センス」をネタにしているところ。ま、テーマがテーマだけに、しかもこの小説はアメリカでは2021年に発表されているようなので、そこに触れんわけにはいかんだろう、、、ってなもんですよね。いやあ、センスあるなあ~キングさん!って思いましたね。
で、その映画「シックス・センス」とは、同じテーマでありつつ方向性違う感じで、いやあ、見事な小説だったな!と。
英語の原題は「LATER」でして、小説の中でこれまたジェイミー少年が、英語の原文章では、しょっちゅうこの単語を連発しているようなんですね。「後になって(わかった)」「(よくよく考えてみれば)そーゆーことだった」って感じで、この小説では、基本的に、重要にして重大な事が「後から」分かるんです。振り返ってみれば、そーゆーことだったのね、、、って事が、すっごく多い。だからこそ「LATER」ってのは見事な題名だなあ、、、この小説の勘所をキッチリと言い当てている名タイトルだな、って思うんですが、、、
でも、日本語のタイトルである「死者は嘘をつかない」というタイトルも、読み終わったらしみじみと分かるんですが、めちゃんこ名邦訳だと思います。「そうだよなあ、、、死者は、嘘を、つかないよなあ、、、」って、しみじみと、しみじみと、感じるんですよね、、、
ジェイミー少年は、死者を見る事ができるし、死者と話をすることができる(でも死者がどこか別のベクトルの世界へ「旅立つ」までの間だけ)。そして、死者は、嘘を、つかない。これが本当に物語の重要な点でして、死者が嘘をつかないからこそ、物語が、見事に見事に、、、転がっていくんですよね、、、「死者は嘘をつかない」というこの小説内の絶対のルールが、本当に、凄く、重要でして。
で、面白いことに、死者は嘘をつかない。というか、つけない。のですが、、、「真実を言いたくない!」と、駄々をこねる事はできるんです、死者は。そこがバリおもろい!バリ見事!って思いました。死者でも、言いたくないことがある。死者でも、言うことを拒否したいと思う事がある。そこが本当になあ、、、その目の付け所よ!って、僕はなんか、感動しました。
物語の最終盤、マーズデンという麻薬の売人が、とある理由で殺されるんですが、殺されたマーズデンは、大量の麻薬を隠している?という設定だったんです。でも、大量の麻薬を隠している、と思わせた?のは、生前の彼の、嘘だったんです。彼が、実際に隠していたのは、麻薬とは違う方向性の、、、本当に本当に酷い、恥ずべき(でも本人はソレを嬉々として行っていた)趣味だったんですよね。
そして、死者となったマーズデンは、その彼のその鬼畜の所業がバレる事を、しっかり恥じていたんですよね。死んだから、嘘はつかない。嘘はつけない。でも真実を言いたくはない。でも嘘はつけない。最終的には、言うんです。でも彼はそれを、それがバレるのを、既に死んでいるのに、それでも死ぬほど恥じている。そんなことが理解できる描写が、あるんです。それがなんというか、本当に見事だな、ってね、思ったんですよね。
あと、そうなんです。「死者は嘘をつかない」ということは、逆説的に言えば、裏を返せば「生者は嘘をつく」んです。そう。「生者は嘘をつく」ことこそが、この小説の真のテーマかもしれない。生者は嘘をつくからこそ、「後になって分かった。あの時のアレは、そーゆーことだったんだ」ってことが、シミジミと、ウソがばれた後に、理解できるんですよ。「死者は嘘をつかない」ことと同じくらいに「生者は嘘をつく」ということこそが、この物語の重要なポイント、なんだと、勝手に思いました。僕は。
そして、著者のキングは、それを、否定していない。「生者は噓をつく」のは、人間として、本当に至極当然のことなんだ、と、キングは理解している。「生者は噓をつく」ことは、良いとか悪いとかの次元で判断できる事ではない。それは絶対的に「そういう」ものなのだ。と、キングは達観している。そう認識しました。僕は。
あと、この小説は、キングの超大作「IT(イット)」を、できれば、必ず、先に読んで欲しいです。ココから先、「IT」のネタバレにもなりますので、ご注意を。まさか、あの連続爆弾魔「ケネス・セリオ―」が死んだ後に彼にとりついていたのが、あの「IT」のピエロ、ペニーワイズ的存在の、「死の光」だったとは!まさかここで、「IT」から時を超えて「チュードの儀式」が出てくるとは!
