古谷経衡のレビュー一覧
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陰謀論が排外主義と結びつくことの恐ろしさを改めて感じた。サブカル界隈から飛び出した陰謀論が排外主義を帯びて政治化し、各種の「解体デモ」などの形で実社会に多大な影響を及ぼすようになった。
本書では複数の「陰謀論ウォッチャー」が寄稿しており、どれも興味深い。
とくに、陰謀論を推し活の観点から分析した山崎リュウキチ氏の論考は、とても鋭いものだった。陰謀論者にとってみれば、陰謀論は現実社会の二次創作だというのである。だとすれば、「それは間違っている」と指摘しても効果がないのは当然である。
また、藤倉喜郎氏によれば今の陰謀論は陰謀論ですらなく、単なるデマや差別であるという。「意見や立場の違い」では -
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暗澹たる気持ちになるが、「日本社会の現在地点」を知る上で、良書である。
「新しい戦前」とも言われる現在。
わたしが恐怖を感じているのは、無謀なアジア・太平洋戦争時において、国民の99.9%が、戦争に賛同、もしくは追随していたという事実だ。
戦争反対の声を上げた人々の記録は、限りなくゼロに近い。
彼ら、彼女らは、近隣から虐められ、職場から追放され、家族から見放されたであろう。
そして、警察にしょっ引かれ、女性にいたっては署内でレイプされたりしている。
冷静な判断で、正しい行動を行った、彼ら、彼女らこそ、現代のわたしたちが、感謝し尊敬すべき対象である。
そして、その「心の強さ」を学ばなければ -
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最近よく出ているコメンテーター古谷 経衡氏、
何者なのかと思ってこの新書を読む。
学生時代にチャンネル桜でデビューした、「元右翼」らしい。
ただ、右翼仲間?の言説があまりにレベルが低く、他の人が言うことをうのみに
しているだけというのに嫌気がさして、抜け出して今日がある、ということのようだ
つまり彼は自分で考える頭がある。
シニア右翼にはそれがない、ということもあってか、シニア右翼を分析しつくしたの
がこの新書。
そもそも右翼、保守ってなに、という話から始まる。
皇室を愚弄するような発言を繰り返す右翼がいるが、それはありえない。エセ右翼。
親米保守。アメリカのぽちになっ -
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ネトウヨはほぼほぼシニアである。と言われて一番なるほどと思ったのは、ネットでの彼らの相手に対する口の利き方だ。言ってる内容云々はともかく、最初から言葉使いが尊大で失礼な人が多いという印象がある。ネットの論戦相手は自分よりずっと年長者かも知れないのに、まるでそんな可能性などないかのように確信的にタメ口なのだ。それは若者がマナーに疎いからというのよりも、自分がシニアだから相手はたぶん年下のつもりで話しているという人が多いからと思うと腑に落ちる。なぜならそのぞんざいな態度にあまり悪意を感じない、無礼だけど悪気はない、という場合が多いからだ。社会経験が薄弱でネットリテラシーが低く、下品で反知性的な物言
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今までやけに肩に力が入ってからぶっていたり、露悪的になったりして不興を買っていたように思うが、初めて面白く、フラットに落ち着いて読めたように思う。
女政治家というくくりは少々炎上商法狙いというか、ポリコレ話題に乗っかった感があった。しかし、このくくり方をした理由も目的もとても腑に落ちたのだ。
単なる人物評を面白おかしく綴るだけでも一定のエンタメはキープできただろうに、あえて人物から派生する問題や歴史観、その思想の分析などに広げている点が実に時事批評として面白い。かつその論評は毎度の持ち芸の肩に力の入った、ある時は偏りも含めての持論を展開する。もちろんそれがおもしろいわけで、一般的な位置づけを語 -
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「意識高い系」と「意識が高い」は違うと常々思っていたが、本書はその答えの一つを提示している。
要するに意識高い系は欲望(主に承認欲求)を隠しているのだ。
しかもその隠し方が雑で透けて見えるから不快なのだろう。
抽象的な大義を掲げ、本心を偽装し、中身のない言動を繰り返す人間はそこかしこで見かける。
なぜそんなことをするのか理解不能だったのだが、あれらも意識高い系と考えればしっくりくる。
本書では地元でいい思いをし土着した人々をリア充と定義している。
真のリア充は観測不能であるというのは面白いと思った。
自分たちが充実しているのは自明なので、やたらめったら自分たちの行動をSNSにアップしない。
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「反ワクチン、外国人特権」などの陰謀論が政治にからみつき、ついに議席数や首長の座を取り始める現在を現場で取材する7人の記者がレポート
参政党の議席数躍進など何が起こっているのか戸惑う人の為の一冊
そもそも陰謀論というものの内容は何か、どういう経緯でそれは広まっていったのかを実例をあげて説明
現場報告は目がチカチカしますが現代史の俯瞰から見た考察もあります
2025年現在の報告で事態が流動的である為この後未来がどう動くかわからないものの過去と現在が克明に報告されているので「今」どこの立ち位置に自分達がいるのかを示唆してくれる一冊かもしれないです -
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8月になると必ず戦争関係の書籍を手に取るようにしている。
NHKの「映像の世紀」も面白いが、日本に直接関わる記録を読むことにした。
今回は私と同世代である古谷さんの本を選んでみた。
本書でのポイントは主に以下2点と考えられる。
①過去の歴史を正しく理解しフィードバックしないと、同じ過ちを犯すリスクがあること。
②正しく理解するために、戦地を訪れるなど、定期的に思い出して、過去の記憶を身体に定着させること。
戦争を知らない世代である我々は、中学高校の修学旅行で広島・長崎・沖縄といった場所に行く機会が多い。幸い、当時は戦争経験者の方がご存命であり、直接話を聞けることも多かったのだが、申し訳ないこ -
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タイトルそのまま、現地を訪問してその身でもって、戦争の真実を伝えようとするスタイルの筆者、古谷経衡氏の著作である。前作「敗軍の名将」では、沖縄戦の八原博通参謀やインパール作戦の撤退戦を演じた宮崎繁三郎少将(その後中将)、特攻の美濃部少佐(戦後は航空自衛隊空将)など、個々の戦いに於いて負け戦の中でも名を馳せた名将を取りあげ、それら生き方や人生観が現代社会に於いても重要であることを教えてくれた。
本作品は、筆者が太平洋戦争の激戦地となった、フィリピンやサイパン、インパールを実際に訪問し、その身を持って当時の戦いの悲惨さや、平和な世に生きる我々に教訓を与える内容となっている。特に太平洋戦争を取り扱っ -
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鈴木宗男20年ぶり自民党復活、なんて話があるが、
その20年前、国策捜査でムネオさんと一緒に監獄にぶち込まれた、
日本のラスプーチン、佐藤優さん。
彼の分析、文章は鋭い。自伝なども読ませてもらった。
そこにきて、元右翼、ある時気づいて「転向」?した、古谷経衡。
最初は胡散臭いと思ったが、語りを聴く限り、まったくもってまとも。
むしろ、「ウヨク」熱から覚めただけに、説得力がある。
歳は20歳以上離れている二人の対談。
まずは北方領土。
本来最初から2島返還とすべきものを、
沖縄返還前はアメリカへの遠慮から、
絶対ソ連が飲まない4島返還を訴えたと。
アメリカより先にソ連が2島を変換してしまっ