斉藤洋のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ本書はシリーズ3巻ですが、これまでで一番複雑で面白かったです。1巻はほとんど設定の紹介で終わってしまい、源平の史実との関わりが描かれる余裕がありませんでした。2巻は蒙古襲来にまつわるできごとのうちのほんのわずか2、3シーンを切り取って描写した一方で、超能力の描写と役割が大きな部分を占めていたという印象でした。それに対して3巻では、言及のみで登場した足利尊氏や後醍醐天皇も含めると登場人物がだいぶ多く、それらの関係がある程度複雑です。時間的にも尊氏が幕府側だった時から、後醍醐天皇についた時、後醍醐天皇と戦った時までいたり、ある程度の時間にわたって情勢の変化が描写されています。その史実の中に、白狐魔記の主人公白狐魔丸とその他のオリジナルキャラクターが絡んで、このお話ならではの歴史の裏側を描いてみせているところが面白いです。
次第に超能力者として経験を積み、長寿で、能力も拡大している白狐魔丸は、だんだんと超人ロックみたいな存在になってきているような気がしなくもないです。このお話で白狐魔丸は武士や戦が嫌いだ、と言い続けていますが、様々な人の生死が通り過ぎていくと、だんだんすれて、達観していくのが自然なのかもしれないなあ、白狐魔丸はそんな風なんだろうかそれとも慣れないんだろうかなどと思いながら読みました。
うちの子はまだ小三で歴史も習っておらず、つらいかな、と心配しながら読み聞かせをしたんですが、なんとかついてきていたみたいですね。それなりに楽しんだようです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ歴史物というよりサイキックバトルの楽しさがある2巻です。この巻を読んで気づいたのですが、主人公が狐で、何十年にもわたる眠りに入る、という設定によって物語に独特の性質が生じています。まず、その巻ごとに登場人物が大きく変わり、ほとんど関係が継続しません。関係を継続させる必要がないので、なんの気兼ねもなく時間を使うことができます。そんなわけで、新しい能力の取得にかける時間が長く、新たな能力が少しずつ小出しにされます。能力がなかなか身につかないということはある意味、自然に思えます。次に、歴史のクライマックスをつまみぐいしていく形で物語が構成されています。一番印象的なシーンを細かに描写して印象づけています。逆にこのような仕掛けによって物足りないと感じるところもあります。その時代に起きている動乱の全体像は、登場人物の口から「あらすじ」として語られるだけで、この本からだけで理解するのは難しいです。複数の巻にわたって因縁を継続させるのが簡単ではないです。その点、この巻では、同様な長寿をもちうる他の能力者が登場したり、義経の血統が引き継がれたりした点は嬉しいところです。ぜひ今後もその方向で続いてたらいいな、と思いました。
うちの小三の少年の印象にはしっかり刻み込まれたようで、それなりにはまっていましたし「竹崎季長」や北条氏といった名前も覚えたようですね。 -
Posted by ブクログ
面白かった。上の子供達が自分たちですでに読んでいたのだが、僕は読み聞かせもしたことも読んだこともなかった。今回、小学3年の子の読み聞かせに使うことにした。僕としては、日本の歴史に親しんでもらえたら、という下心も。
この一巻は物語を始める準備の部分に大半が割かれた結果、「源平」の部分は少なくなってしまっていて、やむをえないのだがもったいない感じがする。
イッパイアッテナでも西遊記でもいつも僕は思っていることだけれど、やっぱり斎藤洋は仁義みたいなものがいつも書きたいんだなあと思う。白狐魔丸は武士が嫌いだ嫌いだと言うけれど、結局のところここで格好よく描きたいものの一部は、武士の生き様だったりするのではないか。白狐魔丸の武士嫌いはどんな役割を持っているのだろう。これから読み進めばもっとわかるのかもしれない。
修行がおしつけられるものでなく、自分で求めるもの、というのもひとつのメッセージだったのかもしれない。白狐魔丸が非常に勤勉。イッパイアッテナを思い出す。
うちの小学3年も本シリーズはとても喜んでいる。ただ、彼の感覚からすると一部分、残酷に感じたようだった。だからいけないというほどではないが、僕としては意外に感じた。