あらすじ
日本でいちばん格好いいといわれている男・白洲次郎。明治35年に兵庫県で生まれ、英国へ留学。戦後、吉田茂の側近として日本国憲法制定の現場に立会い大きく関与した。しかし、彼は表舞台には立たずに、在野精神というダンディズムを貫き通すのであった。初めて知る方にもお勧めの白洲次郎評伝決定版。(講談社文庫)
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匿名
Thank you
I wanna see more of this guy’s life.
And I understand Japanese history from the book.
面白かった
上巻が若い頃の写真、下巻が活動中の写真。
下巻の方がカッコいいですね。
めちゃくちゃお金持ちの家に生まれて、
それゆえ留学できて、でも父親の破産で留学を切り上げて帰国して、借金あるから
がむしゃらに働いて、村田簿記とかで勉強もして、奥さんと出会って、
歳が離れているけど朋友と呼んでいいかもしれない吉田茂と出会って、
バリバリ仕事して、いい歳こいても殴り合いの喧嘩とかして、
でも奥さんとか家庭内は円満で、奥さんも随筆家とかでヤンチャな人みたいだったけど、
仲が良くて、車の運転とかもヤンチャで、年取ったらうるせえジジイになって、
ぽっくり亡くなった方みたいです。
小気味良い、かっこいい、筋を通す生き方に憧れますが、
事なかれ主義、なあなあやあやあ系の生き方してきたので、
ちょっと無理ですね。
小林秀雄とのやり取りがもう少し読みたかったですが、
その辺が残念。
あの人も頭の良い人でしたからね。
小林さん曰く、自分は秀才、次郎さんは天才だそうですが、
段取り半分を地で行くことの進め方で、用意周到な感じなので、
少し違う気がする。強いて言うなら気づきの天才。
お好みで。
Posted by ブクログ
再読。「日本でいちばん格好いいといわれている男」白洲次郎さんの前半生が描かれている。
2009年にNHKでドラマ化もされている。
日本国憲法制定の際に無理難題を押し付けてくるGHQを相手に互角に渡り合った壮絶なやり取りが印象的。揺るがない「principle」をもって、表舞台には立たず裏方に徹する白洲次郎さんの生き方がステキでとてもカッコいいと思った。
いろいろなエピソードも書かれていて面白い。
日本国憲法がどうやってできたのかを知る上でもおすすめの本。
町田市の鶴川にある白洲次郎さんの邸宅だった「武相荘」にも行ってみたい。
心に残った言葉
・彼(白洲次郎)は吉田茂に見込まれ、戦後、日本復興の推進役として辣腕を振るった人物である。〝プリンシプル〟(生き方の大原則)を大事にし、筋の通らない話には相手が誰であろうと一歩も引かなかった。正子は次郎のことを「直情一徹の士(さむらい)」、「乱世に生き甲斐を感じるような野人」と評している。P11
・日本政府を代表してGHQとの交渉窓口を任されていたときのこと、昭和天皇からのクリスマスぷれをマッカーサーの部屋に持参したことがあった。すでに机の上には贈り物が堆(うずたか)く積まれている。そこでマッカーサーは、
「そのあたりにでも置いておいてくれ」
と絨毯の上を指差した。
そのとたん白洲は血相を変え、
「いやしくもかつて日本の統治者であった者からの贈り物を、その辺に置けとは何事ですかっ!」
と叱り飛ばし、贈り物を持って帰ろうとした。さすがのマッカーサーもあわてて謝り、新たにテーブルを用意させたという。P11
・ー戦争には負けたけれども奴隷になったわけではない。
それが彼の口癖だった。日本人離れした体躯と英国流のダンディズムを身につけていた彼は、アメリカ人と相対しても位負けするどころかむしろ相手が威圧感を感じるほど。英国仕込みの語学力を武器にGHQ高官とも堂々とわたりあった。
・神戸一中時代の友人のひとりに今日出海(作家、佐藤内閣での初代文化長官、兄は作家の今東光)がいるが、彼は中学時代の次郎の印象として〝背が高い・訥弁・乱暴者・かんしゃく持ち〟の四点を挙げている。P23
・あまりに喧嘩が多いので、謝罪のために持っていく菓子折りが自宅に常備されていたというから相当なものである。P23
・近衛文隆はその後出征し、砲兵隊の中隊長として満州で終戦を迎えたが、近衛の息子だと目をつけられた彼は、11年の長きにわたって極寒の地シベリアに抑留され、しょうわ31年(1956年)10月29日、ついにチェルンツィ村のイヴァノヴォ収容所において悲惨な最後を遂げた。
そのことを知った次郎は、怒りに身を震わせながら痛哭し、
(ソ連の野郎、絶対に許さねえ!)
