原島文世のレビュー一覧
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ネタバレ三部作の完結編。
“迷える青少年たちのホーム“の池に、ある日突然リニという少女が落ちてきた。
彼女は母親のスミを探しに、お菓子の国からやってきたのだという。
お菓子の国で横暴なケーキの女王と闘い勝利するはずだったスミが“この世界”で殺されてしまったため、スミが成し遂げたはずの出来事は失われ、リニも既に身体のあちこちが溶け始めていた。
リニとお菓子の国を元通りにするには、スミを“お菓子の国では死んでいない”ことにしなくてはならない。
そこで、“この世界”では既に埋葬されているスミの骨を手がかりにスミを蘇らせようと、第一作で活躍したケイド、クリストファー、そしてリニが落ちてきた時に居合わせた二 -
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ネタバレ“エリノア・ウェストの迷える青少年のためのホーム”は、家族でさえ受け入れられないある種の問題児たちを受け入れる全寮制の学校。
しかし本当は、異世界への扉をくぐり、また戻って来てしまった…そして“むこうの世界”こそが自分の故郷と感じ、もう一度戻りたいと願う子供たちのための学校だった。
新しくこの学校に入学したナンシーも、これまで『死者の殿堂』での体験を誰にも信じてもらえずに苦しんでいた。しかし、この学校では、学校の責任者であるエリノアをはじめ、皆が異世界の存在をそのままに受け入れていて、自分をとりつくろう必要はないと教えられる。
しかしある朝、ルームメイトのスミが無惨な死体となって発見される -
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一度〈あちら側の世界〉に行って、ふたたびこの世界へ戻ってきた子どもたちばかりを集めたエリノアの学校には、ナンセンスの世界へ行ったスミ、吸血鬼の統べる荒地に行った双子のジャックとジル、妖精界に捨てられたケイドたちがいた。〈死者の殿堂〉から戻ってきて世間に馴染めずにいたナンシーが編入してくると、その二日後に残酷な事件が発生する。慣れない環境に戸惑うナンシーに、疑いの目を向ける生徒たち。その後も何者かによって次々に少女たちが狙われ……。
異世界から現実世界へ戻ってきた子どもたちの虚脱状態にスポットを当てたのが面白いアイデア。異世界へ行く前後で性格が真逆になり、親と世間の無理解に苦しむ少年少女たち -
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ネタバレ面白かったです。カラフルで可愛い装丁で気になっていました。
不思議の国から帰ってきた少年少女が入学する学校が舞台でした。
彼らは、また彼らの不思議の国へ帰りたいと願っている。この世界は自分の本当の世界ではない…と思うこと、彼らはもっと切実でした。
死者の国にいたナンシーが主人公で、彼女が入学してきてから様々な事件が…というお話だったのですが、起こる殺人事件が結構凄惨でした。
キャラクターは、ケイドもジルも好きでしたが、特に好きなのがジャックでした。マッドサイエンテイストの弟子で、冷静沈着で紳士な女の子。
殺人事件はジルが起こしたもので、ジャックは落とし前をつけてふたりでヴァンパイアの国へ戻りま -
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本屋で平積みにされていたしヒューゴ・ネビュラ賞W受賞と書かれていたので興味を持ちました。SFというよりはファンタジーだよね、コレと思いながら読みました。
原文なのか訳なのかはわかりませんがちょっと文章が固いというか、わかりにくい表現があったり、どこにかかっているのかわからない単語とかがありました。まあ出てくる言葉自体もとっつきにくくて難しいんですが。高ロジックとかいきなり言われてもよくわからない(笑)ナンシーの戸惑いはよくわかる(笑)そして同じような経験をしている割には排他的というか同属感が無い子供たちだなぁ…と。まあ子供ってほど子供でもないか。主人公だって16だか17って書いてあったし。確 -
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ネタバレ・エル・キャサリン・ホワイト「龍の騎手」(創元推理文庫)の帯には「『高慢と偏見』×ドラゴン」とある。「高慢と偏見」と言へばジェーン・オースティンしかない。するとまたもやこのパロディーが出てきたのかと思つた。以前は「高慢と偏見とゾンビ」であつた。これはセス・グレアム・スミスがオースティンを使ひながらも、そこにゾンビを取り込むことによつて独自の世界を創り上げた作品であつた。正にパロディーである。それに対してこの「龍の騎士」はどうか。こちらは、オースティンの世界は借りたが中身は別物とでも言ふのであらうか、多くの設定はそのまま生かされてはゐるものの、物語は全く違ふものとなつてゐる。原作は当時の女性の生
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ネタバレ 購入済み
いいとこ取り
「高慢と偏見」からいいとこ取りした上にファンタジーと冒険の世界をプラスだなんてお得すぎる!作家さんの好きなもの満載なんだろうなとニヤニヤしつつ、元ネタからの改変にも大満足。特に親友の結婚相手と龍騎士一族の叔母様についてのあたりはお気に入りです。あと、作家さん、よっぽど○○死ね!って思ってたんですね。スッキリしたでしょうか?
