獅子文六のレビュー一覧

  • 断髪女中 ──獅子文六短篇集 モダンガール篇

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    「家事は女の仕事」が常識だった昭和という時代に、腐らずやさぐれずへこたれず、そして、軽やかにチャーミングに、女中という仕事で身を立てた女の子達が主人公の短編集。

    女の子であるというだけで息をするのも難しく感じることもあるこの現代。昭和の荒波をちょっとした知恵で生き抜いた女の子達が、私に大きな力を送ってくれた。

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    2018年05月24日
  • 青春怪談

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    この小説1954年に新聞連載されたもの。今の世と違和感を感じない恋愛模様、獅子文六の手腕はさすがです。ロマンティックで洗練された物語で最後まで飽きずに楽しめた。帯や解説にある通りクールボーイミーツドライガール、若い二人と周りの大人たちを巻き込んだ超絶ドタバタ恋愛劇。あー面白かった!私は船越トミ子を越路吹雪が演じた新東宝で映画化された方を観たいです。

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    2018年03月04日
  • 七時間半

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    いやぁ~面白かった!
    ぶらぶら本屋を行ったり来たり彷徨うこと3時間(笑)
    書店員さんの熱烈なオススメで手にしたのだけれど、
    コレは読んで良かったなぁ~。

    1960年に書かれたとは思えない、
    (昭和35年といえば、東京オリンピックが開催される4年前で、JRがまだ国鉄で、東海道新幹線もなく、ビートルズもストーンズもまだデビューする前ですぜ!)

    歯切れのいい、竹を割ったような文章と、
    (古さからくる読みにくさは僕は感じませんでした)

    ジェットコースターのように
    ハラハラドキドキを撒き散らしながら転がるストーリーとスピード感。
    乗務員や乗客たちの恋の鞘当てをコミカルに描いたガーリーなポップ感。

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    2018年01月30日
  • 娘と私

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    この父親、子供が小さいのに離れて暮らすと独身に戻ったように気楽になったり、生計が立たずまだ勉強したいと思ったり、30代はまだ子供だ、みたいに自分で言って、共感できるわー。子供が産まれたからって大人になるわけではない。育児ノイローゼの親は読んで気楽になってほしい。でも、再婚した妻と新婚旅行の夜に避妊薬わたすなんてがっかりさせてくれるわ。風俗にも悪びれず行くし、こんな家族の話の中で平気でこういう行動を書かれると、男ってほんと人間として生まれて偽善者として育つものなんだなと思う。
    それにしても、新しい妻との間に子供が生まれることと自分の前妻との子のことで勝手に葛藤して、どこまで自分の世界に生きてるの

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    2017年11月29日
  • てんやわんや

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    平松洋子によると、獅子文六 敗戦三部作の一つ。主人公 犬丸順吉が、戦後、流されるままに伊予 宇和島近くの相生町に居候して過ごす 1年間を描く。花兵は言うまでもなく、勘左衛門、越智、拙雲といった脇を固める登場人物が誰もかれも個性的で、土地の風俗や食べ物、言語とあいまって独自の小説世界を作り出している。もともと終戦直後の混乱期を描いた小説は好きなのだが、これはそれらの中でも秀逸な部類に入るだろう。獅子文六を平成の世に紹介した平松洋子自身による解説も良い。

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    2017年10月01日
  • 悦ちゃん

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    ネタバレ

    ※NHK土曜時代ドラマ「悦ちゃん 昭和駄目パパ恋物語」についてのレビュー。
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    さえない作詞家の中年男に突然訪れた、 人生最大の「モテ期」。
    ・・実はそれは、亡き妻の忘れ形見、10歳のおてんば娘が仕組んだことだった!