と天を仰いでその非道を呪った。P76
・権威をものともしない吉田の硬骨漢ぶりが次郎の心を捉えて離さなかったのだ。鋭敏な時代感覚、周囲に惑わされることなく冷静で筋の通った考え方、こうと思ったら譲らない頑固さ、功を誇らない奥ゆかしさ、すべてが次郎には好ましかった。次郎にとって吉田は、夢に思い描いていた理想の〝うるさ方〟だったのである。P84
・まさに百折不撓。目の前にいる好々爺然とした小柄なじいさんのどこにそのような胆力があるのか? 彼は吉田茂という男に惚れなおしていた。このじいさんになら、じぶんのすべてを捧げ尽くしてもいいと思った。P105
・いったん友情を結ぶと徹底して気配りをするのが白洲流である。P107
・(アメリカが何様だというんだ!)
次郎の精神構造の中には米国を軽く見る傾向があった。それは英国人が米国のことを〝所詮彼らは成り上がりだ〟と軽侮するのにも似た感情であった。敗戦後とかく卑屈になる日本人が多かった中にあって、次郎は異色の存在であった。P122
・〝統治〟の主眼は、日本を民主的な国家に変貌させること。民主化といえば聞こえはいいが、二度と戦争を起こさせないよう骨抜きにすることに尽きた。P123
・おかしいことはおかしいと、はっきりものを言った。宮澤喜一元首相は当時を振り返って、
「占領期間中、白洲さんはとにかくよく占領軍に盾ついていましたよ」
と述懐している。P128
・彼の英語のうまさに感心したホイットニーが、「貴方は本当に英語がお上手ですな」
とお世辞を言ったとき、次郎が、
「閣下の英語も、もっと練習したら上達しますよ」
と切り返したというエピソードは有名である。P128
・次郎の場合、彼らと接する時間が長かったので、あだ名はいくつもついたが、そのひとつに〝Mr.Why〟というのがある。〝どうしてだ?〟としつこく迫ってくるからで実に彼らしい。P129
・「軍部がはびこればこれに頭を下げ、GHQが実権を握ればすぐに尾を振る。〝巾着切り〟(スリのこと)みたいな役人ばかりじゃねえか!」P129
・これまでマッカーサー自身が乗り出さなかったのにはわけがある。GHQが憲法を制定することは、そもそも国際法に違反する行為だったのだ。P158
・それにしてもわずか九日間で憲法を作れというのはどういうことか。常軌をいっしている。
25名のメンバーの顔ぶれがまた尋常ではなかった。陸軍将校11名、海軍士官4名、軍属4名、秘書を含む女性6名で、弁護士資格を持つ者こそ3人いたが、憲法の専門家はただのひとりもいない。どう考えても一国の憲法作成を任せる布陣ではなかった。P162
・後の首相・宮澤喜一は次郎の口から次のような言葉を聞いている。
「自分は必要以上にやっているんだ。占領軍の言いなりになったのではない、ということを国民に見せるために、あえて極端に行動しているんだ。為政者があれだけ抵抗したということが残らないと、あとで国民から疑問が出て、必ず批判を受けることになる」P180
・フランシス・F・コッポラ監督の大作映画『地獄の黙示録』は、〝カーツ大佐〟という軍人が原住民を支配しているうち彼らの王となり、本国の指示を無視して独立王国を築いてしまうストーリーとなっている。この〝カーツ大佐〟のモデルこそマッカーサーその人だと言われているのだ。実際彼はしきりに「マイ・ジャパン」という言葉を口にした。P223
