北康利のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
下巻は戦後日本の父・吉田茂とともに、経済復興を進めていくフィクサーとしての白州次郎像が見えてくる。公職には就かず、あくまで民間人として日本経済の発展を考え、国際的な交易によって国富を増価させていく通商産業省の設立、あらゆる産業の根幹となる電力の安定供給といった、現代にも通じる政策課題を手がけていった。
サンフランシスコ講和条約において、外務省幹部の書いた英文でのスピーチ草稿を破り捨て、「独立国として自国の言語で堂々と講演せよ」と、30mにも及ぶ巻き紙に毛筆で書いたスピーチを吉田茂に読ませた下りは圧巻である。
個人としてのプリンシプルから、国家としてのプリンシプルへ。現代の日本人にとって足り -
Posted by ブクログ
この本は白洲次郎の伝記的小説ではあるけれど、日本国憲法(象徴天皇)、日米講和、日米安保の背景を知ることができるとてもよい歴史教科書だと思う。
そう思えるのも、これらをまとめるために次郎が深く貢献しているからに他ならない。
これだけ日本の復興と外交政策について「今」どうあるべきかを考え、実行して来たにも関わらず、結局大臣にもならず、公職にも就かなかった。
そうしなくても一国の総理を動かし、国の舵取りをできるのだから、金や権力が欲しいのでなければそんな必要は無かったのだろう。
坂本龍馬や勝海舟と同じダンディズムを感じる。
しかし歴史や物語はケイディスのようなヒール役が登場すると俄然ドラマ -
Posted by ブクログ
ずっと前に買って中々読めなかった白洲次郎の本。
(一部で)日本で一番かっこいいと言われている人がどんな人なのか、
これまでの本の流れ的にも時代が一緒だったこともあり
読んでみました。
戦中戦後に掛けて吉田茂と二人三脚で歩んできた白洲次郎の物語。
様々な思いが交錯する中で原則を貫く白洲次郎は、確かにかっこいいし、
今の時代に足りていないものを体現している気がして素敵だと思いました。
ただ、この本の語り口が非常に鬱陶しく、興醒めな部分が多かったので☆3。
城山三郎が書いていたらきっと凄く良い話になっていたはず。
白洲次郎については別の本も読んでみようと思います。
余談ですが、当然な