    ほのぼのコメディ・ドラマ。おてんばで父想いの悦ちゃんと、自由人で娘想いの碌さんの温かい親子の絆を描く。
    体たらくな碌さんのため、ママ探しに奔走する悦ちゃんが健気で可愛らしい。
    そんなある日知り合った心優しいデパガの鏡子さんは、やがて碌さんと相思相愛になり、悦ちゃんもすっかりお気に入

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    2017年09月24日
  • 胡椒息子

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    ネタバレ

    獅子文六さんはさあ、なぜこうも心を揺さぶる小説を書くのかなあ。胡椒息子こと昌二郎、大金持ちの次男だが彼の出生には秘密が。それが公になりこれでもかってほど兄姉母に疎まれる。血のつながった父は顧みてくれない。味方は幼い頃から世話してくれた婆やだけ。彼のまっすぐな性格も加わって、理不尽なことばかり襲いかかる。最終的には感化院へいくはめに。でも彼は人を憎まず、むしろ愛して。本当にいい子だ!健気すぎて。お民婆じゃなくてもほっておけないよ。どん底からのハッピーエンド、獅子さんの手法。心から笑顔になれるエンディング。

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    2017年07月10日
  • 悦ちゃん

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    最初から最後までずっと楽しかった〜。
    登場人物それぞれが人間臭くて、愛着が持てるキャラクターだった。
    おませな悦ちゃんに呑気なロクさん、美人で苦労人のお鏡さん。みーんな幸せになって欲しい!と願わずにはいられなかったな〜。

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    2017年05月15日
  • 青春怪談

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    獅子文六はやはり面白い。書かれたのが戦後10年に満たないにも関わらず、新作といってもおかしくないくらいのみずみずしさを感じる。ちくま文庫による復刊は本当にありがたい。

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    2017年05月14日
  • 青春怪談

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    モダンでロマンチックで、楽しかった〜。展開に飽きがこなくて、人間観察が鋭く、かつ、粋で、ワクワクさせられっぱなしだった。
    ほんとに50年以上も前の作品なのかと疑ってしまうくらい、現代社会に通じる部分や問題提起もあって、すごい、の一言。性に関する記述は特に、驚いたし、著者の人間に対する愛情を感じた。

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    2017年04月13日
  • 青春怪談

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    面白かった!60年以上前に書かれた小説なので、程よく現実と乖離していて、それでいてリアリティもあって…この時代の新聞小説、もっと読んでみたいな。

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    2017年02月12日
  • 七時間半

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    獅子文六は面白い。とても50年以上前に書かれたと思えない。プロットもよいが、特に人物造形が素晴らしいと思う。ステロタイプにも感じられるけれど、それは50年を経た今読むからだろう。若い男女のみずみずしさが秀逸だと思う。

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    2016年11月24日
  • 自由学校

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    数年前に御茶の水で湯島聖堂の崖を上から眺めて何かの縁を感じたのは、昔読んだこの「自由学校」の舞台だったからなんだ。66年前のやっと戦争から解放された日本が、まるで大病の快癒期のように前向きで約束された明るい未来に向かって誰もが進んで行く、そんな時代背景の中で、ぐうたら亭主としっかり女房が織りなすドタバタ劇。当時、同時に2社が映画化したほど売れた小説なんだって。映画も観てみたい!

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    2016年09月15日
  • 食味歳時記

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    ネタバレ 購入済み

    食文化の違い

    美食の国とされるおフランスに鍋料理がない。
    初めて聞きました、猫舌とは違う気がします。
    彼らは、食事の時に音を立てて食べることを非常に嫌う。
    これだと思います。彼ら視点だと、ふうふうやるのは品が悪いみたいですね、
    だからお行儀的にダメ。
    そこを猫舌と見た様子ですね。バーベキューはやるのにねえ。多分。
    あまり派手な音を立てて食べるのは我が国でもダメですけど、
    過度に嫌うことで鍋料理の美味しさも、麺料理の美味しさも味わえないとすると、
    彼らが少し哀れになってきました。
    麺類啜る文化が彼らの食生活を豊かにする一助となることを祈らずにいられません。
    カップ麺は、非常食扱いなのかしらん。
    連中でも楽しん