・古関彰一は著書『新憲法の誕生』の中で、次郎の役回りについて触れ、
〈憲法制定この役は結果的には〝汚れ役〟になったのであるから、吉田が表に出ず、白洲にその役を演じさせたことで吉田はその政治生命をどれだけ救われたか計り知れない。白洲がいなかったとしたら、吉田はその数カ月後に首相になることはなかったかも知れない〉P228
・次郎は、憲法調査内容を批判して次のように述べている。
〈この憲法は占領軍によって強制されたものであると明示すべきであった。歴史上の事実を都合よくごまかしたところで何になる。後年そのごまかしが事実と信じられるような時がくれば、それはほんとうに一大事であると同時に重大な罪悪であると考える〉(『プリンシプルのない日本』「諸君!」1969年9月号)P229
・〈新憲法のプリンシプルは立派なものである。主権のない天皇が象徴とかいう形で残って、法律的には何というのか知らないが政治の機構としては何か中心がアイマイな、前代未聞の憲法が出来上がったが、これも憲法などにはズブの素人の米国の法律家が集ってデッチ上げたものだから無理もない。しかし、そのプリンシプルは実に立派である。マックアーサーが考えたのか幣原総理が発明したのかは別として、戦争放棄の条項などその圧巻である。押しつけられようが、そうでなかろうが、いいものはいいと率直に受け入れるべきではないだろうか〉P230
Posted by ブクログ
上巻の勢いたるや、凄まじいです。下巻が楽しみ。憲法改正にこんな戦いがあったことを知りました。敗北を知りつつも気高く生きなくてはならない。間違った時代の潮流には誇りを持ってたてつかなくてはならないと感じます。
↓好きなフレーズ
男親というのは、母親ほどには子供に愛されない損な役回りであるが、それでいて子供は父親の背中を見て育つものである。国の行く末を懸けた大一番を戦っている時、ふと、父親のことが頭を掠めたというところに、白洲次郎という男の人間臭さが感じられる。
Posted by ブクログ
下巻が特に面白かった。
敗戦〜占領中〜日本独立の時の、米国側(マッカーサー・民政局・米政府)と日本側(吉田茂・白洲次郎・官僚)の駆け引きに惹き込まれた。米国側同士や日本側同士でひと悶着あるのも、人間らしくて好き。
日本に、米軍基地無しでの独立の道もあったことは初めて知った。
Posted by ブクログ
ホレる!!
学生時代をイギリスのケンブリッジで学び、プリンシプル(原則)、ノブレス・オブリージュ(高貴さは(義務を)強制する)を尊んだ。
戦後、吉田茂の側近としてGHQと対等に渡り合い、経済的な復興にも大きな影響力を発揮した。情勢を読むカンの鋭さ、頭でっかちではなく、実行力も伴う。
「あいつはいざというとき役に立つ男だ」吉田茂にそう言わしめた男。
時代、時代の変革期には、こういう人物が出てきて何とかしちゃうのかもしれない。
坂本龍馬・勝海舟…。
現代にもこんな人が出てこなものだろうか。
家族の中では子煩悩のお茶目な人でもあったよう。
ますますホレる!!
