松尾豊のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「生成AIで世界はこう変わる」(2024)を先に読んだほうがよかったかも。この本の出版当時(2015年)は「2030年には生成AIが秘書、教育、ホワイトカラー支援へ」使用されるようになる未来を予測していたが、それがChatGPTの登場で7、8年早まった感。
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・人間の脳内で起きていることも電気信号の伝達なんだから、人間の知能がプログラムで実現できないはずはない
・人間が知識として教えるのではなくコンピュータが自ら特徴量や概念を獲得するディープラーニングでは、コンピュータが作り出した概念は人間の持つ概念とは違うかもしれない=コンピュータの知能
・人工知能の壁は「特徴量の獲得」だった、人が -
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Posted by ブクログ
ヤン・ルカン氏の大著
以下メモ
還元主義的モデルでは対応できない複雑な集合的現象の予測は現象学的モデルであるNNが得意とする。ここでいう、還元主義的モデルとは、こういう方程式で支配されて、この環境ではこの影響をこのくらい受けるから、こうなるだろうと予測する方法。ロケットの弾道予測とか、天気予報とか。現象学的モデルは、都市の消費電力の予測とか、薬に対する反応とか、色んなデータを観測して、それらの変数に対する影響度合いを起こったこと(現象)から予測するモデル。
自己教師あり学習による世界モデルの獲得が必要
知能は教科学習のみで達成されるものではなく、自己教師あり学習、教師あり学習、教科学習の3 -
Posted by ブクログ
ネタバレ率直に学びが大きい本であった。
ディープラーニングによる特徴表現学習がきっかけとなって、今利用している人工知能の大きな進歩がある、といった話が興味深かった。なるほどとなった。現在多くの人が利用しているchatGPT等の生成AIも根本的なロジックは本書の内容が元になっているわけで、仕組みがわかって面白い。
長期的に代替される仕事、については自身も同じことを考えている。決断をして責任を取るということと、人と関わる、という2種が今後重要になって行くと思う。
本書の発行から10年が経ったが、ソフト面は生成AI等、本書の時点より大きく進歩している一方、ハード面の進化が追いついていないと感じた。測定機器の -
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因果推論ができるようになるのが子供の頃からというのが重要。ある日突然自由意志をもらって喜ぶのはおかしいから。これは私の敬愛する哲学者の永井均さんの例。僕たちはいつ自由意志をもらったかわからないところで自由意志を得ている。
三段のはしご。観察、行動、反事実であるが、反事実の段階で、善悪がわかっても遅い。おそらく観察段階で、単なるA.I.兵器として使われるだけだ。でも、三段のはしごに分類したことはある程度成功している。
因果ダイアグラムのように視覚化されると、たいへんわかりやすくなる。ただ実践して使えるかと言われれば首を横に振るだけだ。ただ少し図を変形することによって意味合いが変わってくるのは -
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世界屈指の人工知能科学者が因果推論について、過去の事例や著者自身の経験・研究をもとに解説している。そもそも因果推論とはなにをすることか、人工知能の科学者がどうして因果推論について研究することになったのか、因果推論を蔑ろにしていた統計学者などの歴史、一貫して重要性を主張していた因果ダイアグラムの解説などさまざまなことが学べる。
私自身、計量経済学を中心にデータ分析を学んでいたこともあり、もともと因果推論には関心があった。本書でも述べられていたが、伝統的に?計量経済学のほとんどの教科書では因果ダイアグラムを使われることがなかった。しかし、因果ダイアグラムを駆使することで、交絡・コライダー・媒介な -
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廣野由美子の本を探していたら本書に出会った。
この人は、100分DE名著のシャーロック・ホームズ スペシャルに出演していた。で関心を持ったのだ。
京都大学から神戸大学大学院に進んだ経緯が詳しく書かれていて興味深かった。
本書は、YAヤングアダルト向けの内容だ。
儲けものだったのは、松尾豊の生い立ちが読めた事だ。
またディープラーニングに関しての記載があったことだ。
AIに関して漠然と何か凄いものだ。人の仕事が奪われる。
岸田首相が漠然とデジタル社会の構築とか言うけど、アバウトで言ってる本人が分かってるのか。
短い文章ではあるが、人工知能に関して分かりやすい切り口で書かれているので、一 -
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『自主的に薬Dを服用した患者の寿命Lの観察頻度は、数学的にはP(L|D)という式で表すことになる。これは、統計学の教科書に出てくる標準的な条件付き確率の式だ。この式が表現しているのは、患者が薬Dを服用したのを見て考慮に入れた場合の寿命Lの確率Pである。P(L|D)とP(L|do(D))ではまったく違うことに注意してほしい。見ること(観察)と行動すること(介入)は根本的に違う。そしてこの違いは、私たちが気圧計の測定値の低下を嵐が来る原因とみなさない理由の説明になる。気圧計の値が下がっているのを見て、それを考慮に入れれば、嵐の確率は上がっていると考えていいが、気圧計の値を無理に下げたとしても、嵐が