獅子文六のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「この作品で、私は、わが身辺に起きた事実を、そのままに書いた」とあり、今まで読んだ獅子文六作品よりも抑制した文章で綴られている。
題名から想像していた“娘と自分”とのこと以上に、“再婚の妻と自分”とのことに比重が置かれていて、それに関して「自跋」で明かされているし、本書の献辞もその亡妻に贈られている。
作者は出来るだけ包み隠さず、率直にその時々の心情を振り返って語ろうと努めたのだと思う。「私という人間は、子供だとか、妻だとかのために、犠牲となることを、喜びとするような風に、できあがっていない」と記す、個人主義で我儘でへそ曲がりの作家の、時に妻や娘がいなかったらと我が不自由を嘆き、時に愛情や思慕 -
Posted by ブクログ
ネタバレ初めての獅子文六。知り合いが絶賛していたので読んでみることにしました。
時代は私が物ごころ着き始めた頃の昭和35年。そのせいで「こんなだったよな~」と{そうだったのかしらん」が入り混じります。
冒頭は箱根開発をめぐる西郊(西武)と関急(東急)の2大勢力の争いでスタートします。箱根山戦争という名前が付けられたくらい有名な事件のようですが、私は初めて知りました。まあ、時代もですし、地方生活者にとって箱根そのものに馴染みが無いのです。地名なども判りやすく置き換えられている様ですが、そもそも土地鑑が無いのでついて行けない。という訳で、少々辟易しながら読み進めます。
途中から話は芦ノ湯(文中では足刈 -
Posted by ブクログ
映画になりそうと思ったら、ずいぶん昔にもう映画になってるんですね。
自分が人にどう思われるかということを気にする人がどこにも出てこない。
みんな自分のしていることにちゃんと責任を持ってそれに対してクヨクヨしたり、どうせ自分なんかって言って最初から自分を守ったりしない。
それはこの時代だからなのか、獅子文六だからなのか。
まっすぐで清々しくて、心のひだに隠れた気持ちを書くときだって、獅子文六の手にかかると、ああ、ことはこんなにシンプルなんだなぁと思えてくる。
色々思ったり考えたり、もっと自分に責任と自信を持って自由にやっていい。
そう言われてるみたいだなぁと思った。 -
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「てんやわんや」。獅子文六さん。1948~1949に連載された小説だそうです。
原爆、終戦が1945年夏。憲法施行が1947年。
獅子文六さん、というのは、徐々に再評価されている人だと思います。
いわゆる、流行作家だったひと。
その当時から、言ってみれば「軽い」のが持ち味で、決して純文学でも重いテーマでもなかった。
この「てんやわんや」も軽いんです。
そして、連載物っぽい。つまり、ラストを考えずに適当に書いているんだろうなあ、という。
主人公の犬丸順吉さん、というのが、まあ恐らく30凸凹のサラリーマン。
上役社長の言いなりになってきて、終戦を迎え。
ホッと一息と思ったら、社長が戦犯にな -
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ずっと読みそびれていた獅子文六さんをようやく読むことができました。
噂通り面白かったです。
主人公の性格がそのまま作品のテンポになっている感じで、この主人公の考えや行動がいちいち面白いのです。クスッとするような面白味というか、「こういう人っているよなぁ、分かる分かる!」という面白味があります。
THE娯楽という感じで本当に楽しく読めました。
主人公とその周りのキャラの濃い人々、舞台が愛媛というとちょっと『坊ちゃん』を思い出します。わざと『坊ちゃん』を思い出させるように書いたのではないかと思いました。『坊ちゃん』のコメディ。真っ直ぐでやんちゃな坊ちゃんに対し、こわがりで逃げ腰で長いものに巻かれ