Posted by ブクログ
白州次郎の評伝本。
恥ずかしながら、私は、NHKのドラマスペシャルをたまたま観るまで、「白州次郎」も「白州正子」もまったく知らなかった。そこで初めて、白州次郎という人物を知り、興味を持ったというか惹かれた。で、本書を読んでみた。
テレビドラマは一部しか観なかったのだが、ドラマ以上にドラマティックな人生に圧倒された。かっこ良過ぎ。GHQを相手にした交渉は、無理難題を押し付けてくる顧客を相手にしているビジネスマンに相通ずるところがあり、スカッとさせてくれる。戦後の日本の復興を中心となって支えながら裏方に徹したというところが、その魅力をさらに際立たせている。白州次郎のかっこよさは、枚挙にいとまがない。
一方で、戦後の日本復興の歴史、舞台裏を知るという意味でも本ストーリーは興味深い。特に、日本国憲法制定のくだりは、すべての日本人が知っておくべきだと思った。
Posted by ブクログ
米占領軍と戦った男の生き様は、とても痛快でありつつ、大きな孤独と哀しみを感じる。
真実は、見る人によって評価が異なるのは当然なので、これがすべてではないだろうが、ある一面を表しているのだろう。
日本人としては、必読の書ではないかと思う。
稀代の目利き
育ちのいい生粋の野蛮人
ケンブリッジ大学クレア・カレッジ
近衛文麿と吉田茂
終戦連絡中央事務局
憤死
“真珠の首飾り”―憲法改正極秘プロジェクト
ジープウェイ・レター
「今に見ていろ」ト云フ気持抑ヘ切レス
海賊と儒学者と実業家のDNA
Posted by ブクログ
白洲次郎本人だけでなく、彼を取り巻く周囲の人物もイキイキと描いた良本。日本国憲法にはやや批判的に描かれているが、どんな過程で敗戦から立ち直ったかを知ることが出来る。後編楽しみである。
Posted by ブクログ
安保問題がつまんないのはプリンシパルが誰にもないからだ。 国民にも、政治家にも、法律家にもプリンシパルが無い。 あるのはポリティカルコレクトネスだけ。
プリンシパルはある、という反論が欲しい。納得させて欲しい、態度で示して欲しい。この本を読んで、吉田と白洲が何をしたかを知って。
Posted by ブクログ
数年前の白洲次郎ブームに遅れたけれど、読んでみて感動。
生まれた環境も影響しているんだろうけど、本当にかっこいい男だと思う。
しかし、自分が友達になれるかどうかは微妙。
「海賊と呼ばれた男」と似ているかも。
Posted by ブクログ
只々 感服するのみ
生まれが違うと言ってしまえばそれまでかもしれないが、
ここまで突き抜けてくれると、憧れになる。
自分は無理だけど、孫ぐらいにまでには こうなって欲しい。
Posted by ブクログ
白洲次郎の半生の前半。
GHQとの憲法制定の件など、(別の書籍含めて確認が必要かとは思うが)こんなに突貫で日本国の憲法が作られていたとは驚いた。
また、交渉する場合、相手がどのような思惑で動いているのか(GHQ・マッカーサーは自国の法律は自国で作るというハーグ国際条約違反と極東会議による憲法制定への横槍を恐れて憲法制定を急いでいた)をput feet in their shoesするのが大切だと思った。
Posted by ブクログ
敗戦という国としての逆境から、如何にして再び復活するかを自らの使命とした男、白州次郎。時に荒々しく、時に強引でありながらも、いつも格好良くあり続ける魅力は何か。
やはりそれは本文でも繰り返し述べられている「プリンシプル」なのだろう。周囲からは突拍子がないように見える態度や行動も、実は彼が貫く筋、信念があるからこそであり、GHQとも対等に渡り合える強さであると感じた。
同調圧力の強い日本において、その存在の大きさや果たした役割を知ることができるいい機会となった。
自分のプリンシプルは何か?を考えるきっかけにもしたい。
Posted by ブクログ
