あらすじ
匠=職人。その熟練の技は神話の時代から感動と尊敬の念を人々にもたらしてきた。精魂込めた「本物」を生み出す彼らの姿は、絶やしてはならない「ものづくり」の喜びを教えてくれる。日本酒、漆器、和紙、茅葺、金箔、和ろうそく、織物、仏像と修理、人形、日本刀、花火、陶芸――世界でも有数の伝統は、最先端の技術と共存しながら、今なお受け継がれている。それこそは日本の尊き美質であり、国を支えてゆく礎となる。地道な努力を厭い「楽して儲けたい」という現代の風潮を憂える著者が、日々研鑽を重ねる職人たちに迫った。戦後、吉田茂と白洲次郎は荒廃の極みにあったわが国土を前にして、それでもそこにまだ「日本人」が残っていることに一筋の光明を見出した。それは匠の伝統を受け継いだ、手先が器用で我慢強く、向上心旺盛な、世界有数の勤勉な国民である。日本には天然資源はない。しかし「日本人」がいる。それを誇らずして何を誇ろう。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
■■日本人にしか出来ない!!■■
そんな「職人気質」は、日本人には残っているはず。標準化できない部分にこそ職人の活躍の場がある。そんな、今に伝える伝統的な職人の多くは、現在、トキのような状況に陥りつつある。
職人の技に興味があるが。。。そんな思いで、職人のまちへひとりで行く前に読んだ本。
「伝えたい技は沢山ある。ただ、それを身につけるだけの修行に耐える忍耐力は、今の若者にはない。」そんな事を言われたことが印象に残ってる。
欧米とは違い、慈善事業ではなく技術移転の形で途上国へ貢献してきた日本。全てを教えられるわけではなく、同じ製品でも感じが違う。日本人にしかない感性でモノをつくることの大切さを伝えなければいけない。そう思った自分が居ます。
Posted by ブクログ
ギリシャ神話でのパンドラの箱に残っていたのは希望だと。
吉田茂、白洲次郎が戦後荒廃した国土を見て、それでも残ったのは日本人である、と。
職人の歴史。そのルーツを辿ると神話にまで遡る。石凝姥命は天照大御神を召喚する為に天香具山から採取された胴を用いて八咫鏡を作った。更に飛鳥時代、石凝姥命を遠祖として鏡作連という職人集団が形成され、彼らが鍛治をつかさどった。
本書一冊を通して、職人の歴史から、建築、紙、日本酒、刀、人形、陶磁器、車などなど各分野の現在、伝統工芸技術、後継者不足、精神性、そこから学び得るもの、行政のあり方、果ては国力と、実に壮大なるが、貫かれる主旨は職人に対する敬意である。
日本人のものづくりに対する姿勢、刻み込まれたDNAが、昨今取り沙汰されるクールジャパンの背景だ。
貴方の好きな外資ブランドの眼鏡のフレームも福井の町工場のお爺ちゃんが作っているかもしれない。レストランの料理人やパティシエが使う包丁やその道具は新潟の町工場のお爺ちゃんが作っているかもしれない。
日本に限らず、海外のギルド、マイスター、マエストロについても触れられている。
エルメスの馬具屋、フェラガモの靴屋、フェラーリの技術も元は馬車職人の技術が連綿と刻まれている。
職人たちの実直なものづくりに対する姿勢、頑なまでの追求性、精神性。
大量生産、大量消費、ファストフード、ファッション...全てを否定するわけではない。
一つの品物、作品が出来上がるまでには、数々の人の手が加わり、その裏にはものづくりに対する真摯な姿勢をもつ職人の方々がいることを忘れてはならない。良いもの、本物を長く大切に使うことの大切さを改めて実感させてくれる一冊でした。
読む人によっては、拒絶反応をされる方もいるかもしれませんが、個人的には今年読んだ本の中でベスト5には入る良書でした。
Posted by ブクログ
日本の伝統工芸の由来について、書かれている新書。
中国からの渡来人は、日本に深い影響を残したと、よく分かった。
歴史が少し苦手だけど、江戸時代の頃の楽市楽座についてとても
興味深いと感じた。また、今に通じる人の名前でも、いろんな由来が
ある。服部さんは、昔貴族の服の部門を担当していたから、服部という
由来だったとか。。
日本の奥ゆかしさを感じられた一冊。