【感想・ネタバレ】ディープラーニング 学習する機械 ヤン・ルカン、人工知能を語るのレビュー

あらすじ

フランスで10万部発行! 2018年度チューリング賞受賞、ヤン・ルカン氏(Facebook副社長)の「ベストセラー」がいち早く日本上陸!

AIとその中核をなす「ディープラーニング」の過去と現在、そして未来像とは?
ディープラーニングの父であるヤン・ルカン氏がエキサイティングに綴る。

・ヤン・ルカンは、なぜあきらめなかったのか?
・AI革命の恩恵を受けるのは、誰か?
・ディープラーニングは、論理的思考ができない?
・AIが、人間の「常識」を持つ日はくるのか?

【成毛 眞氏 絶賛!!】
一気に読める面白さ! AI時代の基本図書になるだろう。

【本書「監訳者あとがき」より抜粋】
本書は、ディープラーニングに関する書籍のなかでも、最も俯瞰的な視点で書かれた本のひとつであろう。技術に忠実であり、平易でありながら難解な説明を避けることなく、また、歴史や未来、社会的なインパクトにも言及している。

【本書「序章」より抜粋】
本書では、コンピュータ科学と神経科学が交差する領域で現在進められている科学的アプローチの実際を、安易な比喩に頼ることなく、一歩一歩解き明かしていきたい。
人工知能の本質に迫るべく、本書は2通りの読み方ができるようにしてある。ひとつ目は一般読者向けに、一読して理解できる平易な文章で、物語り、説明し、分析している。2つ目は詳しく知りたい人向けに、ところどころ数式やプログラムを使って、高度な数学的考察を行っている。

【主な内容】
序 章
第1章 AI革命
第2章 AIならびに私の小史
第3章 単純な学習機械
第4章 最小化学習、学習理論
第5章 深層ニューラルネットワークと誤差逆伝播法
第6章 AIの支柱、ニューラルネットワーク
第7章 ディープラーニングの現在
第8章 Facebook時代
第9章 そして明日は? AIの今後と課題
第10章 AIの問題点
終 章

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Posted by ブクログ

ヤン・ルカン氏の大著
以下メモ
還元主義的モデルでは対応できない複雑な集合的現象の予測は現象学的モデルであるNNが得意とする。ここでいう、還元主義的モデルとは、こういう方程式で支配されて、この環境ではこの影響をこのくらい受けるから、こうなるだろうと予測する方法。ロケットの弾道予測とか、天気予報とか。現象学的モデルは、都市の消費電力の予測とか、薬に対する反応とか、色んなデータを観測して、それらの変数に対する影響度合いを起こったこと(現象)から予測するモデル。

自己教師あり学習による世界モデルの獲得が必要

知能は教科学習のみで達成されるものではなく、自己教師あり学習、教師あり学習、教科学習の3段必要である。

「AIはブラックボックス」と言われるが、それは誤解だ。ニューラルネットは解析可能で、秘密の部分はない。確かに複雑だが、人間の判断も完全に説明できるわけではない。医者やパイロットの脳の働きを知らずとも信頼するのに、なぜAIにだけ過剰な説明を求めるのか?さらに、医薬品の作用機序が不明でも使われるように、AIも試験を経れば利用可能だ。特に金融や行政では、判断の根拠を示し、改善策を提示する仕組みを整えればよい。それが本質的な透明性だ。

0
2025年03月25日

Posted by ブクログ

※ 出版社さんから紙版をいただきましたが,自分でも電子版を購入してレビューしています

著者のLeCunさんは,HintonさんやBengioさんと並んで,第3次AIブームの火付け役である.AIの歴史,自叙伝,ニューラルネット仕組み,そしてAIのさまざまな問題や今後の展望について語った本である.

◆ 第1章:AI革命
データがあればいくらでもすごいAIが作れるぜ!みたいなタカ派のLeCunさん,それに対してハト派のBengioさんみたいな印象を今まで持っていた.現状のニューラルネットに出来ないことを率直に認め,論理の必要性を述べている.初期の論理ベースのAIにも気を遣って紹介している印象を受けた.

