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東京―大阪間が七時間半かかっていた頃、特急列車「ちどり」を舞台にしたドタバタ劇。給仕係の藤倉サヨ子と食堂車コックの矢板喜一の恋のゆくえ、それに横槍を入れる美人乗務員、今出川有女子と彼女を射止めようと奔走する大阪商人、岸和田社長や大学院生の甲賀恭男とその母親。さらには総理大臣を乗せたこの列車に爆弾が仕掛けられているという噂まで駆け巡る!
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Posted by ブクログ
いやぁ~面白かった! ぶらぶら本屋を行ったり来たり彷徨うこと3時間(笑) 書店員さんの熱烈なオススメで手にしたのだけれど、 コレは読んで良かったなぁ~。 1960年に書かれたとは思えない、 (昭和35年といえば、東京オリンピックが開催される4年前で、JRがまだ国鉄で、東海道新幹線もなく、ビートルズ...続きを読むもストーンズもまだデビューする前ですぜ!) 歯切れのいい、竹を割ったような文章と、 (古さからくる読みにくさは僕は感じませんでした) ジェットコースターのように ハラハラドキドキを撒き散らしながら転がるストーリーとスピード感。 乗務員や乗客たちの恋の鞘当てをコミカルに描いたガーリーなポップ感。 昭和のホームコメディドラマを彷彿とさせる安心感。 しかも獅子文六は 当時70歳に近い年齢でこの作品を書いたっていうんだから、驚きです!(笑) ちくま文庫の帯には、 『今まで文庫にならなかったのが奇跡、こんなに面白い小説がまだあるんだ!』 っとありますが、 この売り文句がまんざら大袈裟じゃないくらい、 ページをめくる手が止められなかったし、 近年再評価著しい伝説の女流作家、尾崎翠が この作品の著者である獅子文六を好んで愛読していたことを知り、 余計にこの作品にのめり込んだのでした(笑) 舞台は品川~大阪間を7時間半で結ぶ豪華特急『ちどり』。 働き者のウェイトレスとコックの恋、 それをなんとか阻止しようと企む美人乗務員、 そしてその美人乗務員を今日こそ射止めようと列車に乗り込んだ 大阪のコテコテの商売人社長と大学院生とその母親。 さらには総理大臣を乗せたこの列車に あろうことか爆弾が仕掛けられているという噂が駆け巡り、 車内はパニックに…。 登場人物たちの恋のゆくえはどうなるのか? 走る列車内での爆弾事件の結末は? たくさんの乗務員と乗客たちの人生模様を同時進行で描いた ロードムービー風エンターテイメント群像ラブコメです(笑) (なんのこっちゃ) 登場人物は、 往年の女優、田中絹代に似た、 給仕係リーダーの23歳、藤倉サヨ子。 仕事熱心で誠実、一本気で喧嘩も強いが 唯一ドモリの欠点がある、 食堂車コック助手の矢板喜一。 華族出身でフランスの女優ブリジッド・バルドーに似た 美人乗務員で『ミス・ちどり』の22歳、 今出川有女子(いまでがわ・うめこ)。 浪速の商人でハゲ頭の 『ブリンナーさん』こと、岸和田社長。 東大の大学院に籍を置く27歳の気弱な学生、甲賀恭雄と 藤倉サヨ子の働きっぷりに惚れこみ、 恭雄との縁談を画策する恭雄の母、甲賀げん。 そして岸和田社長に近づく、謎の美女と、 食堂車に陣取り、不穏なひとりごとを漏らす謎の酔っぱらい男。 (他にメインキャラではないけど、矢板喜一の上司で兄貴分のチーフ・コック・渡瀬さんの男気に僕はシビれたし、いちばんのお気にいりキャラでした) この一癖も二癖もあるメインメンバーが、 入り乱れ、画策し合いながら 果たして列車が大阪に着くまでの7時間半の間に それぞれの恋は成就するのか?というのがひとつの見どころです。 (この設定だけでもワクワクするでしょ笑) そして、もう1つの見どころ(読みどころか笑)は、 列車という特殊な環境で働く人たちの裏側が覗ける点。 ウェイトレスや売子さんや GI帽にスチュワーデス風のセクシーな衣装に身を包んだ『ちどり・ガール』と呼ばれる美人乗務員や 食堂車に勤務するコックさんや車掌まで、 さまざまな仕事をこなすスペシャリストたちの仕事っぷりや苦労、 職員にしか分からない裏側がリアルに描かれているので、 NHKの潜入ドキュメント番組を観てる感覚で楽しめます。 そしてなんと言っても、 物語の舞台を、 走る列車内に限定し、 7時間半の間に爆弾事件を解決し、 恋の結論を出さなきゃいけないという設定が コミカルな物語に程よい緊迫感を生み、 手に汗握らざるを得ない、 実にいい効果をもたらしています。 列車や飛行機という乗り物は、 何があっても車と違って好きなところで降りるわけにはいかないし、 スピードを出して走るので、 速い乗り物に乗るときの『潜在的不安』っていうのが 必ずあるんですよね。 終盤、列車内に爆弾が仕掛けられているという噂が駆け巡り、 自分がもしや死ぬかもしれないという危機感から、 登場人物たちの心に さまざまな変化が訪れるのも面白いし、よく練られています。 