一田和樹のレビュー一覧
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【変化しているのは法執行機関なのではなく社会全体であって、それに対応するために法執行機関も変化していると考えるべきなのだろう。その答えのひとつが事前捜査だ】(文中より引用)
米FBIが隠密に取り入れてきた犯罪「事前」捜査の手法。最新テクノロジーも駆使した方法から浮かび上がってきたのは、プライバシーとセキュリティ、法執行と諜報といった論点を含む、複雑な変化であった。著者は、サイバー関係の小説も多数世に送り出している一田和樹と翻訳家の江添佳代子。
なんとも渋いテーマなのですが、犯罪捜査手法・議論の最先端を知る上で大変参考になる作品。アメリカの事例を参考としつつ、日本における取組・議論にも触れて -
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何と82才の可愛いお婆ちゃん、吹鳴寺 籐子。
職業は、サイバーセキュリティコンサルタント。
それも、超が付く一流の技術屋さん。
見た目と中身のギャップが良いですね。
最初は、クライアントの殆どが、籐子さんを甘く見ていますが、結果は言わんや...
籐子さんと鈴木さんの息の合ったコンビも、良いですね。
・フェイク・タイム
・見えすいた罠
・キャッチボール効果
・パスワードの身代金
の4篇
どれも面白いですが、特に、『見えすいた罠』では、ハラハラドキドキの連続です。
籐子と犯人が、パソコンのチャットで会話をしていますが、絶対分からないはずの居場所を当てられ、犯人が焦って逃げようと、後ろを振り -
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サイバーミステリというジャンルを一冊丸ごと語り尽くした評論本。評論という体裁ではあるものの、サイバーミステリという単語に馴染みのない人間を想定して描かれているため、非常に分かりやすく、かつ興味を抱かせる内容となっている。特にSNSを一度でも使ったことの有る人間なら分かるであろうセキュリティの問題や、ネットで醸成される空気感や個の埋没化などは非常に共感を覚える部分であろう。当然、評論としても非常に面白く、サイバーミステリと従来のミステリで変化した部分や、サイバー空間におけるミステリの拡張性などの部分は興味深い内容になっている。特に、データ同定問題における、従来のミステリに比べて物的証拠の正誤を確
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サイバー系の脚本を書かせたらこの一田氏に勝るものは居ないと思った。
同著者の作品は「もしも遠隔操作で家族が犯罪者に者建てられたら」「サイバーテロ漂流少女」「オーブンレンジは振り向かない」を読んだが、どの作品も甲乙つけづらい面白さがある。どれもサイバー系物語だが本作はまた毛色が異なっていた。
プラトニックな甘酸っぱい恋愛物語にもなっているが、メインのサイバー攻撃の描写もきちんと描かれている。
章や段落によっての、一人称や三人称を上手く使い分けることによって、ラストシーンの怒涛の展開に読者は騙される。小説ならではの手法だと思った。プロローグとの対比も面白い。
二人の高校生が最後まで本編に絡んで -
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文句なく面白かった。ハッカー達の視点からサイバー犯罪の顛末を描く物語なのだが、作者の豊富な知識に裏打ちされた犯行シーンは読み応えがある。ツイッターを利用した広報作戦など、現代ならではのリアリティがある描写もあいまって、読者をみるみる引き込んでいく。
後半には一転、ハッカー達は追われる立場となり、ひょっとするとあり得るのではないかと思えるようなサイバー捜査の手が主人公たちに迫り、息もつかせぬ展開からラストへとなだれ込んでいく。
しかしながら、この物語がただのハッカーの犯罪小説になっていないのは、主人公とヒロインの奇妙な関係性のおかげだろう。
天才ハッカーでありながら、他人と五分間も会話ができない -
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情報系の人なら読んでクスリとなったり、そんな事件もあったな、あるのかとなる一冊です。この手の本は、例えば野球漫画で半年の練習で甲子園に行けたりだとか現実とかけ離れていることが多いですが、この本は事実と現実に基づいていて面白い反面、こんなことが本当に起きていたらと考えると怖くも感じました。国、政府、警察、権力者が何をしているか、裏では何が起きているのか、表面上しか見ていない私たちはもっと知る必要があるのではという疑問も沸きました。
また、ネットを自分たちがいかに危ない使い方をしているのかということを思い知らされました。今はTwitter・Facebook・LINEと様々なところに個人情報をあげて -
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クレジットカードの不正利用もネットでのなりすましも、現実にも起こっていることで、その手口にぞくっとしました。
これはフィクションだけど、実際に被害に遭う可能性もあるわけで。
技術さえあれば、こんな簡単に個人情報って集められてしまうのかと。
天才ハッカーが作ったハッカー集団。
実在したら確かに正義の味方に見えるかも。
犯罪だけど、悪い奴をこらしめるって、正義に見えますもんね。
犯罪だと知りながらハッキングを続ける彼ら。
彼らに心酔する学生たち。
ハッカーを捕まえたい警察。
ミスリードされて、終盤でかなり混乱して、また前の方を読み直して、やっと理解できました。
先入観って怖い。
ハラダのラス