北康利による白洲次郎の伝記。次郎の幼少期から戦後GHQ統治時代の憲法改正プロジェクトへの関わりまでを描き、サイドストーリーとして妻の正子や父の文平、祖父の退蔵、また友人となった近衛文麿や福沢諭吉など著名な人物たちの背景まで語られる。戦争に向かってゆく・敗戦後処理を行う日本における重要人物が白州次郎のストーリーを軸にしながらこれでもかというほど登場するため、歴史の勉強になる。また、白洲次郎に期待される豪快なエピソードも多く登場するため、面白い。
超上流階級・大金持ちの生まれで、留学などもしながらのびのびとした生活を送る中で育まれたのが、「プリンシプル」と考えると、この人が「プリンシプルのない日本」とか言ってるのはいただけない。ただ、なにが彼の優れた人間性を形作っていたかといえば、真っ直ぐ・素直で、情に厚く、信念のためには地位も気にせずに自由闊達であったということは疑いなく、こういう心持ちは持っていたいと思った。また、とはいっても、上流階級のなかでのびのびと、媚びへつらったりもせずに過ごしていたのはレアなのかもしれないが、そこそこ空気も読んだり、謝る時は謝ったりと、単なる傍若無人であればいいというわけでもないので、バランス感覚を学ぶのはなかなか難しい。
思い出すと、こういう「プリンシプル」というのは、彼なりのモラル、教養のことであって、自分なりに高潔に振る舞おうというプライドや意識が高かったことの表れなのではないかと思う。そういう意味では自律の人であったのだと思う。
Posted by ブクログ
面白かった。信念•意志の強さですね。
モチベーションあげるためにビジネス本の間に挟みましたが、こういった本のジャンルは初めてでした。
下巻読みます。
Posted by ブクログ
長谷部の『心を整える』に出てきてて、本田も読んでいたということで興味が湧いて読んでみた。
マッカーサーを怒鳴りつけたエピソードが一番印象に残った。
誇りを持ち、自分の考えをはっきり伝えられるところが凄い。
憲法が駆け引きでこんなドタバタして創られたものとは知らず、敗北を感じた。
Posted by ブクログ
評伝とか苦手だと思ってたけど、めちゃおもしろい。
理由は白洲次郎という題材のおかげか、それとも筆者の文章のうまさか。
ちょっとこた小噺が散りばめられていて、それぞれの人が魅力的に描かれている。
Posted by ブクログ
戦後の日本を支えた人物、白洲次郎。
戦後の日本を彼の生まれと軌跡を絡めて、物語のように見れる。
特に、GHQとの闘争には文面からだけでも凄まじ闘気と、無念の想いを感じる。
日本の先人達が、後世の私達にとっても、出来るだけ良い形で、日本有史以来初めての敗戦国となり、他国の占領下となる日本を、残そうとしたことが、この軌跡を通じて感じることができる。
マッカーサーを筆頭としたGHQ側の首脳陣に対し、白洲次郎を筆頭に善戦してくれたことがよく分かる。
Posted by ブクログ
【本の内容】
<上>
日本でいちばん格好いいといわれている男・白洲次郎。
明治三五年に兵庫県で生まれ、英国へ留学。
戦後、吉田茂の側近として日本国憲法制定の現場に立会い大きく関与した。
しかし、彼は表舞台には立たずに、在野精神というダンディズムを貫き通すのであった。
初めて知る方にもお勧めの白州次郎評伝決定版。
<下>
少年のようにスポーツカーをこよなく愛した一方で、戦後いち早く日本の経済的独立を目指し通商産業省創設に奔走。
ところが創設後はすっと身を引く。
全てが次郎の「紳士の哲学」であった。
エッセイスト白洲正子とともに過ごした彼の人生を膨大な資料を基に解き明かす必読の白洲次郎評伝。
[ 目次 ]
<上>
稀代の目利き
育ちのいい生粋の野蛮人
ケンブリッジ大学クレア・カレッジ
近衛文麿と吉田茂
終戦連絡中央事務局
憤死
“真珠の首飾り”―憲法改正極秘プロジェクト
ジープウェイ・レター
「今に見ていろ」ト云フ気持抑ヘ切レス
海賊と儒学者と実業家のDNA
<下>
