獅子文六のレビュー一覧

  • コーヒーと恋愛

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    初獅子文六。最近なぜか古本で見かけるので。
    女優モエ子の、コーヒーと8歳下の勉ちゃんとテレビをめぐるドタバタコメディ小説。アンナのはすっぱな調子、可否会のしょうもないコーヒー談義、名脇役女優モエ子のあれやこれや、読んでいてまざまざと目に浮かんでくるようで面白く、軽くすらすらと読める。男と女の感じは昔の時代を思わせるものはあるけど、それでも新時代の鮮やかさ。
    最後の見送りシーンは、本当にこのままドラマにできると思う。

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    2021年05月04日
  • コーヒーと恋愛

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    昭和の匂いを感じる、軽やかな恋愛コメディ。不思議とコーヒーの香りが漂ってくる文章。美味しいコーヒー飲みたいな~!

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    2021年03月20日
  • ロボッチイヌ ──獅子文六短篇集 モダンボーイ篇

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    ネタバレ

    男性キャラに焦点を当てた短編集、というところでしょうか?

    前半は、ほぼ間違いなく小説、って感じですが、後半に行くにつれて、徐々にエッセイみたいなのが増えていくような印象でした。ま、エッセイ、ではなく、エッセイ風小説、なんだろうなあ、おそらく、とか思いつつ読んでおりました。

    感想としては、うーむ。獅子文六さんの作品は、どっちかゆうたら、短編より長編のほうが好きかなあ?と思ったイメージが強いですね。楽しかった、のですが、色んな長編を読んだ時の感動ほどは、あまりグッと来なかったなあ、というイメージでしょうか。

    ただ、この短編集のタイトルにもなっている「ロボッチイヌ」は、バリ秀逸だな!って思いま

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    2021年03月07日
  • やっさもっさ

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    シウマイ弁当のカバーがかかっていてジャケ買いした一冊。
    古き良き“横濱”がそこにあって、物語から異国情緒を感じることができた。

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    2020年08月30日
  • 七時間半

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    新幹線開業前で、おそらく東京ー大阪の出張が止まりが常識だったころののんびりした移動の七時間半で起こる恋愛喜劇。小説がメディアだった最後の頃、時代を鮮やかに切り取る著者の技が生きた作品だ。

    もっとも、「東海道線も、昔は、品川駅を出れば、車窓の眺めも、旅情を感じさせたが、今では横浜を過ぎても、藤沢へ行っても、まだ、都市の気分である。まず、平塚を後にして、やっと、海や山のたたずまいに、旅に出た眺めを、感じる」のは、今も変わらない。


    「一人前になったコックは、誰も、年月をかけて、師匠からコツを盗んだ連中である。この封建制のために、コックも、日本料理人も、一人前になるには、長い時間を要する」のも相

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    2020年08月13日
  • 箱根山

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    とにかく箱根箱根箱根箱根…箱根の郷土史を読んでいるようでした。最初の、箱根を舞台にした2つの会社の騒動はその後のストーリーにはあまり関係なかったのでは⁇とはいえ、とにかく獅子文六さんが描く登場人物は色あせないんですよねぇ、イキイキしてます☆どっぷり箱根のお湯に…ではなくキャラに浸かりました☆

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    2020年07月06日
  • ロボッチイヌ ──獅子文六短篇集 モダンボーイ篇

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    私小説を匂わせる「因果応報」がとりわけ気に入りました。他作品は毒気が強すぎて後味の悪さだけが残りました。読めない漢字を調べるのは楽しかったのですがね。読む人を選ぶ本なので「ライスカレー」を読んでから判断してみてください。

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    2020年04月05日
  • バナナ

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    昭和30年代の日本を舞台に台湾出身の父、日本人の母、その2人の息子の、いわゆるホームドラマ的なお話。最初は中国台湾の当時の実情やその他の説明が多くてちょっと読みづらいところもありましたが…母がシャンソンにハマって若いツバメによろめきそうな辺りからおもしろくなってきました!息子の恋愛事情や、悪役の暗躍、当時の世相も色あせなくて、やっぱり獅子文六さんはおもしろいです☆ビバ昭和☆

