あらすじ
気鋭の若手評論家の初小説!
南部照一は、孤独な自営業者だった。茨城県取手市在住。猫と車を愛する27歳の平坦な人生は、ネット上のとある出会いによって狂っていく。
ひょんなことから保守系言論人の勉強会に参加し、中堅警備会社「シュトケイ」の懸賞論文に応募するや、入選。一躍、保守論壇の新星に祭り上げられ、日本唯一の右派系テレビ局「よもぎチャンネル」レギュラー出演者への道が拓けていく。
順風満帆の照一だったが、彼が足を踏み入れたのは、野心と嫉妬が渦巻き、裏切りや出し抜きが横行する下劣な世界だった。論客同士のパイの奪い合いから、思いも寄らぬ襲撃事件が発生した――。
◎気鋭の若手論客、古谷経衡氏による初小説。単行本発売時、ネット右翼を騒然とさせた話題作が早くも文庫化! 解説に元外務省主任分析官・佐藤優氏。
<小説の体裁を取っているが、右派の論壇人としてデビューした古谷経衡氏にしか書けない優れた社会人類学的作品だ。21世紀の日本で、愛国心を道具にして、排外主義的ナショナリズムが生成していく過程が見事に描かれている。>――解説/作家・佐藤優氏
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
佐藤優氏との対談本を読み、俄然著者に興味を持ち拝読。保守論壇という特殊世界をシニカルに描き、これでもかというその細部の描き方が独特の迫力を生んでいる。ネトウヨに崇められるカリスマ論客たちの醜悪な生態が暴かれているが、佐藤氏のあとがきにもある通り、これは右だからという訳ではなく勿論左にも言えることで、こじれた承認欲求の成れの果てになる可能性を内包していることの気付きになる。
Posted by ブクログ
俯瞰すると何とバカバカしいと一笑に付してしまいそうだが、実はこのような「商売」は今やあちこちに溢れているのだなと背筋が寒くなる。シニカルな文体は大変面白かった。