ジェイミー少年は、物語の中盤で、一度は「IT」を打ち負かします。だがしかし、物語の最終盤で、どうしても、どうしようもなく、「IT」の助けを、力を、借りる事となります。そうしなければ、ジェイミー少年が、死んでいたでしょうし。しかしだからこそ、あの時点で、「IT」に借りを作ってしまったことで。「IT」より上の立場だったジェイミー少年は、再び、「IT」と対等の立場になってしまいました。悪魔に魅入られる可能性のある立場に。
「笛吹かば、我は現われん、いいか」
いつの日か、ジェイミー少年が大人になった時に、笛を吹く物語が、語られるかもしれません。この物語は、まだ終わっていない。そんな気がするんですよね。
ま、しかし、キング自身にとって、「IT」のテーマが、それだけ重要だ、ということなのでしょう。自らの作家生命をそこに注ぎ込んでもいいくらいの、存在なんだろうなあ、と。そんな事も思った次第ですね。いやはや、、、コズミックホラー作家、だったのか。スティーブンキングって。うーむ。ビックリしました。
あと、この文春文庫版。2024年6月1日に発売されているんですが。お値段が。1500円+税。なのです。超分厚い文庫本でもない、この作品の文庫本の値段が、1500円+税って!?紙の本の値段って、そこまで高くなっているのか!?という事実も、僕にとっては超!衝撃でありました、、、 -
Posted by ブクログ
久しぶりに徹夜して一気読みしたいと思うキング作品だった。若い頃のような無茶はできないので一気読みはしなかったけど。
やっぱりキングは中編がいいね。この頁数だと一般的には長編の部類に入るだろうけどキングだと中編の感覚。
キング中編は過不足なく濃密な読み応えの作品であることが多く、ファンとしては横道にそれてくどい部分がないのが物足りなくもあるジレンマ。
本作はいつもの翻訳者の方ではないので、言葉選びや文章の組み立てに少し違和感を覚える。違う作家、キングなのにちょっと別のキングのような。ジョイランドの時もそうだった。
読み進めるうちにそれはほぼ解消される。
おそらく原文そのまんまな翻訳は好みが分かれるかもしれない。日本人に理解しやすいような独自のアレンジめいた翻訳ではない。翻訳者にも個性があるからどちらがどうというのは特にないけど。
これもダークタワーワールドの一つの世界と思えば面白いかも。
内容は純然たるホラー、スーパーナチュラル、しかも古典的とも言える幽霊もの。
自分だけが死者が見えるという、あらゆる分野で手垢にまみれたジャンルなのに、キングの手にかかれば驚くほど読者を惹き付ける。どんな料理も料理人次第なのだ。
中盤までは圧倒的に私が好きなキング展開で、その後徐々に失速(あくまで私の中で)、最近のキング作品のテイストに収束していった。もっとお下劣なのがいいんだー!もうそういうの書かないのかキングさん。
クライマックスがびっくりするほど地味で爆発力もない。徐々に登っていく感覚もなかったな。
全体的に物悲しさやせつなさは少ない。それでも不気味な空気感はずーっとまとわりついたまま走りきったのは素晴らしかった。
あとであれこれ考えを巡らせて薄ら寒くなる。見事なタイトル(原題)だ。
キングの少年ものにハズレなし。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ読みやすい、ちょうど良い長さ、初級編スティーブンキングという感想。
霊が見える(しかも話せる)少年が主人公。
とある老人の亡くなった奥さんから指輪のありかを聞いたり急死した小説家から続編のストーリーを聞き出すところはコミカルで楽しい。(こんな能力欲しいなーと呑気に思ってしまう)
ただ、おとなしく優しい(?)霊ばかりではなく、ある爆弾殺人鬼の霊に生前に仕掛けた爆弾の在処を聞き出したところから平和が崩れ始め、、、
ストーリーは流石のスティーブンキングでスラスラ読める。テンポも良い。
主人公と母親が健気に生きている描写に感動しながら読んでいたのに最後のオチが1番ホラーだった。