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    2020年01月30日
  • バナナ

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    あとがきで著者は登場人物が話す中国語について触れている。締めくくりの一文が↓

    台湾の人や、中国語をよく知っている人には、滑稽であろうが、私には、北京語も、広東語も、台湾語も、問題ではなく、ワンタン、シューマイ的中国語で、事足りているのである。

    獅子文六、何気ないあとがきのこんな一文でさえ好きだなー、と思った。

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    2019年09月19日
  • 胡椒息子

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    積ん読だったのをやっと読む。
    獅子文六を読んだのははじめて。久生十蘭などと同時代の作家なんだな。名前しか知らなかったけど、明るくて読みやすくて、シニカルなユーモアがあって良い作品だった。
    昭和初期の文章が面白くて好きだ。

    ストーリーは単純明快。
    お民婆やとの関係に泣けた。坊ちゃんとキヨみたい。


    息子を愛せない(義理の)母親、という作中の話にガンガン反応してしまった。余談。。。

    感化院に行くまでが長い。もうちょっとスピーディな展開にしてもいいかも。

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    2019年06月24日
  • 胡椒息子

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    他の獅子文六作品ほどは楽しめず。あまり風刺が効いているとも思えず、登場人物達も半端な感じ。悪戯者の弟に手を焼いて疎ましく思うのは分かるにしても、兄姉はただの意地悪な性格の悪い人間にしか見えず、母親も妾腹の子供を育ててきたのは立派だけど愛情があるという訳でもなく、父親は子供に対する愛情はあるようだけど、そもそもが自分の行いに端を発しているのに真摯に省みる様子もない。その辺は戦前の家父長制や社会意識などによるものなのだろうか。彼らの顛末もうやむやな感じ。主人公と婆やの絆をこそ単純に楽しむべきか。

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    2018年12月02日
  • 自由学校

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    開巻早々、暢気者にして怠け者の夫・五百助に堪忍袋の緒が切れた妻・駒子さんは亭主を叩き出す。
    昭和25年、敗戦により戦前の価値観は暴落し、台頭する自由の風潮の下、駒子さんはあんな役立たずの夫に縛られることはないんじゃないかと、夫なき身辺に現れる男性に改めて目を向けてみたり、追い出された五百助は日頃の妻の一々を煩く思っていたところ、これ幸いと独り身の自由を謳歌して放浪してみたりする。二人それぞれに我が身の自由に思いを巡らせ、彷徨する訳なのだが…。
    皮肉と親しみを絶妙な塩梅で効かせて登場人物を描く筆致は流石という感じ。
    右往左往の結果さてどうなったかというと、何かを学んだようで人の心なんてままならな

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    2018年11月18日
  • ロボッチイヌ ──獅子文六短篇集 モダンボーイ篇

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    文筆家・千野帽子氏が編者の短編集。表題作は眉を顰める向きもあるかも知れないけど、ナンセンスコメディとして面白い。現代の日本だとあながちジョークになってないかも(オリエント工業とか←小声)。ブラックユーモアや諷刺作品、或いは病床エッセイかと思って読み進めると怪しい展開に向かう「文六神曲編」、過去の作品の作中人物が電話をかけてくるメタフィクション風な「南の男」とか意外なバラエティー性は感じるけれど、「文庫で復刊されている文六作品はウィットと諷刺に富んだコメディ調が主流ですが、ちょっとテイストの違う作品をご賞味ください」って感じの、編者の気取った意図が何となしに透けて見えるのがマイナス。

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    2018年11月14日
  • 自由学校

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    ウイットに富んでいて軽い文章は読みやすいけど、夫婦間のやり取りはくすぐってはくれるが、もう新しいとは言えないかも。この夫婦喧嘩は現代ならモラルハラスメント問題に発展だ。

