斉藤洋のレビュー一覧
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ネタバレ白狐魔記3冊目!
前回の蒙古襲来から51年後。
室町時代の武士を見守る狐さんです。
後醍醐天皇に足利尊氏、楠木正成たちが登場する
鎌倉から室町幕府、南北朝時代のゴタゴタ編だったので、少し複雑になったな、という印象。
そもそもそんなに面白みのないよね、室町幕府らへん。後醍醐天皇、嫌な奴だし。(主観です)
時代を下っていくごとに、
武士の生き方とか価値観も変わっていくわけだけど
そこに対する狐さんのコメントが見どころ。
人間と武士を冷静に観察しているから、おもしろい視点になるんだ。
「やっぱり武士は嫌いだ」
と言っていた狐さんが、最後の場面では武士の切腹と自害を手伝う。武士は嫌いだけど人間 -
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ネタバレ
ルドルフとイッパイアッテナシリーズ5作目。
子どものときに初期作品を読んで、岐阜に帰ったルドルフがリエちゃんの家から東京行きのトラックに乗るまではぼろぼろと泣いたのは自分だけではないかもしれません。ルドルフに感情移入したゆえなのですが、これは何に価する感情なのだろうかと。幼い頃は感情の名前を知らないから、驚き、戸惑う。それは登場人物もそうで、成長するにつれ、大人になるにつれ、そういったことはなくなっていく。思い入れの強い作品なので、どこか無個性な児童文学のシリーズになってしまったかな、という感じ。
内容に関しては可もなく不可もなくという少々無難なもののように思えましたが、御年89歳の杉浦 -
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ネタバレこの巻で白狐魔丸は江戸に出て、そこで忠臣蔵の物語の現場に立ち会うことになります。江戸城に忍び込んだり、吉良邸に忍び込んだりなどして重要な場面を目撃しはしますが、赤穂浪士や吉良側の内側にはほとんど入り込まないし、赤穂に場面を移したりもしないので、江戸に当時生きていたらこんな風に見えたんではないか、という言わば忠臣蔵を外側からリアルタイムで見た町人感覚を大事にした描き方をしているようです。それは、歴史というものは伝聞と推測で作られた物語であって、特に忠臣蔵のように人形浄瑠璃や芝居で脚色された物語は、現実とは似ても似つかぬものになっているものだということをどうやら本巻の裏テーマにしていることによって