北康利のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
評伝として抜群に面白い。稀代の経営者の物語
*感想
稲盛イズムに同意するかは人によるが、間違いなく多くの学びのある本である。稲盛氏の生涯を追うことで、経営、ビジネスの原則、一種の法則を見出せるからだ。
〇読んで面白いと思った点
*経営には原則がある
稲盛氏は業界が全く異なる大企業の経営を行い、どれも飛躍的な成長に導いた。ファインセラミックスを主軸とした「京セラ」、通信業の「第二電電(後のKDDI)」、航空業の「JAL」である。これらから分かるのは、「経営は一つの専門職であり、原則がある」ということだ。業界の知識よりも「顧客目線でビジネスをする」「無駄を減らして利益を追求する」というのはどの企業にも通ずるであろう
*「人間としての生き方=会社経営」を掲げることの稀少性
最近は、松下氏や稲盛氏のように、人間性・哲学をそのまま経営ノウハウとして語るような企業家が少なくなってきている気がする。経営学やマーケティングが発達し、「いかに儲けるか」「いかに勝つか」を追求した経営ノウハウが広く蔓延している。今の時代に稲盛氏の哲学を読み返すのは逆に新鮮だった。「人間としての高みを追求することが、良い経営につながる」というのは今でこそ面白い
*稲盛氏が抜けたらつぶれた松風工業
稲盛氏は新卒で入社した松風工業の人事、体制に絶望して起業を決めた。新卒で入社したにもかかわらず、魅力的な新製品を開発し、数年がたつ頃には会社の屋台骨のような存在になっていた...。すごい
*稲盛氏の人生、前半は失敗続き
京セラ創業後は快進撃を続けるが、それまでは社会的に失敗することが多かった。就職、大学受験と共に希望通りには進まなかった。また、中学を浪人して行った2度目の高校受験にも失敗している -
Posted by ブクログ
その生い立ちから若手社員時代、京セラ創業、DDI創業、そしてJAL再生に至るまで、「新・経営の神様」稲盛和夫氏の半生を記した一冊。
「アメーバ経営」として有名な、小規模チームを事業単位としてリアルタイムでの数値の見える化により独立採算を促す徹底的に合理的な経営管理手法、その一方でJAL再生においても揺らぐことのなかった「全従業員の物心両面の幸福の追求」という情理の心、これらの根底にある「フィロソフィ」や「利他の精神」、そして「動機善なりや、私心なかりしか」と自らを律する克己心、人として正しいならばどこまでも追求する並外れた探究心、あらゆる権威を否定する反骨心があり、これらに呼応するかのように惹きつけられた多くの人々との出会いや別れ、確執、成功と失敗、修羅場の連続が語られる。
自身によるこれまでの著書からの引用や、本書の取材で初めて見つかった若手時代に父親に宛てた手紙などを通じて「人間・稲盛和夫」がその時何を思いどう行動したのかを追体験できる。また、今もその評価が完全に定まっているとは言い難いJAL再生についてもその内情を含めて詳細に記載されており、何より企業人として「ブレないフィロソフィ」を持つことの大切さ、一方でそれを持ち続けることがどれほど難しいことなのかを痛感する。「新・経営の神様」の集大成であると同時に、読者に人として「働くこと」の意味を今一度本気で考えることを促す一冊。