獅子文六のレビュー一覧
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12両編成、食堂車は8号車
11時35分、回送機関車が連結された。機関車がついたとなるととたんに列車がシャンと、生きてきた。機関車なしの列車なんて家屋に過ぎない。準備中の食堂車の風景がうまく描かれている。ステーキの固い肉をどう美味にするかの工夫も参考になる。昭和の素晴らしい時代だ。
11時55分、東京駅15番線入線
本文:上りちどり 午後1時16分頃大津駅から東より、琵琶湖と反対側の線路沿い、緑の家
実際:上りはと 午後0時51分45秒、大阪府三島郡島本町、日紡(現ユニチカ)青葉荘、汽笛はすぐ背後に位置する天王山にこだまする。
名古屋で給水。夕食は予約制、3回転する。
食堂車の実情がよく分 -
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七時間半とは急行列車ちどりが 東京から大阪まで走る時間である。
食堂車で働くサヨ子とコックの喜一は両思いだが 家業の洋食店を継いでほしいという サヨ子のプロポーズに ホテルの料理長になる夢が捨てられない
喜一は迷っている。 皆に評判のよいサヨ子に嫉妬した 美人で高慢な「ちどりガール」有女子は 喜一に気のあるフリをし ほかの乗務員たちの和を乱す。
また、サヨ子を嫁にと一方的に考える 旧家の母親は気のない息子とともに乗車。 有女子を妻にしたいガサツな会社社長も 同じ列車に乗り合わせていた。 さらに時の首相と、それを狙うテロリストの影が…。 果たして列車は無事 大阪にたどり着けるのだろうか?
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ネタバレ獅子文六、素晴らしい。めちゃくちゃ良い。メチャクチャ良いです。ドPOPと軽妙洒脱の極み。この素敵な軽さ、なんなんだろう。ビビっちゃう。
本当にまあ、驚きでしかないのですが、コレ、第二次世界大戦前の作品なんですよね。この作品が、リアルタイムで新聞連載されてたのが、1936年(昭和11年)7月から1937年(昭和12年)1月まで、だそうです。おっとろしい。昭和10年代の作品なのか!?コレが。有りえないよ、って思う。なんなんだこの古びなさは。奇跡的です。
個人的に勝手に思うだけなのですが、この作品の舞台設定に、スマホとネットとあとなんか最近のもんをシレッと登場させて、2021年新春注目の新人作家 -
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昭和30年代、東京―大阪間を7時間半で結ぶ特急「ちどり」の中で起こるユーモラスなドタバタラブコメディ。
食堂車でウェイトレスのリーダーである藤倉サヨ子とコック助手・矢板喜一のすれ違い気味な恋の行方、美人乗務員・今出川有女子と彼女に思いを寄せる大阪商人・岸和田社長、大学院生・甲賀恭雄、結核療養所で静養中の佐川英二という3人の男。
旧子爵家の娘である有女子は3人を手玉にとりながら、喜一にもちょっかいを出し、サヨ子と対立する。
さらに、列車には総理大臣が乗り込み、あろうことか、爆弾が仕掛けられているという情報が流れ列車内はパニックになり、サスペンス小説の様相も呈してくる。
60年安保の世相を反映した -
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ネタバレ友人から紹介されて読みました。
獅子文六さんの作品は初めてでした。
電車の中の7時間半の中での人々の心の動きを描いた物語です。
藤倉、今出川、という女性の人間性の対比が描かれておりました。実際こんな人いるよな、と思いながら読んでおりました笑
女性にも好かれる女性、女性から嫌われがちだけど、その美貌から男性から寵愛される女性。僕は前者のほうが好きです笑なんかほっとする人間性の方なんだろうなと思いました。
それとこの作品のテーマは「すれ違い」なのかなと思いました。
ちょっとした出来事でも、その人の想いはがらっと変化してしまう。その変化の結果、お互いに通じ合っていたと思っていた状況が変わってしま -
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ネタバレ神奈川近代文学館で催されていた「没後50年獅子文六展」へお邪魔する前に、『娘と私』『コーヒーと恋愛』以外の文六作品も読んでおこうと手にした本作。
横浜中華街も旅程に組み込まれている中、舞台は横浜、そして解説がかなぶん学芸員の方だなんて何たるお誂え向き!
売れっ子作家だった彼の作品は、本当に退屈と無縁だ。
近代文学と言う堅苦しい響きから程遠い所で、個性豊かな登場人物達が群像劇を繰り広げる。
悲劇も喜劇然として、頁を閉じる度に惜しくて堪らない読書も久々だった。
<Impressed Sentences>
—亮子も、心細かったろう、この六年間。
妻を労わる気持ちが湧いてくるのも、久振りのことだった -
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主体性というものを持たず
「先生」のいいなりに利用されてきた男が
戦争の時代を経て、侮辱されていると気づき
呪縛を脱していく話
自我の目覚めというよりも、絶望からくるニヒリズムなんだが
1950年代の日本では、これが大変に売れて映画化もされた
話の舞台となった宇和島市では
作品にちなんだ饅頭が、今も土産物として売られている
「先生」の推薦で、軍の情報局に勤務していた主人公は
戦犯として逮捕されることを恐れ
やはり「先生」の勧めで
惚れた女に心を残しつつも
東京から愛媛県の南予地方へと逃れるのだった
長閑な田舎ぐらしのなかで東京者は珍しがられ
いろいろといい思いをさせてもらううちに
「先生」へ