加谷珪一のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
最近の経済関連本はざっくり
1 何もかも政府が悪い
2 とにかく日本は本当はすごい
3 構造改革論
4マクロ経済政策論
5 終末論+自己防衛術
のどれかに類型化されるイメージ。
1と2は論外として、3は人口減少や規制改革、4はマネー過剰や財政破綻、ひいては年金問題、そして5は、もうだめだからせめて個人で株を買おう、外貨を買おう、投資をしよう、ひと捻り系では移住しようなど。
本書は、3と4の歴史を概観しつつ5を見据えているということで、網羅的整理としてはかなり有益な本。
ポイントは、
A 日本は世界的に見ても給料が安く、だからモノの値段が安くても大して豊かでなく、資本ストックもみすぼらしい。
B バブル後、規制改革もマクロ経済政策も全て取り組んだが万策尽きている。
C 、、、というより、購買力平価で見る限りそもそも日本は昔から貧乏だった。経済大国は錯覚。
の3点。個人的には腑に落ちる。
経済に自信があった頃も、フランスの首相には日本の家屋はウサギ小屋とバカにされていたし、観光地は乱開発と立て看板でせっかくの風土はぶち壊し。
どこに行くにも混んでいて、子育てにお金は使えない。
私も含めた日本に強い愛着と帰属意識のある中堅層も、さすがにここがすごいよ日本人みたいな番組はもう恥ずかしくて観られないし、実際コロナ後はそうした番組が絶滅した印象。
どうしてここまで貧乏なのかといえば要するに非効率だから、というのは多くのマーケット関係者が言い続けていることであり、菅首相になってからはD.アトキンソン氏らが論陣を張っているが、非効率の改善イコール一部の人の既得権益あるいはぬるま湯の打破だから抵抗は強い。抵抗する人は必ず「弱者を守れ」、というし、日本でその言いがかりに反論するのは極めてコストがかかる。
個人的にはここまで理屈が通じない理由は、確率統計を学校で学ばないから(平均とか分布とかではなく、私の場合はこうだったとかこういう例もある、とかいった個別事例が全体のインパクトよりも重視される)からと思っているが、本書はデータも難しい統計はなく
せいぜい平均しか使っていないので直観的。
さて、著者の加谷珪一氏は、他の本で個人の資産形成術みたいなものもかなり書いている人で、基本的にはノーロード長期投資というスタンダード派という理解。
ただ本書では、「終わりに」部分でやや唐突に個人の資産の話が出てくるのでそれまでの各章との繋がりはいまいちな印象。
世の中こうなっているよ、の部分は本書で、そして、だからこう自分を守ろうの部分は他書で補うのが良いかと思う。 -
Posted by ブクログ
えっ!日本ではすでに現在の経済学で想定されるすべての経済対策を実施したのにあまり効果がなかっただと?!ということを知れる一冊
日本が魅力ある国に見えなくなってきていることが様々なデータから語られます。そのため、「日本てまだまだ経済大国!」という価値観の方か読んだら暗い気持ちになるかもしれません。
ではどうすれば?というのが少し書いてありますがヒラ社員の一個人では実現が難しいため、多くの方がこの本に共感して社会のマインドが変わっていけばなぁと願わずにはいられませんでした。
●複雑な気持ちになりました
よく選挙で「景気をよくするために~」ということが語られますが、過去20年の日本政府が実施した景気政策があまり効果がなく、そもそも政府が経済に及ぼせる役割が実はあまりないことを理解した上で話しているのかなと思いました。わたしもこの本を読むまではその事実を知らず政治家も国民も経済について「無知」なんだなと思わざるを得ませんでした。
●政府がいう割には景気がいいのが実感できない理由
為替のカラクリがあったとは!数字がそうなのだから実は他の人は景気がいいのかな・・と誤解していました。
●日本の外に目を向けたい
日本は四季があるし、言葉が通じるし、ご飯がおいしいし・・まあ贅沢はできないけどこのまま仕事がんばろと思いがちです。が、本書を読むと日本の外では短い時間で高収入を得られたり経済成長している現実があることを感じました。国外で働いて老後は国内でというスタイルも案外現実的な考え方なのかもしれないと思わされました。次の30年に向けて世界経済には注目していきたいです。 -
Posted by ブクログ
経済学に関する本、初読み。
導入に色んな具体例が示されていて、初心者にも分かりやすかった。2章から少し専門的な話も多くなってくるが、解説等もついていたので、うんうん考えながらも読み進めることができた。
他国との数字に基づく比較もあり、いかに日本の考えが古く、柔軟さがないか如実に現れているように感じた。
政策を考えている人も、ベンチャー企業や地方移住を支援する人も、皆自らの立場は保証されている場所からの意見でしかない。そのような立場の人から決められたことではいざ動こうとする人達は、よほどの野心がないと動かない。うーんこれって日本どん詰まり?