◆ 第2章:AIならびに私の小史
自叙伝パートIである.誤差逆伝播法を誰が考えたのかは議論があるのだが,導出しただけでなく,実際に動かすのが難しいところを実装までやったところが,やはりHintonさんは違ったという意見は印象に残った.あと,NECの北米研究所のあたりの経営陣の話は残念だったなと思う.

◆ 第3章〜第7章
初期のパーセプトロンから,現在の深層学習までの仕組みの紹介.数式の代わりにプログラムのコードを使って紹介しているが,あまりうまい説明のようには思えない.というわけで★を一つ差し引くが,この本のおいしいところは第9章と第10章なので,この本の価値が損なわれる訳ではない.
ただ一箇所,第6章で,LeCunさんが名を上げた畳み込みニューラルネットの元になったネオコグニトロンを作った福島さんについて賛辞を述べているのは印象深かった.

◆ 第8章:Facebook時代
自叙伝パート2である.ザッカーバーグさんがLeCunさんをスカウトするとき,論文まで読んで来ていたというのは感服した.

◆ 第9章:そして明日は?AIの今後と課題
ここからがメインディッシュである.現状のAIの限界への認識と,それをどう克服してゆくかの展望を述べている.Kehnemanさんのシステム1と2を使って,意識的な処理と,無意識な処理とを統合するのが重要というBengioさんがよくされる話を紹介している.もちろん,AI研究者はこの問題を認識しているが,さてどうやればいいかはみんな悩んでいる.ただ難しいというだけでなく,学会とかでは Predictive Learning という名で呼んでいる自身の解決案を紹介ししている.だが,現状では,どんな点がうまくいなくて,どんなことが必要になるというのを存分に語っている.

◆ 第10章AIの問題点
メインディッシュの2皿目では,AIと社会に関わる問題について,LeCunさんの意見を述べている.楽観的ではあるのだが,ちゃんとその理由も考察している点はさすがである.人間を支配するAIが発生しないと考える理由が個人的には面白かった.

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2023年02月28日

Posted by ブクログ

著者のお茶目さが垣間見られてとても面白かった。AIの未来像について、学びもあるし、異なる意見も持てたし、とにかく頭をフルで使わされる。

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2022年08月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ヤン・ルカンによるディープラーニングの本は自身の半自伝的な内容となっている。
機械学習などの話題も広く扱われているが、内容について説明することを目的とした本ではないため、ある程度の前提知識は必要になる(数式も全く出てこないわけではない)。この本で誤差逆伝播法について理解することは難しいが、歴史的な背景から書き起こしているため、誤差逆伝播法についてわかっている人が読めば得る所は多いだろう。

・AIは学習するが論理的な推論は行えない。チェス用のプログラムに将棋は指せない。

・強化学習は現実の世界では使い物にならない。強化学習は失敗をした後、パラメータをチューニングしていくというシステムなので、自動運転を強化学習でやろうとして何回も崖から落ちるというわけにはいかない。人間が20時間ほどの教師なし練習で運転を学習できるようになるので、機械学習には新しいパラダイムが必要なのだ。動物はみな、観察によって世界の仕組みを学び、世界で生き残るための予測モデル(常識)を得ている。

・人間の思考だけが特別なものではない。脳は計算する機械に過ぎず、原理的には電子機械であるコンピュータによって再現可能であると革新している。フロイト曰く「重要な科学革命はどれもみな、唯一共通な特徴として、自分たちは宇宙の中心に位置しているという確信を打破したのを皮切りに、人間の尊大さが依拠していた台座を次々に取り去ってきた」

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2022年06月01日

Posted by ブクログ

AI脅威論を一蹴したりなど、ルカンは冷静にAIを見ている。ルカンの想像を超えるスピードでAIは進化していきそうだが。

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2022年01月23日

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