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「私は、自叙伝を書くつもりはなく、自分のうちにある“父”を、書きたいのである」──獅子文六は横浜の裕福な貿易商の家に生まれるが、十歳のときに父親を失い、その悲しみはいつまでも消えなかった。この慕情は六十歳で授かった息子への強い愛情へ変わる。本作は獅子文六の少年期から青年期までと、そこから四十年をへた晩年の愛息との日々を描いた自伝的作品。解説 岩田敦夫
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Posted by ブクログ
近年再評価される昭和の大衆作家獅子文六。 「娘と私」に続く自伝的小説。フランス時代に結婚したフランス人妻との長女に関する作品から今回は長男そして自身の父に関する回想。 10歳で50歳の父を亡くし、60歳で息子が生まれる。父になった頃こそ分かる、昔の父の気持ちや態度。子供の成人する頃には自分はこの世に...続きを読むいないだろうとの不安から心配。 子供の頃の瑞々しい思い出が後半一転して息子の言動に一喜一憂する展開。 「息子におくる」という献辞と実際の息子さんのあとがきが、実に良い読後感。
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