経済学と心理学は関係していないようで関係していることが分かった。
この本を読む前はGDPってよく耳にするけど何?ってレベルだったけど、多少はお金の仕組みも分かり、今後のニュース等もちゃんと理解して見ることができそう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレお金に対する自分の教養を高められた本。
読もうと思ったのは、お金をどう増やしていく・守るかを知りたかったからだ。大学時代部活しかしていなかった自分はあまりにもそこの知識がなさすぎるのでお金を増やすことは高給取りになることしか思い浮かばなかった。しかし、実際就活をしてそんなに稼げないことを知ってどうお金持ちになるかを考えた結果、お金に対する教養を身につけることが大事だと考えたのでこの結論に至った。
この本に書かれてあったのは、お金持ちになるときの心構えだ。3〜4割は、金持ち父さん貧乏父さんにも書かれてあったことだが、より細かなマインドも書かれてあった。
・お金持ちは他人を軸に考える
・数字で大まかに状況を認識する
・ITに対する拒絶反応をなくす
・利益を最大化するには、効率性と有効生のバランスを考える
といった内容がわたしには重要と感じた。
この本で学んだのは、そういったお金持ちの考え方だ。大学で何も考えず仕事だけでしか金を稼げないという自分のと同じ考えの人は、数多くいる。その中でこういった心構えをして投資の勉強などを始めている自分はその人たちよりもかなり前に進んだように感じる。 -
Posted by ブクログ
著者の意見には、基本納得しました。
ただ、目新しいことは、わたしが一読した限りではありませんでした。日本は、人口減少を主因として経済大国ではなくなるのだから、生産性を上げて、つまり付加価値の高い産業に人的リソースを傾け、国内消費を増やしていくという方向性です。
もちろん理想は、そうですが、
実現はできないだろうと思います。
すでに日本人一人あたりの国内総生産は、
韓国や台湾、中国沿岸部のそれに抜かれています。この20年間ひたすら落ち続けています。これから上昇するとは、思えません。所得も94年比で、今後数年で半分になるでしょう。
人口動態を見れば85年比で、東京の人口に匹敵する数の高齢者が増え、人口の3割近くが65歳以上になっています。これだけ短期間で、老人が増えた国は日本です。これから労働者も2割、約一千万人が、僅か30年で減少します。1945年から僅か30年で労働者が倍になりましたが、今後は逆の現象が起こります。
教育面を見ても、ズタボロです。東京大学もアジアの一流大から、滑り落ちています。優秀な留学生や研究者が日本の大学を選ぶことはありません、このことは、大学関係者なら、誰でも知っています。極めて程度の低い高等教育が繰り広げられています。もちろん日本の大学生の学習時間は、世界最低です。その最低のまま、大学を卒業し、企業に所属しています。企業での職業教育とは、その企業に所属することを心理的に強制させるようなモノで、職業人として生産性を上げるものではありません。したがって、独特の業界知識や慣習を半ば強制的に叩き込まれるため、数年もすれば、他の企業では全く使えない人材が生まれています。IT技術革新で日本以外の国は労働生産性を上げましたが、日本だけが何故か下がりました。こんな状況でAI活用して、、、生産性向上!不可能でしょう。
したがって、日本の企業に関しては、グローバル化に成功した企業は、数えるほどです。国内市場は、人口減少、高齢化、少子化で、毎年業界が一つまるまる無くなるようなインパクトを与えて、海外市場に活路を見い出しましたが、成功した企業は、ごくごく僅かです。またそれらの企業は、すでに日本市場なんて相手にしていません。従業員も基本は、外国人です。30年前の世界トップ500企業の半分は、日本企業でしたが、今では10社程です。あと10年で確実に残りの企業も姿を消すでしょう。