    自由になりたいとて仕事を辞めてしまったぐうたら夫を、あの当時(戦後5年1950年ころ)妻が夫に「出ていけ!」っていうのが新しかったので。

    むしろあの頃の風景や風俗情景を知るにはよい。わたしは小学3,4年ころだったから社会や周りのことはわかっていない。「戦後ってこんなふうだったのね」という感じで読んだが、それが興味深くなおかつおもしろかった。

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    2018年10月26日
  • バナナ

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    ネタバレ

    なんてオシャレなんだろう。第一印象はそれだった。
     文体というか、当時の言葉づかいというか、粋でもなくモダンというわけではないが、なにやら遠い記憶の、さらに向うのほう、幼いころの憧れていた雰囲気がそこにある。当時の世相、庶民の生活が垣間見れて面白い。

     物語の舞台は昭和30年代。昭和が元気で賑やかだった頃。
     台湾華僑の家族を中心に、バナナの輸入とシャンソンの話題を軸に、お茶の間ドラマ的なドタバタ喜劇がテンポよく繰り広げられる。お話として罪もなく、大事件もなにも起こらないが、遠く過ぎ去った50年前の庶民の暮しが目の前に甦る感覚が心地よい。言葉づかいや、ファッション、世相なんてものも、資料で見

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    2019年09月19日
  • 箱根山

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    1950年代から60年代にかけて
    神奈川県の箱根山周辺をめぐる観光開発競争が
    西武、小田急、藤田観光の3グループ間で行われていた
    かつては互いの縄張りを侵さないように共存していたものだが
    戦後、GHQの方針による自由経済の強化で
    独占禁止の風潮が出てきたことをきっかけに、戦いの幕が開いたのだった
    当初、作家の獅子文六は
    「箱根山戦争」と呼ばれたそれをモデルに
    企業小説のようなものを書こうとしていたらしいのだが
    連載中、関係各所から不穏な空気が漂ってきたために(ホンマか)
    急遽、路線変更して
    大人たちの争いに巻き込まれながらも自分らしさを見失わない
    若者たちのエバーグリーンな物語としたのだった

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    2018年02月27日
  • 七時間半

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    ネタバレ

    ホテルのシェフを夢見る食堂車助手の青年の細やかな心の動き(特に、ホテルの皿洗いから始めるのは無理と気づくあたり) 、通称BB、有女子のギャグにしか見えないキャラ、絵にかいたような個性キャラの指輪のマダムが最高。ちどりが廃車になるとわかり、死ぬとわかった病人が不摂生するような暴れぶり、「薄毛の男は案外胸毛派よ、なにも知らないのね」とかどこまで礼儀正しいのか下品なのかわからない。最後、どうなるのか楽しみに読み進めたが、スリが捕まる以外は何も解決していないのだが?!

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    2017年12月01日
  • 七時間半

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    サヨ子と喜いやん、有女子の恋の行方から、列車内での不穏な噂まで盛りだくさんに凝縮されていて、読み終わるとあっという間という感じ。(まに列車みたい!)
    列車内の人々をとりまく出来事が次から次へと展開される。長い時間が過ぎているように思ってしまうけど、全て7時間半の乗車時間内に起こっているなんて。
    駅弁片手に、鈍行列車でふらっと旅してみたくなりました(笑)

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    2017年05月13日
  • 七時間半

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    品川を出て大阪に到着するまでの『七時間半』。この小説の舞台、特急ちどりで働く人たちと乗客たちがその『七時間半』に繰り広げる物語。1960年の1月〜9月まで週刊新潮に掲載されたという獅子文六の大衆小説。ラブありサスペンスありのコメディーです。舞台を現代に移したらタイトルは『三時間半』とかで乗り物は特急から新幹線に代わるのかな〜。

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    2016年11月13日
  • 自由学校

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    ざあます、と言う言葉だけが時代と異なるにせよ
    この本はまったく先進的で、大したものだと思うのだ。
    主人公ほか殿登場人物にも愛着はもてないのだが、確かに面白かった。
    獅子文六、昔々に読んだ悦ちゃんや娘と私も再読したほうが良い気がしてきた。

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    2016年10月12日