巻き返し
ケーディスとの最終決着
通商産業省創設
只見川電源開発
講和と独立
そして日の丸は再び揚がった
素顔の白洲次郎
日本一格好いい男
葬式無用、戒名不用
[ POP ]
日本で一番カッコイイ男・白州次郎伝。
謎の多い人ですが、それがまた好奇心をそそります。
この先こんな人は現れないでしょう。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
彼のことを記した書物はずいぶん沢山あるけれど、これは順を追って、その時、その時の政治状況なども比較的丁寧に説明してあって分かりやすい。白洲次郎という人の、そもそもの家柄や周囲の人々の生い立ちに至るまで丁寧に記されている。
上下巻のうち上巻にあたるこちらは、1902年に彼が誕生してから、敗戦しGHQと憲法についてすったもんだのやりとりをするところまでが取り上げられている。白洲次郎という人物の数々のエピソードもさることながら、現在進行形で問題になっている政治のさまざまなことの事情が改めて理解できて面白い。
別に文部省のせいにするつもりはないが、普通に公立の学校の義務教育で歴史の授業を受けていると、小、中、高校といつも原始人からスタートして、江戸時代か、せいぜい明治にかかったあたりで卒業してしまうのだ。私が社会科の嫌いな生徒だったせいもあるけれど、近代史は未だに特に苦手で、疎い。でも、こういう歴史を知らずに選挙権を持っているというのは本当は大問題だと改めて痛感。選挙に行かない無関心さは勿論けしからんと思うけれど、これまでの日本の生い立ちや経緯を知らずに闇雲に投票する人が増えても、それはそれで、その場だけクチの巧いスタンドプレーに騙される人が増えるような気がして恐ろしい。
・・・もしや、近代史を学校で教えないのは、ワザとだったりして。
Posted by ブクログ
白洲次郎の生い立ちから敗戦、日本国制定まで。白洲正子自伝でもそうでしたが、登場人物が大物過ぎて…。
小田急の鶴川にあり一般公開されている、白洲家の旧居、武相荘(ぶあいそう)にもそのうち行かねば。
Posted by ブクログ
自分とかけ離れた人間に対する羨望とは誰しもが持つものだと考えておりますが、白州次郎もその対象です。
自分の正しいと思った事は目上の立場の人間だろうと真っ向からぶつかる姿勢、一方で多くの人達から愛されていたのは彼自身がしっかりと自分自身の中に揺るぎない「原則(Principle )」を確立させており、人によって態度・意見を変えない一貫性があったからなんだと思います。衝突を恐れすぎて仲良しこよしの羊の群れに収まらず、一人でも気を吐いて己が信じた正義を全うする姿勢をみせつけられると、本書は背筋を伸ばして読まずにはいられません。
また、目下の人間に対しては偉ぶらず、厳しさと優しさとをもって接する姿勢。社会的地位を手に入れた後も、その立場に固執せず、あっけらかんとCountry Gentleman (隠居者)の道を選ぶ潔さ、見習うべき点は沢山あります。
彼の母親が亡くなった際のエピソードは、彼の原則というものが「人・家族を大切にする」というものを物語っています。偉業を成し遂げる人間とは、結局の所周りから支持される人間であり、人を大切に出来る人なんだと思います。
本書は現日本代表の本田圭佑氏が読んでいた本だということで手をとりましたが、世界を舞台に戦う男はこの本から学ぶ事が沢山ありそうです。
また人生の節目節目に読みたい本として本棚にしまっておこう。
Posted by ブクログ
白洲次郎、かっこいいの一言ですね。 上巻は、次郎の留学時代から戦後の憲法改定までだが、筋の通った生き方がどのエピソードからも溢れている。当時の最上級のエグゼクティブ達との出会い、憲法改定の表裏は、歴史を読む醍醐味を堪能させてくれる。これからの学生には、教科書で学ぶだけでなく、こういった生き様こそ受け取って欲しい。
Posted by ブクログ