政治になると、これは絶望的な状況です。
まず衆参政治家の3割以上が、2世議員です。先進国で、最も比率が高い。これで民主国家なんて、言えるわけがありません。
現在、コロナ感染で日本だけが、アジアの中で、ぶっちぎり失敗しています。タイ、ベトナム、カンボジア、韓国、インドネシア等、日本に比べて遥かに成功しています。日本は、検査数すら彼らの国に及ばず、よくわからない統計分析が横行していて、一応、日本は欧米諸国に比べて、感染者も少なく、死亡数が「少ないことになっています」。これは、実証的に得られた数字ではなく、政府の願望です。そのため、TOYOTAやセブンイレブンの従業員が感染したというニュースは、ほとんどなく、毎日何百万人運ぶ地下鉄で、感染した報道は皆無です。
これは、原発問題と全く同じ論理で、
「本当の状況」は国民には、絶対知られないようになっています。実証的な統計情報を公開して欧米各国の方が遥かに民主的な状況です。自由や人権を優先することは、それだけ犠牲が伴います。
日本が優先しているのは何でしょうか?感染も抑えたい、経済も回したい、旅行にも行きたい、ご飯も食べに行きたい。日本政府も日本人も、救いようがないバカです。地獄に落ちた方がいいでしょう。GOtoは、バブル期に行った総量規制を遥かに超える愚策です。これで多くの企業が倒産し、失業、自殺者を生みます。少なくない日本人も、それらに一生懸命加担しています。まるで第二大戦中に、ガンガン好戦的だった日本国民と瓜二つです。先の大戦では、僅か4年間で300万人亡くなりましたが、今回は、一体どうなることか、、、本当に心配しています。
日本政府が頑張っている理由は、オリンピック、インバウンド、対日投資、外国人労働者増加のためです。ただ、日本独特の政策によって、これらから生まれる経済的恩恵は全てなくなり、向こう10年の経済成長が消えてしまいました。来年は、3割以上GDPが落ち込み、大企業がバタバタ倒産するでしょう。
以上の理由から、日本は、著者が指摘する以上の何倍ものスピードで小国化します。というか、すでに先進国ではなくなっています。コロナで亡くなるより、コロナ関連で自殺する人が2倍います。去年より4000人自殺者が増えています。2割増加です。来年は、更に増えて2019比の1.5倍は増加するでしょう。本当に、どうしようもない状況ですが、仕方ないと思います。誰を批判しても、政治に文句を言っても、どんな言論を繰り広げても、何も効果ありませんが、個人的には、日本は素晴らしい「場所」だと思うので、どんな絶望的な状況でも、より良く生きていくことは可能です。
主体的により良く生きる上で、学習することは、必須ですが、日本人は、それを捨て去ってきたと思います。何かに寄生、所属すること以外、自分のアイデンティティーを見い出せない人は、これからさらに地獄のような状態になります。日頃から主体的な人生を自身で考え、行動してきた人にとっては、日本の環境は、最高の環境だと思います。
最後に日本の未来を予測した内容で、この著者のあとがき以上に日本の未来を記述した人がいました。
それは、ノーベル経済学賞に一番近い日本人と言われた故森嶋通夫先生です。氏は、90年代半ばに日本の未来を質的に分析した論文で以下のように述べています。
「この国の将来が明るいものでないだろうと結論しても間違いはない。日本は工業国上位のグループに留まることはできないであろう。そして国際的影響力は目立たなくなり、取るにたらないものとなるだろう」
かなり辛辣な言葉ですが、非常に的を得た分析結果だと思います。