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ネタバレ・最近のファンタンジーは魔法に新機軸を求めてゐるのであらうかと思つたのがチャーリー・M・ホームバーグ「紙の魔術師」(ハヤカワ文庫FT)であつた。魔術は魔法と言ひ換へるべきかもしれないが、本書ではmagicianといふ語が使はれてゐるから、ここはやはり魔術師なのであらう。そして、 なぜwizardやwitchでなくてmagicianかといふのはよく分からない問題なのだが、それでもここはやはり魔法使ひではなく魔術師なのであらう。その魔術師に「紙の」とついてゐる。魔術に紙は合わはないのかどうか。それなのにこれはなぜだといふので読んでみたら案外おもしろかつた、これが本書の感想である。さう、意外におもし
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"まるで喉から臍まで胴に弦が結びつけられたように、体の奥でなにかがびいんと鳴った。シオニーはやんわりとたずねた。「その腕はどうしたんですか?」
折っていた指が止まった。セイン師はちらりとこちらを見てから、自分の腕をながめた。手のひらで袖をひきおろす。「ぶつかっただけだ」と言った。「歩くのにどれだけ集中力が必要かよく忘れるものでね」
シオニーは眉をひそめた。さっきの弦がねじれる。あきらかに師匠はなにか隠していると感じた。
あの腕は痛むのだろうか。"[p.100]
セイン師が偶然の箱でみた"冒険"は何をどこまで見たのだろう、船を教えたと言うことは海辺まで追 -
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・メアリ・ロビネット・コワル「ミス・エルズワースと不機嫌な隣人」(ハヤカワFT文庫)巻末の作者自身による「謝辞」は次のやうに始まる。「まず、たいへんお世話になったジェーン・オースティンに感謝の意を表したいと思います。この小説を書く ひらめきを与えてもらったばかりでなく、細部の大切さについてずいぶん学ばせてもらいました。」(365頁)さうして「訳者あとがき」にはこんな一節があ る。「実のところ、『ミス・エルズワースと不機嫌な隣人』は時代背景ばかりでなく、語彙や語り口まで意識的にオースティンをまねている。分別のある姉と情熱的な妹という組み合わせまで『分別と多感』そのままだ。」(369頁)この物語は
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帯にファンタジー版ジェーンオースティンとありますが、正にその通りかと。主人公の姉妹は高慢と偏見のダーシー姉妹のようだし。
なんとなく、物足りなかったので☆3つですが、このヴィクトリア時代と、ファンタジーが好きな人ははまるかもとは思います。ただ、誰が好きなの?っていうイライラ感。現実には、こういう自分でも誰が本当の目当ての人なのかわからないってことありますが、物語のなかでもやられると苛々するなぁ。なんだろう、高慢と偏見を読み直したくなります。
完璧、ジャケ買いかな、これは…
エルズワースという苗字で紺野キタのダークシードを連想。こっちも魔法系のお話だし…