第二次世界大戦の敗戦後、GHQによる占領下にあった日本において主に憲法改正に大きく尽力した白洲次郎についての伝記的作品。
男としてのかっこいい態度が多く伝えられており、また難しい文章表現も多くそこも面白い。
昔の男たちはエネルギッシュで、自分の信念は常に持ち保ち続ける物怖じしないカッコイイ男だよな。
Posted by ブクログ
豪快で才能と自信に溢れている印象が強い、現代史に名を残す白洲次郎についての本。
戦前から戦後の憲法についてGHQと当時の日本政府がやりあっていた頃までが上巻に書かれています。
背が高くて、先進的。
英国名門校で学び、大金持ち。
いやはや、ドラマか映画の中に出てくる王子様のようですが、実在の人物です。
欧米的思想に影響され、少々偏った所もあったり、坊ちゃん特有の鼻持ちならないところがあった事などもあるので、次郎カッコイイ!と一言で簡単に褒める気はありません。
でも、やはり占領期を背負って人の一人で、華やかな上流階級出身ならではの良さも持ち合わせた人物である事も事実。
下巻も読もうと思います。
Posted by ブクログ
京都の芦屋で生まれ、10代で英国留学、小学校教員の初任給が45円だった戦前のこの時代に1万円の仕送りを受けていたという、正真正銘のお坊ちゃま。しかし、白洲次郎は、太平洋戦争後にアメリカの占領下でGHQと渡り合い、国家の計100年を見据えた厳しい交渉の矢面に立った人物である。特に、前巻のハイライトは、占領政策の中心となったGHQ民政局と新憲法案を巡って不眠不休の交渉をする場面である。白洲の名は、米側からも、唯一云うことを聞かない日本人として公式記録に残されている。実際のところ、奮闘むなしく新憲法は、一週間足らずで素人同然のプロジェクトチームによって原案が作成されたGHQ案を押し付けられる形で公布となる。あまりにも厳しい戦敗国としての現実であった。しかし、現場では日本の国家100年の計に立ち、粉骨砕身ぎりぎりの交渉を行った日本人がいたという事実に、後世を生きる我々として救われる気持ちになる。
現在、憲法改正VS護憲などの議論があるが、日本人の多くはそもそもその憲法がどういう過程で立案されたかを知らずしてそうした議論を行なっていることが、滑稽ですらある。暴走するマッカーサー、日本の占領政策にソ連が中国が介入することを警戒した急場しのぎで召集された素人当然の憲法プロジェクトチーム、社会主義思想で日本を統治することを画策したGHQ民政局などの諸般の事情が複雑に絡み合う状況で生み出されたのが現在の憲法の実態である。日本人は、憲法記念日などといってGW休暇で喜ぶ前にこの事実をまず知るべきだろう。
Posted by ブクログ
白洲次郎に興味を持ち、本を買ったが、読むタイミングを逸してようやく読み始める。淡々と事実が語られてる感じ。途中何度か集中が切れたが、若かりし頃の逸話が楽しかった。下巻に期待したい。
Posted by ブクログ
前半(上)
日本国憲法が出来るまでのマッカーサー率いるGHQとの攻防。マッカーサーの考えた日本を独立国家として自由民主主義を盛り込んだ革新的憲法草案は日本を二度と戦争させない、戦闘威力のない骨抜きにするためのものだったとか。戦争に負けたことを認めたくない内閣府の軍人議員たちの保守的な考え、どちらも譲らないその両方の心理的作戦は緊迫感があります。
その間を取り持ち白州さんの心理的負担や憲法草案に関わる人達との繋がりから 日本国憲法が出来るまでの過程がいかに険しかったか。
憲法改正するにはどれたけの人が関わり、命を投げ出してできたか、第九条がどれだけ重みがあるか、白州次郎さんだけでなく当時の人達を知ること 安部内閣府の数人だけで簡単に憲法改正を決めていいものではない。まだまだ集団的自衛権や、憲法改正については時間をかけて議論する余地はあると思う。
近代歴史に出てくる人たちが凄すぎて大河ドラマでもっと取り上げて欲しいと思った。