獅子文六のレビュー一覧
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昭和の時代。を彷彿とさせる小説❢
ホームドラマを見終わったような
感覚になり、昭和の時代って
人と人がこんなにも近いんだなと
思わされた。
コーヒーを淹れる腕前がぴか一の
モエ子と、彼女の淹れたコーヒーを
飲んで、まずい❢と言い放ち
アンナの下へ生活革命という
言葉を持ち出して、家を出ていった
勉君……
そして、2人は離婚することになり
モエ子は、仕事も減っていき…
そんな時、コーヒー愛好家の
菅と会う運びとなり…、が
結婚を急いでいるフシのあるモエ子と
持って回った言い回しで、その意思が
見て取れない菅にやきもき、していると
かつて自分の下から去っていった
勉くんが、 -
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次回の読書会課題図書。
「獅子文六」の名を読書会で聞くようになってから気にはなっていたけど手に取ったことはなかった。
昭和初期の文豪と言えばいろんな名前が浮かぶが、40を越えてから初めて知った作家さん。聞くところによると、軽い文体で読みやすいらしい。
…の、わりに分厚くない?
以前、本屋さんで「娘とわたし」を見かけたんだが、分厚かったので買わなかったんだよな。
今回は課題図書なので、否応なく獅子文六デビューしてみた。
舞台は1930年代後半の東京。
主人公の悦ちゃんは、2年前にママを病気で亡くした10歳の女の子。天真爛漫で少しおマセな彼女は、歌謡曲の作詞で生計を立てるパパ、碌さんと -
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獅子文六初の1936年から連載された新聞小説。当時ののんびりした世相を表しているのか、文体が現在と違う趣がありました。
妻に先立たれた33才の売れない作詞家碌さんが少し駒茶くれた10才の一人娘悦ちゃんが後妻候補を巡っててんやわんやのお話し。
才気溢れる悦ちゃんを嫌う美人の薫嬢、悦ちゃんがお母さんになってと願う慎ましくも美しいデパートガールの鏡子さん。
そこに持参金5万円と薫嬢の美しさに夢中になった碌さん。
結末はハピーエンドのお後よろしいお話しでした。また、最後に悦ちゃんが継母をママとハハが一緒になったのだから、一番いい
お母さんとまるで落語の落ちのようなエンディングに当時の新聞の読者も満足し -
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ずっと昔に一冊読んだきりの獅子文六。
電車コメディは昔から好きなジャンルなので手にとってみた。
まずはタイトルから鮮烈。
1960年には東京ー大阪が7時間半もかかったのか。
新幹線の出現前、ちどりという名の特急列車の物語。
このころ、既に、ちどりより速いものが出始めたが、それでも7時間くらいはかかるみたい。
表紙をみた子供から、「名作くんだ!」と言われたけど本それ(笑)。
和む表紙で楽しい一冊に仕上がっている。
ちなみに、作者は『はなかっぱ』の《獅子じゅうろく》博士の元ネタだと教えといた。
ちどりが出発するまでの登場人物紹介や列車のトリビア、準備シーンが長くて少しダレた印象はあるが、わかり -
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昭和の、テレビが家庭に普及し国民がテレビドラマを最大の娯楽としていた時代のお話。
書かれたのも1960年代と60年近くも前で、読み始めは時代の背景や話し方などが読みにくかったけど、慣れてくるとスーッとストーリーに入り込めて楽しめた。
特に何か劇的なことが起きるわけでもないけど、脇役女優のモエ子さんの日常が癖になる面白さ。
そして、違和感に感じた昔風の話し言葉や考え方も一周回ってオシャレでハイソに感じる。ただ43歳のモエ子さんが自分の事を「おばあさん」というのはショックを受けた。
ラストのモエ子女史、かっこよかった。今も昔も女性の方が潔い。 -
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ネタバレ★3.4(おもしろかったけれど4はいかないかな)
■モエ子女子の喜怒哀楽が一番おもしろかった。ちょっとしたことで喜んだり怒ったり悲しんだり楽しんだりと感情表現が豊か。それを表すセリフ回しは今とは言葉遣いが違うので新鮮。昭和37~38年の新聞連載ってことは当時の少なくとも東京ではこういう言葉遣いがされていたのだろうか?
■どういうふうに着地するのか? なんやかんやあっても最後は元の鞘に収まるのでは? と思ってただけに、(タイトルである)コーヒーも恋愛もうっちゃって、自分の夢だった洋行を(スポンサーの力ではなく)自分の力で実現するという潔いラストにはやられた! という感じ。タイトルからするとふ