草間さかえのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
交渉人シリーズが一区切りついたところでの新作はSMがテーマ!どうしてそれ?というチョイスが悪戯っぽくて、それにまんまと踊らされた読者です。
蓋を開けたらシリアスでもダークでもなく、シニカルで味のあるラブコメSMでした。
変態というのは、見た目じゃわからないし、地位も名誉もある立派な君子だって実はそうかもしれないし。
大学生の栄田が一目惚れしたのは、「殿下」と呼ばれている40歳クール美人の准教授宮。イニシャルでSの栄田とMの宮で、後々の関係性が暗に仄めかされています。
で、この話の面白さが何かというと、大抵のSM話だったら「Mに躾けてやる!」が定番なのに、こちらはヘタレで純情でマトモな大学生の -
Posted by ブクログ
表紙があまりにも美しい青い海で、手に取ると哀しい気がしました。
綺麗すぎると不安になるのでしょうか?
南方から復員船で引き上げてきた隊長竹内といつも処罰されていた早川が一緒に暮らして日常を取り戻していくお話。戦後のドタバタに他人の家にちゃっかりと腰を据えた一家が出てきますが、きっとそんな話はざらにあったのでしょうね。戦後の話はそれだけで一つのドラマです。
他に幼い頃に見た思い込みで女性に男性器が付いていると思っていた哲生と幼なじみの正良君のお話とみっちゃんと鶴田のお話。
最後の「もののことわり」の「物を大切にしない人は人からも大切にされないよ」と浩介がアキに言った言葉は名言です☆ -
Posted by ブクログ
タイトルで読まないできましたが、面白かった。。。タイトルで判断は危険です。
会社員の雅幸は結婚式直前に婚約者である美紀に失踪され、結婚資金にと貯めておいた600万円も持ち逃げされる。
美紀の消息をつかむため、堅気とは言い難い美紀の弟、綱紀のもとへに強引押しかけて、挙句美紀を探す為に京都へ同行させる。
綱紀はゲイで、女顔で性格の良い雅幸に次第に惹かれ始め、身体を求めてしまう。
雅幸は驚きと、自分は美紀の婚約者だという思いがあり綱紀に求められても困惑するばかり。
根がお人よしの雅幸は流されて、身体を繋いでしまうけれど綱紀の生い立ちを知り、その人柄に触れていくうちに次第に気持ちが傾いて。
風邪で弱っ -
Posted by ブクログ
地味な絵柄で、短編であるにも関わらず、どれも秀作です。質のいい映画観終わったときのような読後感です。
表題作「冬の星座」は、上京してきたお堅い新人リーマンのホクロを星座に重ねて、あらぬ想像をしてしまう上司の話。二人の間に何も起きていない時点から、なぜか萌えます。柳沼と一緒に、久世のことあれこれ妄想しちゃうから?通勤電車に乗っているだけなのに、非常に色っぽい話です。しかも、ロマンティック。
「白昼白夜」は、家庭の事情で過剰に睡眠不足な高校生の話。しっかり者で、気を遣う性分ゆえの心労がリアルで胸にせまります。謎の先輩、包容力があって西野が思わず本音をさらけ出しちゃう気持ちが理解できるなー。
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Posted by ブクログ
この方はホント、「後出し」作家さんです。設定、人間関係、殆ど説明ナシでいきなり画面から状況を把握しなくちゃいけない。脳みそ酷使して、頭働かせて読むのは謎解きみたいで、ある意味快感ですが。
今回はそれほど難解ではなかったけど、後から小出しはいつものとおりでした。
「王様のベッド」は、人里離れた一軒家に住む遠野が、何者でどうしてここに住んでいるのか読んでいくうちに理解できて、あーそうなんだ、って納得。古賀ともども、大きいサイズのTシャツとか空の引き出しとかに疑問を持つのも面白いし。でも、遠野自身は天然なのか、ただのツンデレなのか古賀への気持ちに自覚が無いみたいです。古賀が強気で攻めて?正解でしたね -
Posted by ブクログ
やっぱり草間さん、好きです♪独特の空気がありますよね、どの作品も。
王様のベッドは人里離れた山奥の彫刻家の家のケーブルテレビが映らなくなり、その修理に訪れた古賀君とのお話。階段に上って修理をしていると手に蜘蛛が這ってきて思わず落とした工具箱が彫刻家の顔面に落ちちゃって青くなったり、屋根の雪の下敷きになった古賀を助けるために外に飛び出して救出したらみるみる身体が溶け出したり(嘘!)災難続きの彫刻家です。弟も入院していて一人暮らしが厳しそうなかわいい芸術家です。弟、ゲイなんですがいい味出してます。弟はユウという名前ですが、うーん。何回読み直しても彫刻家の兄のお名前、分からないんです。。。気になる。