「下鴨アンティーク 雪花の約束」
もうほんまに、この本素敵…。
コバルトのいいところを全部集めてるというか、コバルト世代が大人なって読むためのツボを抑えまくってるというか…。
(そして案の定私もツボをつかれている)
さて、祖母から譲り受けた蔵にしまわれてる着物から、その持ち主の過去と因縁に触れる…
...続きを読むちゅう筋は、(古いものから何かを読み取るという意味では)ビブリア古書堂と通じるところがある。
とはいえ、鹿乃ちゃんと栞子さんのキャラが全然違うので、
「似てる」
とは全然思わないんやけど(どっちやねん)、
あー、やっぱりここで終わるよねー…
と、もんどりうった。
以下、ネタバレになるんやけど、
こちとら少女ではないので(笑)、慧ちゃんのあの必死の決意を瞬間で崩壊させた鹿乃の若さが眩しすぎた…(笑)。
イヤもう慧ちゃんかわいそうすぎて(笑)!! ←笑ってるやん
慧ちゃんも鹿乃も憎からず思ってるんやから、もうくっついたらエエやん、って思うけど、それができひんのよねえ。
できひんよねえ、それは!!
うーん、鹿乃の将来も全部ひっくるめて責任を取るのなら、慧ちゃんが鹿乃をさらってもいいとは思うんやけど…。
他を知らないまま、慧ちゃんだけでいいのかという純粋な疑問もある。
いやもう他なんて知らなくてエエねんけどね。
ひと昔前ならそれで充分やったけど、さすがに平成の世やもんね。
それはそれで、鹿乃の未来を奪ったって後悔するのかもなー…。
鹿乃に他の未来なんて歩いてほしくないくせに、自分を選んでくれたら
「それで、いいのか」
と、躊躇いそうやんねえ、慧ちゃんって。
ほんで、そこを後押ししてくれるのが良鷹っぽいけど、果たして、この続きはどうかな。
黒谷さんでのあのシーン、表題作の終わりが
「あ、やっぱり…」
と、思いつつも
「くーーッ!!」
と、転げまわりたくなるような状態で、でも大丈夫、あと一章残ってる…! ってページをめくったら
「そのときの良鷹は」
みたいな話で、ここもまた
「あっ、そうくるよね。そうよね…」
と、なった(笑)。
著者にいい意味で裏切られました。裏切られたっていうか、鼻先ニンジンみたいな…(笑)?
ほんっま早く続きが読みたい。でも、この巻がこの年末に出たところみたいなので、まだまだ先やね…。
12月に初版で、翌月の1月には二版になってるので、そうとう売れてるのね…。そりゃ、そうやろうなあ。
オレンジ文庫、ほんまに好きや…。
もっと蔵書に増やしてほしいけど、これは買いたいかもしれない。欲しい。欲しいよ。
今回も新刊の蔵書やったので、とてもとてもきれいな本でした…! 幸せ。
鹿乃と慧ちゃんふたりのエピソードが衝撃的すぎてついそちらにばかり目がいってしまいがちやけど、アンティーク着物にまつわる話もいつも通りかなり面白かった。
赤い糸の話なんて、冒頭の一文からギュっとつかまれたよ。
この出だし、すごいね。
ちょっといかにも少女小説ぽいつかみかもしれへんけど、このつかみでギュっとやられてしまう人がこの本を読んで
「面白い…」
と、思うんやから、これが最高なんやと思う。
鹿乃の世間知らずぶりは
「ほんまにこんな世界があるのか?」
と、思わなくもないけど、…うん、あればいい。こんな世界が、あればいいよ…! 笑
変えたいものと変えたくないもの、どちらが多いかな。
結構、グサッときた。
フォーティーズですから、もう、「変えたくないもの」の、ほうが多いと思う。
でも、鹿乃ちゃんのころは、私も、「変えたいもの」ばかりやったよ。
そう思っていたことに後悔はしていないけれど、十代のうちから、「変えたくない」と、思うほど、現状に満足できていれたら幸せなんちゃうかなあ、と、思う。
それは、憧れってやつやんね。
ほんで私は、いつ、どこにいても、何かに憧れてる。それってきっと性分。だから、本当に変えたいのか変えたくないのか、やっぱり、分からない。
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■エドワーディアン様式
エドワード7世の様式
■水滴
1 しずく。水のしたたり。「水滴がしたたる」「水滴がつく」
2 硯(すずり)に使う水を入れておく容器。水注。水差し。
(2017.06.27)