獅子文六のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレどういうわけか私、獅子文六って関西の作家だと思っていました。
だからお母さんがいなくてお父さんとふたり暮らしの小学生の女の子・悦ちゃんって、じゃりン子チエのイメージだったんですよ。
悦ちゃんは東京生まれの東京育ち。
中野に住んでいますが、ショッピングに行くのは銀座のデパート。
あ、これ昭和11年に発表された作品なんです。
お父さんは歌謡曲の作詞者。
ただしあんまり売れてはいない。
なのにそろそろ再婚しよっかなあ、なんて思って、金持ちと結婚した姉を頼る。
万事に頼りなく、人任せなのである。
で、大銀行の一門の出で、学があって、美人のお嬢さんに惚れられて、さくさく婚約となる。
いや、悦ちゃん -
Posted by ブクログ
「ずっと避けてきてごめんなさい」と、獅子文六先生に謝りたいです。
獅子文六の作品は長いあいだ絶版となっていましたが、近年再評価の流れで一気にその名を知られるようになりました。ちくま文庫のポップな装丁も手伝ってか特に若い層に評判は広がり、一時期ヴィレヴァンの文庫本コーナーで頻繁に見かけたことを覚えています。
ミーハーなのに通ぶりたい人間の典型であった若い頃の私は、このポップかつサブカル受けしていたであろう獅子文六作品を、無視できないくせに避けていました。しかも目に飛び込んできたタイトルが「コーヒーと恋愛」。このタイトルだけでウヒーとむず痒かったのです(正直今でもむず痒さはゼロではないです)。 -
Posted by ブクログ
ネタバレううむ、、、うむ。こりゃビビった。凄いです。こりゃ凄い。面白いです。というか、面白すぎる。いやもう、驚いた。感服です。脱帽です。
獅子文六、という作家さんは、全然知らない人だったんですよ。いやもう、全然知らない人でした。で、友人から「獅子文六、オモロイでっせ」って紹介してもらいましてね。ふーむ、そんなら読んでみましょうかね?って、あんまり肩ひじ張らずにこう、何気なくこの本を手に取って読んでみましたら。
いやもう凄い。めちゃくちゃオモロイやんか。驚き桃の木山椒の木、とはこの事です。獅子文六の存在を教えてくれた友人にマジ感謝。いやもう、素晴らしい小説との出会いは、何処に転がってるのか分からねえ -
Posted by ブクログ
とても良かった。
辛い日々に、背中を押してくれた感謝の一冊。
獅子文六を初めて読みましたが、この本は女性がテーマになっていて、若い女性は強く、そしてお婆ちゃんは非常に乙女で可愛い。
女中は志願するものであるのかな?
今や、妻や娘を女中扱いする馬鹿旦那が山程増加する世の中、まあ読んでくれと言っても読まないか。
女中とは何者か?
自分を磨く為のご奉公であり、また他者とのコミュニケーションを楽しむお仕事である。
この本に出てくる男性は、非常にボケ倒していて、どうもユーモアを漢字にすると幽黙らしいが、黙っていられる訳もなく、笑いっぱなしで、非常にリラックスが出来た読書になった。
積んであるモダンボーイ -
Posted by ブクログ
GWを利用してやっと読み切れた!
獅子文六にハマって約2年。ちくま文庫で近年復刊された作品を読み漁り、評伝や企画展などで彼の生涯を知ったうえで、今だ、と思って読み始めた私小説「娘と私」。
タイトル通り、娘とのエピソードが中心なのかなと思ったら、2番目の妻を迎え3人家族となった文六一家と、戦中〜戦後の自身の苦悩について詳しく記されていた。
あまりにも正直な感情を書きすぎていて、千鶴子さんに少し同情してしまう箇所もあったけれど、読み終えると、また違った感慨が湧いてくる。
カラッと明るくモダンな作品で世間を楽しませた流行作家が、私生活でこんなに苦悩し奮闘していたことに驚き。
牧村さんの解説 -
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近年再評価される獅子文六。故郷横浜を舞台に戦後の復興期、混血児の孤児院を舞台に繰り広げられるドタバタ劇。
巻末の筆者自らの解説も含め横浜愛に溢れた作品。関東大震災と529横浜大空襲。東京よりも洒落た町だった時代もあったという横浜だが東京に差をつけられる。
戦後の占領期。米軍兵士と娼婦。残された混血児たち。大磯に実在したという孤児院エリザベスサンダースホームを舞台にした作品。
本作をきっかけに横浜駅の駅弁の売り子「シュウマイ娘」が有名に。売上を大きく伸ばし横浜名物なったのがあの崎陽軒だとか。
本作は昭和27年の新聞小説。孤児院に育った混血児たちはどのような大人になったのだろうか。 -
Posted by ブクログ
昭和がレトロになって久しい。
そんな話題にうってつけのエンターテインメントだ。
昭和を知っている人も知らない人もすごく楽しめる小説、わたしの今年一番のお薦め。
あの頃は、とにかく希望がいっぱいあった。
(今の北京みたいに、いや、昔のロンドンみたいに)東京が煤煙で汚れていても、明るかった、活気があった。
そんな東京の避暑地、温泉地箱根に勃発した観光道路開発戦争。
それに加えて地元旅館の争い、お家騒動。
「箱根の山は天下の嶮じゃなくて、ケンカのケンだぜ」登場人物の独白。
自然のきれいな空気も硫黄でなくても濁りそうで、息苦しいような。
だけども他人の喧嘩はやじ馬にとって実に面白い。
そ