死を覚悟した若きウェイトレスたちが、 列車に電話が装備されてないことを呪う場面は さすがに時代を感じさせて、 今がいかに便利かをあらためて、考えさせられました。 (けれど、携帯電話やテレビやネットがないからこそ、楽しい時代でもあったんですよね。旅を楽しむ乗客たちの会話にもそれが窺えます) 便利は想像力も、 創造力さえも奪っていくのかな~なんて しみじみ考えたりなんかして。 何もない時代に、 これだけ面白い小説が存在してたことに驚きを禁じ得ないし。 恩田陸の群像コメディの傑作『ドミノ』や、 (実は恩田さん、かなり影響受けてるかも笑) キアヌ・リーブスを一躍スターに押し上げた映画『スピード』が好きな人、 旅行や鉄道好きの人、 ハラハラドキドキに飢えてる人(笑)、 にやりと笑えて面白い小説をお探しのあなたに オススメします。
1960年1月~9月、「週刊新潮」に連載され、10月に単行本化。翌年4月には、「特急にっぽん」として映画化された。このテンポの速さは、小説中のテンポそのままだ。 東京‐大阪間を特急で7時間半。その車中で展開されるドタバタ劇&ラブコメディ。さほどの緊張があるわけでもなく、安心して楽しみながら読み進めら...続きを読むれる。とはいえ、いま読む理由は、昭和30年代初頭の雰囲気を味わいたいからだが。 導入部がいかにも獅子文六らしい。午前8時45分、空は晴れている。高輪の泉岳寺に近い電車道(都電が走っていたのだ)を、妙齢の女性7人の集団が大阪弁でしゃべくりながら、職場に向かう。「全国食堂品川営業所」の看板を通り過ぎた瞬間、彼女たちの大阪弁は標準語に切り替わる。映像的・音響的な描写がすでに映画的だ。 小説のなかの特急列車名は「ちどり」(「つばめ」がモデル)。電車ではなく、まだ電気機関車の時代だった。メインの舞台は食堂車。この走るレストランもいつのまにか姿を消してしまった。
この時代の交通事情があってこそのドタバタコメディー、とても楽しく読ませていただきむした。 獅子文六さん、他にも読んでみたいと思います!
これは好きだー。たしかこれも山内マリコの本で紹介されていて、初の獅子文六チャレンジだったと思う。この本を皮切りにどハマり…笑 女の子たちの葛藤、一度決心したつもりで何度でも迷う様子など、きめ細やかに描かれている…
実に面白かった! 1960年の昭和文学であるが、登場人物のユニークさ、キャラの濃さ、彼らに起こるどたばた騒ぎと恋愛悲喜劇、登場人物の思い、悩みは現代においても輝きを失うものではない。緻密な描写で、トコトコ走る特急列車の車内、仕事、人々の活動の様子がありありと伝わってくる、実に読んでいて楽しい小説でし...続きを読むた。
獅子文六は面白い。とても50年以上前に書かれたと思えない。プロットもよいが、特に人物造形が素晴らしいと思う。ステロタイプにも感じられるけれど、それは50年を経た今読むからだろう。若い男女のみずみずしさが秀逸だと思う。
昭和35年に週刊新潮に連載していた。 東京ー大阪間を7時間半かけて行く特急「ちどり」車内でのドタバタ劇。 テンポが良く登場人物もそれぞれ際立っていて良かった。
新幹線が運用される前は東京↔大阪間にかかった時間が書名。伊豆に行くときに東海道線の車内で読む本を何にしようかな、と考えて頭に浮かんだ本。1960年代の特急列車の1等車内の販売員や、接客員の女性は、当時の花形職業で、イメージ的には90年代のファーストクラスのスチュワーデスみたいな感じだった。嫁にする...続きを読むなら、特急「ちどり」の乗務員女性、ということで、終始お嫁さん探しのドタバタ群像劇の小説。フランキー堺主演で映画化されたこともあるみたいだ。面白い。だけど、やっぱり今の時代には合わないかなぁ。尻切れトンボみたいに終わるんだよね。
東海道新幹線開業前の東海道線優等列車の様子が詳しく描かれ、登場人物も個々に魅力的で、とても面白く読めた。
12両編成、食堂車は8号車 11時35分、回送機関車が連結された。機関車がついたとなるととたんに列車がシャンと、生きてきた。機関車なしの列車なんて家屋に過ぎない。準備中の食堂車の風景がうまく描かれている。ステーキの固い肉をどう美味にするかの工夫も参考になる。昭和の素晴らしい時代だ。 11時55分、東...続きを読む京駅15番線入線 本文:上りちどり 午後1時16分頃大津駅から東より、琵琶湖と反対側の線路沿い、緑の家 実際:上りはと 午後0時51分45秒、大阪府三島郡島本町、日紡(現ユニチカ)青葉荘、汽笛はすぐ背後に位置する天王山にこだまする。 名古屋で給水。夕食は予約制、3回転する。 食堂車の実情がよく分かった。かなり丁寧に取材したのではと思われる。昭和の鉄道が輝いていた時代の物語、ある意味、羨ましい。 箱根山も読んでみたいと思う。
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七時間半
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獅子文六
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