井上のきあのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
前作「白鳥と紫式部」で完結したと思いこんでいた。
確かに鹿乃の物語は完結した。しかし新たに
良鷹と幸の「下鴨アンティーク」の幕が上がった。
私の大好きな「下鴨アンティーク」の世界が
まだまだそこにあるという幸せに浸っています。
幸の持つ力の正体も源泉もまだわからない。
ひとつひとつの怪異が解き明かされるごとに
その力は強くなり またその力そのものの物語も
織り成されてゆくのだと思う。
野々宮家だけが持つのではない…
妖気や人の情念が渦巻く古都を守り続ける
さまざまな力に触れる旅。それが下鴨アンティーク。
もうここから先を目にすることができないのだけが
とても残念です。物語も、表紙絵も。
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Posted by ブクログ
ネタバレやっと…!と思ったらそんなすっとばして!と突っ込みたくなる展開。
前巻のラストで告白した鹿乃に対して、妹みたいに思ってると返す慧。
出生という、本人にはどうしようもできない所を蔑まれて育った慧には、世間体が悪く、普通の人から祝福されない恋(別に祝福されない訳じゃないけど、同じ屋根の下で暮らす10代の子と付き合う大学助教授、は知らない人が聞くと外聞は悪いかもしれないなぁ)をするには覚悟がいるよね。
打ち明けることができるのは、相手を信頼して、心をさらけだしてくれたときだ。
相手を信じること、相手を欲しいと思う心、打算がある心とも向き合っていく…本気の恋をした人は、こういう体験をしてきてるから泰然と物事を受け止められる強さを持てるのかな。
慧の父もやったことは世間的にNGではあるけど、自分の思いを貫き、想い続ける態度は凄いと思う。
そしてデートもまだなのに一足飛びにプロポーズしちゃう慧w
覚悟が決まったら行動が早(笑)
そして春野君本当にただの当て馬じゃないか…。
大学では女泣かせなのかもしれないけど、恋愛が絡まなければめっちゃイイヤツだ。彼にも幸せになってもらいたい。
鹿乃ちゃんおめでとう。 -
Posted by ブクログ
私には このシリーズに
特別な思い入れがあるのかもしれない。
この小説の素材は
言ってしまえばオカルト。怪奇譚だ。
陰陽道にゆかりのある旧華族。
その子孫が次々に出会う
着物にまつわる怪異は
しかし少しも恐ろしくない。
むしろ切なくもの悲しい。
この世に残る 強い想いが形となり
現象となって 眼に映るのだとすれば
この物語には 美しい着物とともに
消え残り 誰かに知ってもらいたいと
彷徨う たくさんの想いが詰まっている。
それはこの世を去った人たちだけの
ものではない。
鹿乃や慧 良鷹の中の想いもまた
知るべき人に知ってもらいたいはず。
しかしそんな想いたちは
この優しい人たちの逡巡と葛藤の中
胸の奥深くに閉じ込められてしまっている。
想いを解き放つ…そのことに畏れを抱く
善き人たちの戸惑いが このシリーズから
匂い立つ。
ここに来て動き始めた慧の想い。
それをしまいこもうとする慧。
無邪気なままに 想いを言の葉に載せた鹿乃。
美しい神話や古伝承と
あざやかな色彩と図柄の着物たち。
そうして大和言葉の織りなす綾に彩られ。
遠野物語を 現代に再び
書き起こしたかのような
妖しさと懐かしみを湛える静謐の世界で
主人公たちの想いもまた
形を帯びてゆくようだ。
ほんの手の届く未来に 悲しみが待っている。
それを予感せずにはいられなかった今作。
その悲しみの涯に何が待つのかは
まだ 私には見えない。
でも 見届けたいと思っている。
糺ノ森近くに住まう主人公たちの
心が救われるその日を。