古谷経衡のレビュー一覧
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「意識高い系」の人たちを嫌っているにもかかわらず、筆者は自分が「意識高い系」の特徴を有していることを認めている。
筆者の考える「意識高い系」の人たちの特徴や、あるいは、背景になることは以下の通りだ。
■「意識高い系」の人たちは、中学・高校時代に、スクールカーストの最上層に入れなかった人たちである。最下層というわけではなく、第二階層にいた人が多い
■スクールカーストの支配階級は、地元に根付いている人たちで、親にそれなりの経済的な余裕がある人たちである。社交性、また、何よりも容姿が優れていることが条件である。これを「リア充」と呼ぶ
■「意識高い系」の人たちは、スクールカーストに苦い経験を持ってい -
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戦争や政治に対して意識が高い人を「意識高い系」と揶揄する風潮に疑問を感じていたので、タイトルから気になって読んでみた。本書ではきちんと「意識高い系」(系は「もどき」)と政治に対して「意識が高い人」を区別しており、やはり政治に対して関心を持つ人を「意識高い系」と揶揄する風潮は、政治に関心を持たない人々が「私意識高い系じゃないから(笑)」と自己を肯定し思考停止するための言葉として使われているのではないかと考えた。
抽象的で多幸的な言説を善とする意識高い系は、具体的でグロテスクな欲望を避けるために「高次の大義」を掲げがちであり、それはかつて戦争に突き進んでいった「高次の大義」(ex.「アーリア人 -
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古谷経衡の集大成。日本のネトウヨ研究にかけては間違いなく第一人者ではないか。堅苦しそうに見える文体も実はかなりギャグめいていて読んでいてとても楽しい。
本書は是非ネトウヨも限界パヨクもどちらの層も特に若者に読んで欲しいので、タイトルが若干引っかかったりした。「ネトウヨ総論」ぐらいいっちゃってもいいのではないかな。
読後は右だの左だの言ってること自体がアホらしくなってくる。いずれも単なるポジショントークでしかないということ。問題はもっと深いところにある。いやそうなのか?実は目の前にある問題を切り替えるための議論のための議論でしかないのではないか?
そんなことをすら気づかせてくれる。ネット上 -
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要するにネット右翼=情報リテラシーがない人びと
いろいろ勉強になった。著者はよく勉強してゐる。
要するにネット右翼といふのは、端的にいへば、情報リテラシーがない人であり、これはもう永存するのだらう。あと著者が、見識のある革新やリベラル・移民に、可能性を見出してゐるのは意外だった。
コラム1「宗教保守とは何か」にて、旧統一教会の出自が反共であり、反共同士でつながりあって存続できたとは知らなかった。コラム3「保守と右翼」も、私じしん保守と右翼を同一視してゐたので、なるほどと思った。ネット右翼が、主に戦争未体験の中産階級といふのも目新しい。あと、右派や保守は自民党を支持するが、自民党のなかで -
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戦争を知らない世代の書いた戦史として屈指の出来栄え。実際に戦地を訪れるという信念も素晴らしい。
何より筆者の年齢に驚かされた。耳学問で良くぞここまでとの感。一方的な日本軍の害悪論でなく、真摯に戦った指揮官を描いている。
インパール作戦の佐藤幸徳、宮崎繁三郎。沖縄決戦の八原博通、特攻拒否の美濃部正。
筆者で何より評価したいのは実際に戦地を訪れる姿勢。『失敗の本質』を座右の書に挙げる政治家は多いが実際にインパールを訪問する人はいないだろう。政治家に限らずガダルカナル硫黄島のような激戦地を訪れる作家はいても、インパールを訪れた作家は寡聞にして筆者でしかしらない。現代の交通機関の発達を持ってして -
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絶縁する?
どんな方法で、と疑問に思い購入しようとしたら、在庫切れで他店より取り寄せるとのこと。
親との縁が切れる時、どちらかがこの世から消える時、天命を全う。殺すか殺される。絶縁の具体的手段はお読みいただくとして。
私は消極的な縁切りを選んだ、親の老衰による自然死まで待つ。
読み始めると著者の父親は私と同い年、そのワタシが「長男だから」の枕詞。
土地も資産もない「下級」公務員が親の価値観を私は押し付けられた。
「長男だから、長女だから」を口にしなくなった親世代はいつ頃なのか。
教育現場では、学力で高校進学を割り振られ、大学受験も本人の意思とは無関係に国立一期校、二期校、公立医学校...... -
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自分よりも10歳年下の作者さんの体験本。私の配偶者も、この作者さんと似たような体験をしているので理解できますが(それでも、この作者さんの環境はひどすぎます)、子どもが大人になっても生きづらさを抱えていることが気の毒でなりません。
この作者さんも結婚を通して自分の親と向き合う決意をしたそうですが、そのあたりの経過やきょうだいとのことが全く触れられていないので、私としてはその点が物足りませんでした。
ただ、作者さんも最後に触れていますが、親からの心の傷は、忘れようと努力するよりも向き合った方が、修復は早いと私も思っています。ただ、それは、当人にとってとても辛すぎる作業だとも思いますが。
絶縁意思の