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    2025年09月16日
  • コーヒーと恋愛

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    60年前の日本で第一次コーヒーブームが起きた時代。
    現代のコーヒー好きな人たちと同じように熱を持った人たちがいたそうな。
    豆の種類と淹れ方や器具や水の違いや湿度気温、、
    更には考え事をしながら淹れると全く美味しくないなどと心理的な影響まで出てくる。

    主人公たちは恋愛や夫婦の間に生まれた亀裂をコーヒーと交えて精神的に翻弄していく生活劇。
    こんなにも好きな飲み物に惑わされていくなんて。
    「コーヒーをいれる方法が芸術だとするならば、飲む目的は宗教に近い。」
    こんなことまで言わせるなんて。
    コーヒー品評会に採点された豆がまさかのインスタントコーヒーであった!っていうの面白かったな。
    難しい顔して言い

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    2025年07月08日
  • 悦ちゃん

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    獅子文六の出世作。1936年7月から37年1月まで「報知新聞」に連載され、3月に単行本が刊行。すぐに映画化もされた。
    父子家庭、碌三郎と娘悦子。モデルは文六自身。再婚を考える碌三郎に2人の女性も登場する。さしずめ喜劇風のホームドラマといったところ。
    獅子文六は43歳になっていたが、彼の小説としては初期の作品。まだ粗削りで、どこかぎこちない。それに碌三郎は自分勝手で自己本位、魅力的には描かれていない。自分がモデルなので、魅力的には描けなかったのかもしれない。もちろん、その欠点を補うがごとく、悦ちゃんの才気煥発ぶりが強調されているのだが。

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    2025年06月20日
  • コーヒーと恋愛

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    どこで紹介されていたかも忘れてしまったほど、ずっとブックマークされていたこの本がようやく読めました!!

    2013年にちくま文庫から発売しているけれど、1960年代の著者晩年の作品。タイトルも連載当時は「可否道」だったとか。コーヒーの当て字も新鮮。

    古い作品なので、時代もあわせてなんだかとてもおしゃれで新しい。
    脇役女優のモエ子も魅力的で、昔のホームドラマが浮かんでくるよう。

    昔の文豪作品だけでなく、昔の良き小説にまた出会いたい。

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    2025年05月22日
  • コーヒーと恋愛

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     200ページ(中盤)あたりから、かなり面白くなってきて、もう次の展開が気になって気になって。自分もコーヒーを淹れる仕事をしているから、そして歳も近いことから、モエ子から特に目が離せなくなった。
     というか、私が淹れたコーヒーは、旦那さんはおいしいと言ってくれるけど、実際、お客さんにはどう思われているのかな?とか(ごく稀に褒めてもらうこともあるが)、そう言う、自分の生活から見た点でもこの本は、充分に楽しめた。 最後のサッパリした展開も私は好き。
     

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    2025年05月01日
  • 箱根山

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    ネタバレ

    箱根旅行を機に。
    私は小田急、登山電車、ケーブルカー、ロープウェイ、海賊船と、定番ルートで旅行した。箱根とはこんなにも交通機関が発達したところなのかと感激し、Wikipediaで小田急を調べた。そこで箱根山戦争のことを知り、この本に辿り着いた。

    昭和中期の旅館のあり方が伝わってき、よかった。湯治とは何か、ホテルとの違いなど…。乙夫と明日子の関係が濃くなるにつれて物語は加速する。これからというところで物語が終わるのは名残惜しい。

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    2025年04月25日
  • コーヒーと恋愛

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    なかなかおもしろかった☆なーんの事件も起こらないホームドラマを見ているようなお話。主役のモエ子は年増のワキ役専門女優で、なぜか彼女がコーヒーを淹れるとめちゃくちゃ美味いってことからお話は始まる。8歳年下の内縁関係の夫は能書きばかりで働かないし、新人女優は生意気だし、もう周りがワチャワチャしてて楽しい☆最後はブチギレて旅立つモエ子さんにちょっとスッキリ!やっぱり大好きな作者さんだなぁ。

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    2025年04月15日